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第2話:限界突破

 落ちる、落ちる、落ちてゆく。

 落下死も忠実に再現されているこのゲームでは、そもそも【死】ということ自体に不快感がとても酷い。

 全身を強打し、その後にやってくる体の芯まで襲う骨が折れるような不快感。

『あぁ、最悪だなぁ』

 少なくとも不快感を味わうのを短くしようと、意識を手放そうとしたその刹那(せつな)


━━━ザバンッ!


 と、思いっきり着水した。

「あぼぼべばびぼべ!?」

 水深は深く、落下死こそ無かったが、水への恐怖心が強く刻まれたのだった。

 とにかく陸があったので陸へ上がり、呼吸を整える。

「げっほ、げっほ、し、死ぬかと思ったぁ…」

 頭がクラクラする。そりゃあ高い所から落ちて水に入水なので痛いものは痛い。完全にダメージ無しとはいかないだろう。HPバーを見るもあと一撃でもくらってしまったら死んでしまうだろう。

 少し落ち着いたので周りを見ると黄色に輝く宝石が落ちていた。

「あぁ!これが【結晶】か!」

 結晶とは素手で砕くと、何かしらの恩恵やバフを得られるもので、砕いておいて損は無い。

「なんのバフ貰えるかな?」

 響希は躊躇いもなく黄色の結晶を砕く。


━━━この時、響希の運命の歯車が文字通り回り出す。


「わぁっ!?」

 響希は閃光に包まれ、あまりの眩さに目を瞑る。

 閃光が解けると、おそるおそる目を開ける響希。

 その途端、変化に気づいて目を見開いた。

 ジャージは暗い深海をそのまま切り取ったような色のフード付きのマウンテンパーカーに変わり、大きな白い歯車のロゴが背中に刻まれる。

 中のシャツは胸のチェストプレートが白銀に輝くものの、すぐに前と変わらないプレートに戻る。

 膝丈くらいの短パンはジャージに変わり、ウォレットチェーンが2つ左右に付いた。

 木刀は3秒光っただけで、その後はなにも無かった。

「いったい…何があったの…?」

 その問に答えるように目の前にメッセージウィンドウが現れた。

《神話級結晶G:f・_cf・pbjの効果を確認。動作正常。完了しました。装備品の強化が完了致しました》

 更にウィンドウが追加され、現在の装備の状態が出てきた。



《神硬化木刀 +1000》〈神話級〉

[武器:木刀]

材質:神硬化(しんこうか)アダマンタイト結晶融合木材

・攻撃力増加+5000

・魔法攻撃力+4500

・クリティカル率100%

・固有スキル:【破壊不能】

       【双刃化】

       【神覇纏装(しんはてんそう)

       【スキルパレット】

・スキルパレット【空白】

◇特定条件により強化上限があがり、更に強くなった木刀。最硬(さいこう)の物質である神硬化アダマンタイト結晶が木刀の木材に融合し、更なる力を秘める。


神覇纏装(しんはてんそう):カムイ +100》〈神話級〉

[防具:上着Ⅱ]

材質:神硬化アダマンタイト結晶融合生地

・防御力増加+2500

・魔法防御力+2500

・MP+2500

・クリティカルダメージ変更5倍

・クリティカル被ダメージ半減

神覇(しんは):【デウス・エクス・マキナ】

・固有スキル:【隠蔽】

       【破壊不能】

       【神覇纏装(しんはてんそう)

◇特定条件により強化上限があがり、強化され続けた装備は姿を変え、パーカーへと変貌したジャージ。神さえ宿らせる。最硬の物質である神硬化アダマンタイト結晶がジャージの布に融合し、更なる力を秘める。


《神硬化軽量チェストプレート +100》〈神話級〉

[防具:上着Ⅰ]

材質:神硬化アダマンタイト結晶融合生地

・防御力+500

・魔法防御力+500

・HP増加+10000

・各状態異常無効

・固有スキル:【破壊不能】

       【自動温度調節】

       【HP・MP・SP自動回復】

◇特定条件により強化上限があがり、胸のチェストプレートが神硬化アダマンタイト結晶に変化。初期の半袖にプレートをつけた見た目ではあるが、利便性が向上している。


《神硬化軽量ジャージ +100》〈神話級〉

[防具:ズボン]

材質:神硬化アダマンタイト結晶融合生地

・各属性耐性成長

【火属性耐性(小)】

【水属性耐性(小)】

【土属性耐性(小)】

【風属性耐性(小)】

【光属性耐性(小)】

【闇属性耐性(小)】

【神属性耐性(小)】

【魔属性耐性(小)】

【無属性耐性(小)】

固有スキル:【破壊不能】

      【HP・MP・SP自動回復】

◇特定条件により強化上限があがり、素材に神硬化アダマンタイト結晶に変化。繊維レベルまで引き伸ばされた神硬化アダマンタイト結晶は伸縮性だけでなく、神魔耐性をも兼ね備えた。


神覇纏装(しんはてんそう):ジン +100》〈神話級〉

[防具:靴]

材質:神硬化アダマンタイト結晶融合生地

・移動速度+250

・移動速度上昇2倍

・蹴攻撃ダメージ上昇2倍

・固有スキル:【スキル封印無効】

       【空中歩行】

       【水面歩行】

       【神覇纏装(しんはてんそう)

