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奇抜ですね、入学生ども。


俺は教室をすぐに後にし、

シルベ先生の言うとおりアロディルデ学園の散策を始めた。

この学校の外観は現代の大学のような雰囲気になっている。

とはいえ、このアロディルデ学園の建物はおかしい。

まず教室の量。A〜Zのクラス分け、1から5までのクラス番号。

学校を歩けばどこにいっても生徒がいるほど生徒数が多く、

そして教室という場所だけで一つの建物に収まっている。

そのためアロディルデのMAPにも『教室棟』と書かれている……。

エレベーターがあるため指定の教室に行くのは苦ではないようだが、

一斉に移動するとなると、渋滞になるのはまず確実だろう。


「2年生や3年生はいない……でいいのか?」


「この学園には1年生や3年生の概念はないそうだが?」


「そうなのか……。ん?」


教室棟の玄関、独り言を呟いていると、

やけにクールそうな男子生徒が話しかけてきた。


「新立アロディルデ学園の入学生は、俺たちで最後だ。」


「どういうことだ?」


「この学園は、俺たちだけを育てるつもりでいる。

 学年という存在はない。先輩もいなければ後輩もいない。

 異世界転生転移者、つまり俺たち専用の学園というわけだ。」


「……あ、つまり俺たちが最初で最後の入学生ってこと?」


俺がそう言うと、彼は首を縦に振った。

そして俺の肩を掴み、顔を近づけて、耳元でこう言った。


「君はまず、神堕 愁と出会うんだ。」


「カミダ、シュウ?」


「彼女は、君の手助けをしてくれるだろう。

 そして君はもう出会っている。彼女を探せ。」


「えーっと……お前は……?」


男が何者かを聞こうとしたところ、

早歩きで俺から離れて後ろ姿を見せながら手を上げる。

なん、なんなんだアイツは……カミダシュウを探せ?


「……彼女、ね。」


運命的な出会いがしたかったが……もう出会ってるのか……。

彼女か……ふむ……彼女……彼女……どこで出会った……?


「……いいな、彼女……。」


なぜだろうか、カミダシュウという人物が気になる。

いや、いやいやいやいや。人のことはあとだ。

とにかく今は、学園の施設を見ないとな……。


……と、そう思い俺は学園の施設を一通り見回る。

この学園は、ゲームや漫画などに出てくる学園のようだった。

食堂や巨大な図書館、ポーションや武器が売られている購買部、

マッドな理科室、レストランの厨房のような調理室、

超でかい体育館は4つもあるし、運動場がもはや平原……。

なにもかもが大規模である。まるで学園そのものが一つの都市だった。

遠くには、城らしき建造物が見えていた。

あそこがアロディルデの中心となる城なのだろう。


「……外にはまだ出られない、か。」


MAPを見る限り校門はいくつかあるようだが、

その門はどれも閉まっており、外に出ることはできない。

『外にいくのは明後日からです。』なんていう張り紙が貼られている。


「む、もう夕方なのか……。」


気づけば周りが薄暗くなっていた。

近くにあった電灯にも明かりがつき始める。


「そろそろ寄宿舎に行くか。」


と、俺は寄宿舎に向かって歩いていたのだが……、

ふと、後ろから誰かに声をかけられた。


「あの、待ってください。」


振り返ると、そこにはピンク色のツインテールをした少女がいた。

いったい、いつからいたのだろうか。

ピンクでツインテールなんて目立ちすぎだというのに、

まったく気配を感じなかった。


「あなたの名前は?」


彼女はそう言って俺を睨みつけてくる。

俺は少し驚いたものの、冷静に返事をする。


「レイトっていう名前だ。君は?」


「私は一柳 美月(いちやなぎ みつき)。学園の散策はどうでした?」


「まさか、ずっと俺を見てたってのか?」


「えぇ、周りが混乱している中、

 ひときわ落ちついて学園を見回っていたもので。

 あなたであれば、クエストでのパーティを組みたいのです。」


「パーティ? なんの話だ?」


「そのままです。パーティです。いわゆる仲間ってやつです。」


「仲間……ねぇ……?

 唐突に仲間になるのは少し不安だな。

 俺が仲間を作るにしても、周りの素性を見てからだ。」


「確かにそうですね。あなたは私は知っていますが、

 逆に、あなたは私を知りません。どうすればいいですか?」


「ど、どうって……、そうだなぁ……。

 しばらく、俺の視点から君を見させてくれないか……?」


「わかりました。では、余すところなく見てください。」


「それじゃ、とりあえず明日から……何を、やっているんだ?」


一柳は手を大きく広げて目をつぶっていた。

なにか……大地のエネルギー的な何かでも感じているのだろうか。


「……私を、見ないのですか?」


「いや見るけども。え、今か?」


「ええ、私と言う存在を、あなたに見てもらいたいです。」


この人物とは、関わらない方がいいのかもしれない。

なぜかはわからないが、危険な匂いがする……。


「えーっと、じゃぁまず見るにしても……」


「はい、私のスリーサイズを教えましょう。上から―――、」


俺は周りに変態と思われぬよう大声を出しながら寄宿舎へ向かった。


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