第1話:こんにちは、世界。
久しぶりのなろう投稿です。
ワクワクしながら作らせて頂きます!
ある時、【脳神経干渉型VR】ゲームが発売され、話題となった。
その技術はなんとその名の通り脳神経に干渉、操作し、あたかもその世界に居るようにする超高等技術である。
その技術は人々をも魅了し、ハマらせていった。
主人公の少女も例外ではなくどっぷりハマっていた。
どっぷりと言ってもハマっているのは世界観だけで、ガチらずに程々に楽しむだけで、ゲームは初心者である。
そして今日、新たなゲームに手を付けようとしていた。
少女、名を霜乃 響希。今はまだ、ゲーム初心者天然ボクっ娘である。
手をつけたのはリリースして2ヶ月の【エアリアル】。
その人気度は高く、注目されているのは、行動に応じて進化や入手出来るスキルや防具、武器だ。
行動に応じてとはどういう事か、それは例えば火の攻撃を当たり続けているとする、その時に役職やスキルによって変わるが、長時間当たっていると火耐性がつく、という事である。
チラッと言ったが、このゲームは役職システムを採用しており、種類もとても豊富。それ専用のスキルだったり特徴がある。一定レベルになると、転職し、スキルや特徴を維持したまま新しい職業につけたりすることも可能である。とことんやり込み要素が詰まりに詰まった大規模VRオープンワールドオンラインゲームである。
響希は綺麗で幻想的な世界を生み出すだけの、のほほーんとしたゲームだけをやってきたが、オンラインで尚且つオープンワールドゲームをやるのはこの【エアリアル】が初めてだ。そして新たにやるジャンルに期待を寄せていた。
世界観としてはプレイヤーは異世界に転生してしまった地球人という設定だ。選択した出身国によって初期の服装が変わるのだ。
そして、アバターの身長や顔はランダム生成で、自分の意思で決める事は出来ないが、初期服装の色と初期武器の色は変更可能で、性別はリアルと同期している。見た目によるアカウント売買は当たり前にあるらしいが、男性プレイヤーが女性プレイヤーのアバターを購入すると見た目はそのままだが性別だけは男性に変わるらしい。なので、女性専用エリアへ向かおうとする男性がアバターで誤魔化して違法侵入出来ないように出来ている。流石はハイクオリティ。
因みに、容姿次第では数百万もしているアバターアカウントもあるのだとか無いのだとか…
響希はゲームを起動し、ワクワクしながら設定する。
《出身国と好きな色を選択してください》
『出身は勿論日本…っと。好きな色は…黒かな…』
その直後、胸あたりに鉄のプレートが付いた白い半袖のTシャツに前が開いた黒いジャージを重ね着し、膝丈くらいの短パンを着用すると、どこからともなくスニーカーが飛んできて、履いたら初期装備が出来上がった。
《最初に得る職業は何にしますか?》
『職業か…一覧を見せて!』
・剣士
基本的な前衛職。攻撃や防御力、移動速度が上昇しやすい。代わりに魔法力が上がり辛い。
使える武器:木刀、片手剣。
派生できる進化職:重戦士、剣聖など。
・魔法士
基本的には後衛職。魔法力、精神力が上昇しやすい。代わりに攻撃力と防御力が上がり辛い。
使える武器:木刀、杖。
派生できる進化職:呪術師、魔導師など。
・職人
非戦闘職。後方支援をする事に長けている。運が上昇しやすい。そしてアイテムによる効果を上昇させる能力が備わっている。しかし、攻撃力、魔法力が上がりずらい。
使える武器:木刀、ハンマーなどの工具。
派生できる進化職:特化したアイテムなどをつくる職人、商売人、鑑定士など。
『ん〜…この3つかぁ……魔法とかって憧れるけど、確かトッププレイヤーさんって剣使ってるんだもんねぇ…打ち合ってみたいな…剣士にしよっと』