       【破壊不能】

◇特定条件により強化上限があがり、スニーカーの繊維が神硬化アダマンタイト結晶に変化。装備の限界以上の力を引き出した。


神覇纏装(しんはてんそう):チェーン》〈神話級〉

[アクセサリー:腰]

材質:神硬化アダマンタイト結晶

・運+250

・全ステータス二倍

・会得EXP2倍

・視認前攻撃結界

・固有スキル:【物理結界】

       【魔法結界】

       【神覇纏装(しんはてんそう)

       【破壊不能】

◇神覇を使うのに必ず必要なアクセサリーのうちの腰アクセサリー。神硬化アダマンタイト結晶で出来ている。使用者の力の向上に特化されている。



「………え!?こんなの、ボクみたいな初心者が取るような装備じゃないよねぇ!?」

 これらを装備した響希はこうなる。

 ちなみに響希のゲーム内での名前はカタカナ表記の【ヒビキ】である。



【ヒビキ】Lv:1[女性]〈職業:剣士〉

称号:《機械仕掛之神(デウス・エクス・マキナ)


《ステータス》

HP10500 MP3000 SP 100

・攻撃力10020  ・防御力6020

・魔法攻撃力9020 ・魔法防御力6020

・移動速度1040  ・運520


《耐性》

【火属性耐性(小)】【水属性耐性(小)】【土属性耐性(小)】

【風属性耐性(小)】【光属性耐性(小)】【闇属性耐性(小)】

【神属性耐性(小)】【魔属性耐性(小)】【無属性耐性(小)】


《スキル》

【物理結界】【魔法結界】【空中歩行】【水面歩行】

【双刃化】【隠蔽】【神覇纏装】


《常時展開スキル》

【HP・MP・SP自動回復】【各状態異常無効】

【スキル封印無効】【視認前攻撃結界】


《神覇纏装》

【デウス・エクス・マキナ】


《神覇》

【デウス・エクス・マキナ】



「れ、レベル1のステータスじゃない…何この化け物…や、もしかして、このゲームってこれくらいじゃまだ常識なのかなぁ?」

 不意にそう思ったのはインフレゲーだと思ったからだ。数値や能力があからさまにバグっているからだ。

 しかも、初心者向けのダンジョンで手に入ったので、このゲームがインフレゲーで、数値がバグるのも常識だと思ったのだ。

 そうでなければこの数値は頭がおかしいと思うしか無かったのだ。

 ちなみに、勿論このゲームはインフレゲーではない。運営が酒を飲んでしまった勢いで作ってしまった隠し要素にただ偶然、響希が触れてしまっただけなのである。

「ん〜ボク、このゲームの内容は軽く見たけど、《神覇》なんて初めて見た。この際、分からないやつ全て詳しく調べられるかな?」

 ウィンドウの調べたい単語を指でたたくとと答えは簡単に出てきた。


〔《神覇》:ゲーム内では同じ名前のスキルは2つと存在しない神話級(オリジン)スキル。MPとSPを消費する事で使う事ができ、《神覇纏装》スキルを使用中でなければ使用不可。1度スキルを使い終えると6時間は使用不可能となる。《神覇纏装》にて熟練度が一定に達すると《神覇》は解放される。その効果はさまざまである。神なる本質。〕


〔《神覇纏装》:MPとSP両方を消費する事で使う事ができる能力。《神覇》にあった服装に変化し、能力上昇などを促す。神なる能力権限。〕


〔《神硬化アダマンタイト》:ゲーム内最硬物質で希少価値が高い。滅多に入手出来ない。採掘で収集可能。〕


〔《機械仕掛之神(デウス・エクス・マキナ)》:神覇スキル、《デウス・エクス・マキナ》を使用可能になった場合に会得出来る称号。一部の人に《機械仕掛之支配者(デウス・エクス・マキナ)》と認められる。〕


〔《デウス・エクス・マキナ》:機械仕掛之神(きかいじかけのかみ)。機械による万物創造を司る神。〕

《神覇纏装:デウス・エクス・マキナ》

消費MP:1000 SP:50

・能力はあらゆる機械の能力をハッキング、主導権を自分に回すことができ、罠の解除やダンジョンの扉の鍵や宝箱の鍵の解錠に使用可能である。また、全ての機械の性能を鑑定する事ができる。全ステータスが二倍になる。


《神覇:デウス・エクス・マキナ》

消費MP:2500 SP:100

・【機械仕掛之神:デウス・エクス・マキナ】の解放。

・能力は所持ゴールドを消費し、機械を生成する。生成する物によって消費ゴールドが変化する。


〔《スキルパレット》:レベルが1つ上がる度に増えるスキルパレット。スキルパレット1つごとに1つずつスキルをつける事ができる。スキルパレットにつけたスキルは1日10回まで消費ポイント無しで使用する事が可能である。しかし、一部のスキルはつけることは不可能である。〕



「まぁこんな感じか………試してみてもいいよね…《神覇纏装》!」

 スキルを呟くとパーカーの背中の歯車のロゴが回りだし、パーカーが白く染め上げられ、ロングコートへと変貌し、身体の奥底から膨大な力が込み上げる気がする。木刀は両手で装備する、言わば【両手剣】というサイズへと変わり果て、原型を留めてなかった。

「な、な、な、なにこれぇ〜!?」

 響希の叫びは洞窟内で反響したのだった。

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