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地属性精霊術師は風属性精霊術師を可愛がりたくてしょうがない  作者: 黒笠
第3章

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25 ダイドラ帰還④

 フィオナが頬を赤らめたままコクリと頷く。

「すげぇ、ノレドが言ったとおりになってた」

 思わずケイズは口にも出してしまうのであった。

「ええっ、私、ノレドさんみたいな人にまでバレてたのっ?!そもそも、ねぇ、私、どう思われてたの?皆から」

 焦った風にフィオナが周囲を見回して告げる。

 答える者など誰もいない。ただ、返答の代わりに冒険者からもギルド職員からも生暖かい視線が返されるばかりである。

「みんな、お似合いだって思ってたんだよ」

 ニッコリと微笑んだままリアが告げる。

 結果、フィオナの顔が更に深く、真っ赤に染まることとなるのだった。

(まったく興味ありませんでした、なんて言えない)

 リア以外には無関心なケイズは密かに俯くのだった。

「うふふ、じゃ、私達、行くね」

 くすくす笑ってリアがフィオナに手を振って別れる。ケイズの手を引いて、冒険者ギルドのダイドラ支部を後にした。

 そのままダイドラの大通りを抜けて、クラン双角の本部ジード宅へと向かう。

(やっぱり人目が気になる)

 杖2本を背負った自分に向けられていた視線がケイズは気になった。一人二人、のものではない。すれ違う人、ほぼ全てである。

(なんとなく、自分の手を離れたところで何か、嫌なことが起こってる気がする)

 ケイズはリアの華奢な背中を楽しみながら思うのだった。

 いちいち歩みを止めてもいられないまま、目的地へと至る。

「おおっ」

「わっ」

 2人で仲良く揃って声を上げた。

 クラン双角の本部が完成している。木造3階建て、長方形の建物だ。少なくない額を2人も出資していたのでとても感慨深い。

「すごい、きれい」

 見上げてから視線をケイズに向けて、リアが言う。くるくると嬉しそうに回転を始めた。

(建物の完成を喜ぶリア、可愛い)

 当然、ケイズにとってリアより素晴らしいことなど存在しないのである。

 リアに手を引かれてされるがまま、入り口と思しき両開きの扉の前に立つ。

「ただいまっ!」

 リアが元気良く、扉を開け放つ。

「リアさんっ!ケイズさんっ!待ってましたよ!」

 受付と思しきカウンターの前でだらけきっていたエリスが身を起こす。イェレス聖教国の情報網でダイドラへの帰還自体は先んじて把握していたのが一言で発覚しているのだが。

 そういう配慮よりも再会を喜んでくれていることも知られて、ケイズですら釣られて嬉しかった。

 奥にはジードとステラの姿も見える。自分たちに気付くやニコニコ笑顔を浮かべて出て来てくれた。

「おうっ!2人共おかえりっ!」

 ジードが嬉しそうに言い、歩み寄ってきた。

「元気そうですね」

 ステラも白いシャツに紺のスカートという私服姿で笑顔を見せた。

「ただいまっ!みんな元気そう!嬉しい」

 リアがもう一度『ただいま』を言うと、エリスの手を取って、ピョンピョンと2人で飛び跳ね始める。なお、エリスの足がさほど飛べていないのは御愛嬌だ。

「大変だったんですよ?クロナガスダイルが出て」

 エリスが頬を膨らませる。

 まず文句が出てくるあたり、いかにもエリスらしいのだった。

「でも、ノレドが倒したって聞いたよ?」

 キョトンとしてリアが言う。もう倒したのなら別に良いではないか、ということである。リアもリアでリアらしいのであった。

「うん、まぁ、そうなんですけど。ノレドって人、記憶より断然強くて」

 微妙な顔で俯くエリス。なぜだか後ろでステラがニヤニヤと笑っているのだ。

「なんか、すんごく強くなったって聞いたよ?もう第2等級なんだって」

 リアが無邪気に言い放つ。

 エリスが自分を見た。

「ケイズさんが無茶しないようにって、送り込んだ、足手まといのはずだったんですけどねぇ」

 ノレドに失礼なことをしみじみとエリスが言う。

 リアもステラの目配せを受けて、『あっ』という顔をする。女子同士で実に仲が良いのであった。

「それが、あんなに強くなって帰って来るなんて」

 首を傾げてエリスが言う。

 少しはノレドもエリスの記憶に自身の存在を刻みつけることが出来たようだ。

「最近はノレドが強くなって戻ってきたから、マーシャル達のパーティーも動きが活発になったんだよ」

 笑ってジードも告げる。

 町全体のことを考えて、同業者の活躍も喜べる、という点を改めてケイズは感心するのだった。

「うちも負けてらんないけどな。ケイズとリアも戻ってきたし、うちもこれからだ」

 力瘤を作ってみせて、ジードが告げる。

「過剰攻撃は駄目ですからね」

 エリスが自分とリアを見て告げる。

「そうしたいのはやまやまなんだけど。ちょっと、知らせることとやらなきゃいけないことがあって」

 ケイズはリアに目配せして2人で並ぶ。いざ改めて報告するとなって、なぜだか緊張してしまう。

 リアが力づけるようにピトッと身を寄せてくれる。

「俺達、婚約した」

 そして一同にケイズは告げた。

 一同、皆、沈黙する。

「知ってましたよ、そんなの。あれだけ大々的にホクレンが広報してたじゃないですか」

 エリスがしれっと身も蓋もないことを言う。他人の婚約を『そんなの』扱いである。

「まったく、そんなことを言うもんじゃありませんよ。お目出度いことなんですから」

 ステラが苦笑いで性悪の聖女をたしなめてくれる。

 せっかく意を決して報告したというのに、つれない反応をいきなりエリスから受けたので、ケイズとリアは揃ってがっかりしたのだ。

「エリスはともかく、2人ともおめでとうっ!俺も聞いた時は我が事のように嬉しかったし、改めて直接聞けて嬉しいよ」

 人間のしっかりと出来たジードが祝福してくれた。

「ええ、2人ともおめでとうございます。私も幸せな気持ちになりましたよ」

 ステラからも祝福してもらえた。

「ありがとう、2人とも」

 リアがにっこりと微笑んで言う。

「私だって、御二人の婚約、喜んでるのは一緒なのに」

 余計なことを言って、自業自得なエリスが頬を膨らませる。

「性悪だからですよ」

 ステラからエリスが指摘されてしまう。

「まったく、あぁ、あと2人とも。やらなくちゃいけないことって?」

 更にジードが尋ねてくる。

「ホクレンの軍人で怖い人がいなくなったから、それを捕らえて来いって、義兄さんから頼まれたんだ」

 ケイズはかいつまんで報せた。さすがにバンリュウの名前を出すのは気が引ける。

「多分、俺を狙ってくると思うんだ」

 ケイズの言葉にリアも嫌そうに頷く。

「あぁ、難儀ですねぇ」

 誰のことかを察したエリスが遠い目で同情してくれた。

「確かにそれは専念しないと危ないですね」

 ステラも頷いてくれた。

「うん。私、ケイズに何かあったら、嫌だもん」

 リアが2人に向かって頷くのだった。この3人は仲良しなのである。

 そして、ケイズとリアは更にひとしきり3人がかりでの祝福を受けて満足すると、クラン双角の本部を後にするのだった。

 

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