戦闘狂では無いが、純粋に戦ってみたいと思った響希は剣士を選ぶ。すると鍔の無い黒い木刀が具現化する。
全ての職に木刀とあったのは初期装備が木刀固定だったので、全てに書いてあったのだ。
因みに木刀はゲームで唯一、初期装備の中で耐久値が無限に設定してあり、絶対に壊れることの無い武器で、振る速度によって斬撃、打撃の2種類に別れる。突き刺すようにすれば刺突攻撃にも使えるスグレモノだ。因みに武器レベルはLv1固定で、攻撃力5増加しか能力は無い。
『そんじゃ始めましょうか!ゲームスタート!』
《アバターを構築開始します…》
目を開けると街並みがあり、ゾロゾロと人が移動していた。ここが第一の街、【ファーストシティ】
「わぁ…街が綺麗…!人がいっぱい!…凄い!」
目をキラキラと輝かせながら辺りを見ていると後ろから誰かとドンッとぶつかってしまった。
「おっと、悪ぃな少年。ちっこくて見れなかったんでな」
「あぁ…ごめんなさい…」
素直に謝るとプレイヤーは目を見開いた。
「…ん?少…年じゃないのか?」
「…え?」
チラリと横の店のガラスに写っていた自分の容姿を見ると、身長は男子中学生平均身長位だろう。だが顔が余りにも整い過ぎてしまっていた。顔は少女っぽいが、少し美形の男子の雰囲気があり、中性感があるが男と間違えてもおかしくない。髪は肩ぐらいの長さまで伸びているが白のメッシュが1筋だけ。胸は………ひn…いや、まだ成長してないだけ…してないだけ…。鉄プレートあるし…気にしないでおこう…。
とまぁ、響希自身が少年と間違えそうな容姿をしていた。
「…えっ、イケメンじゃん…じゃなくてじゃなくて!コレって…レアアバター?」
「中性的な見た目を引くとは君凄いな…!少し悪いがフレンド登録しないか?」
「…こういっちゃあなんですが、ちょっと怖いので近寄らないでくれませんか?」
自慢。中性的なアバターが生成される確率はなんと、コイントスで30回連続表が出る確率と同じである。激レア中の激レアなので、数百万しているアバターというのが中性的なアバターなのだ。
そんなアバターを有しているプレイヤーと友達。人気もでるし、宣伝にもなる。とんでもない商売道具だ。だから今は信用出来ない人は怖い。
響希もちゃっかりしているもので、欲しい情報をきく。
「あ、オススメのダンジョンとか無いですか?初心者向けの!」
「ん。あぁ…アソコだな。山の麓の洞穴だ。この階層で1番広いが、敵のレベルが低すぎるもんで…初心者コースだと結論ずけられたんだよ。最大でもLv5までしか出てこないからオススメだぞ。ほぼマップも開拓済みでな、安全なダンジョンさ」
「親切にありがとうございます。では!」
そそくさと離れ教えて貰った所へ向かう。
武器等を買っていないのに、早めに敵さんを見てみたいと思う感情が大きい響希は、周りになんか目もくれず走って街の外へ出ていった。
『そういえばこのゲーム、チュートリアルが無かったけど、持ち物の確認とかのやり方がわかる…何でだろう』
実はこのゲームに入った瞬間に必要最低限のデータが記憶として直接脳に入っているのだ。コレは本来とても危険な行為だ。何故なら直接脳に刺激を当てる行為自体が危なっかしいのだ。下手したら後遺症になりかねないところ、独自の技術にてそれを安全に行えるようなシステムをゲーム会社が作り上げたのだ。
そうこうしてるうちに目的のダンジョンへとたどり着いた。
「じゃあ、行きますか!」
洞穴へ入ると響希は足を滑らせ、手に持っていた木刀を地面に突き刺し、背中から落ちないように堪えるとカチッと何かが押しささる音がして落下する。
響希はそのまま身を任せて落ちるしかなかったのだった。