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おまえはスケベか。


ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ……うるさいなぁ、もう朝か。

俺は目覚ましを止めようと腕を伸ばし、目覚ましを探す。

そして手探りで見つけたそれを、止めた。


「ふぁ~……、朝起きたら夢でした、なんてことはないか……。」


俺はそう思いながら寝返りをうち再び目を閉じる。

……ああ、なんか柔らかい。なんか柔らかいのが手に当たっ…………。

俺はそのとき、朝という寝ぼけやすい環境の中で思考が超回転した。

まず大前提、この部屋にいるのは一柳と俺だけ。

俺が昨日寝るときに周りにクッションらしきものはなかった。

かつ、寝る前に一柳がお風呂に入っていった。

つまり、俺の右手に当たっているものは……!

思考から導き出された答えと解答を照合するため、俺は横を向く。


「ぐ、ぐぐぐ……ぐぁが……」


そこには、俺の手によって頬を掴まれた、見知らぬ人がおりました。


「ギャァァァァァァ!!!!???」


俺は慌てて手を離し、ベットから転げ落ちる。

すぐさま立ち上がりベットの上の不審者に向けて戦闘態勢。


「だ、誰だッ!! お前はっ!!」


「うぅ……ん……、あれ……? もう朝ですか……?」


謎の男は眠たそうに目を擦りながら起き上がる。

いや、なんで普通に朝であることが聞けるんだっ。

俺と同じベットで寝るのは君にとって普通だっていうのかっ。

というか一柳はどこじゃ、一柳ッ____


「はァ、ハァ”ァ”ァ”ァ”!!!!????」


もう片方のベットには一柳が寝ていた。

布団が乱れているため、彼女が裸であることをすぐに理解。


「んっ……あ、レイトさん、おはようございます……。」


一柳は俺を見るなり、目を細めて微笑みかけてきた。

彼女の胸元がチラリと見えて俺は思わず顔をそらしてしまった。


「おはようで早速悪いが着替えてくれないかなぁぁ、

 目のやり場にも困るしまともに会話もできそうにないんだ。」


「私を見ないのですか?」


「見ないです見ないです、見れないです……」


うん、正直見たい気持ちはある。

開放的に見せてくれるのは嬉しいがまず見知らぬ人がいるんだ。

下手すりゃ『レイトが一柳の裸見た』とか言い出す可能性がある……。


「んでっ! お前はなんで俺のベットで寝てるんだッ!」


「……えーっと、僕がこの部屋に来たときに、

 もう片方のベットに……は、裸の子が寝てたから……。」


「うん、確かにそうだな。

 裸の女の子と意図的に一緒に寝るのは世間的にまずいからな。

 それはそれとして、まずお前は誰なんだっ! なんでこの部屋に……!」


「ちょ、ちょっと待ってよ! 僕! 僕だよ!」


そう言って見知らぬ人物は近くにあった眼鏡を装着する……。


「……あっ、お前は……!」


「うん、同じクラスの……あっ、自己紹介がまだでした。

 僕は『カイト』って言います。これからよろしくお願いします!」


「お、おう、よろしくカイト……。俺はレイトだ。

 それで、その、なんでこの部屋にいるんだ……?」


「僕の指定された部屋がここだったんだ。

 二人とも寝ているときに入ってきちゃったし、

 起こさないようにと思ってそのまま寝ちゃったんだけど……。」


「ああ、うん、カイトもこの部屋だったのか。

 悪い、そうとも知らずに誰だお前だとかいろいろ言って……。」


俺がそういうと、カイトは首を横に振る。


「いいんだよ、レイトくん。

 僕も勝手にレイトくんのベットで寝ちゃってごめんね。

 それにしても……なんでベットが二つしかないんだろう……?」


「……うーん、クラスの生徒が奇数であるがため、

 二人用の部屋を3人で使ってください、的なやつか?」


「僕たちのクラスって、奇数だっけ?」


「いいや、昨日見た感じだと偶数だったはずだ。」


俺たちは同じ疑問を抱えて頭を悩ませるが、答えが出なかった。

だが俺は、一つの可能性を見つけて一柳に声を掛ける。


「一柳、ちゃんと着替えたか?」


「はい、制服姿に。」


「一柳。本当に一柳は俺と一緒の部屋なのか?」


「いえ、まったく違います。」


俺はその場で崩れ落ち、四つん這いになる。

違うんだ。違うんだやっぱりそうなんだ。

そういえば昨日、俺がスマホで扉を開けたが、

一柳はスマホの操作無しで、俺の後ろを付いてくるだけだった。


「……え、ええっと、一柳さん? ど、どういうこと……?」


「カイトさん、ですね。

 私はレイトさんに一方的な好意を覚えました。

 それが故、嘘をついてでも一緒にいたいと思いました。

 相思相愛であれば、パーティを組んだときに有利かと思いまして。」


「そ、そんな理由でレイトさんと一緒に……!?」


「はい、そうです。」


「どんだけ体を張って俺のパーティに入れたいんだよ……。」


「あなたのことが、好きですから。」


……一目惚れってことなんだろうな。

パーティに入れたい、というか、俺と一緒にいたいってことか。

俺は一柳の方を見ると、彼女は顔を赤くしてモジモジしていた。

だが、彼女が俺の顔を見るとすぐに表情を戻す。


「……ああ、うん、わかったよ、一柳。一緒にいていいぞ。」


「ありがとうございます。」


そう言って軽く礼をする一柳。

女の子の心を傷つけるわけにはいかない。

そんなプライドで『一緒にいていいよ』発言をしてしまった。

たぶん内心ではめっちゃ嬉しがっているんだろうなぁ。

きっと目を離したときにガッツポーズをしているだろう。


「あ、あの、僕はどうすれば……。」


「カイトさんも一緒にパーティに入りましょう。

 友情もまたチームワーク向上のため必要ですから。」


「う、うん、わかった。」


「レイトさん、改めてよろしくお願いします。」


「よ、よろしくな。」


ナチュラルにカイトも巻き込んでしまったが……。

やんわりと仲間が増えていくのは心強いことだ。

多ければ多いほど、もしものことがあったときに頼りになる。

カイトに関してはまだ何もいえないが、

一柳は俺を全力でサポートしてくれるはずだ……。

もちろん、俺もみんなをサポートするつもりでいるが……。

ちゃんとできるかどうか、少し不安なところがある。


「……あ、そういえば。

 確か今日クエストやるとかなんとか言ってたな。」


「そうですね。でも、一体何をやるんでしょう……?」


「クエストと言う名の学力テストだったりするかもな。」


「いえ、もしかするとモンスター討伐かもしれません。」


なんて話し合っていると、

俺のポケットに入れっぱなしだったスマホが揺れる。

何事かと取り出してスマホの電源を入れると通知メッセージが来ていた。

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