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地属性精霊術師は風属性精霊術師を可愛がりたくてしょうがない  作者: 黒笠
第3章

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24 ダイドラ帰還③

 フィオナとの再会をケイズは喜ぶ反面、リアとの抱擁を見るにつけ、羨ましい気持ちもまたどうしても抱いてしまうのだった。

(俺は許婚者、俺は許婚者)

 相手がフィオナなのでケイズは嫉妬をなんとか抑え込もうとする。何せ自分はもう婚約しているのだから。

(エリスやステラにも嫉妬して、リアを困らせたんだから。同性には嫉妬しない。女性にまで嫉妬しない)

 ケイズは激しい嫉妬を必死で抑え込もうとして、自らに言い聞かせる。

「遅かったじゃないの、もうっ!2人とも。大変だったのよ?」

 ようやくリアから身を離して、思わぬことをフィオナが告げる。

 ケイズはリアと顔を見合わせて首を傾げた。大変だったのは人攫いにあった自分たちの方だ。

「クロナガスダイルが出たっていうのに、2人とも街にいないんだもの」

 フィオナがリアとケイズを交互に見て告げる。

(あぁ、そういえばブラックさんがそんなようなことがあったって言ってたな)

 ケイズは思い出すのだった。

 確か黒くて大きな水棲のトカゲだ。

(あんなの、埋めるなり、下から串刺しにするなり、いくらでも簡単に倒しようがあると思うけど)

 ケイズはやはり首を傾げてしまうのだった。

「皆で、合体式の炎魔術を撃って、それでもだめで。戻ってきたノレドさんがやっとトドメを刺してくれたから。それで今、街は平穏なのよ?」

 フィオナが熱を込めて、いかに危機的状況だったのかを語る。

 そう言えば自分もリアもいなかったのだ。ケイズ自身が想定したのも自分ありきの策だから、確かに大変だったのかもしれない。

(合体式の魔術かぁ。見てみたかったなぁ)

 めったに見られるものではない。戦などでは真っ先に潰されてしまうのである。

 ケイズは思い直して頷いてみせた。リアも神妙な顔だ。

「それにしても、ノレドは無事に帰れてたのか」

 ケイズとしてはそちらに気が向くのだった。一緒に旅をして、魔獣を討伐した仲なのだ。リアを失っていて、荒んでいた時期だったので、そんな自分と一緒に行動するのはさぞや大変だっただろう。

 今、思い返してみると良い旅の道連れだった。 

「ケイズ、ノレドのこと、覚えてたんだ?」

 リアが驚いた顔をする。

(俺がリア以外、誰にも興味がないみたいじゃないか)

 ケイズは憤慨するも、確かにリア以外誰にも興味がなく、実際、思い出せなかったのだった。初対面はそれこそ飛竜襲来の時だったらしい。

「竜を倒そうとしてたら、ついてきた。指輪、完成させて求婚しようって思ってたから。ノレド、そこに無理矢理、ついてきたんだ」

 端的にケイズは説明する。

 上手くすれば、ノレドの三連砲でクロナガスダイルを粉砕することは十分に可能だろう。一緒にいたときの破壊力を思い出してケイズも頷けた。

(皆が攻撃して、弱った後で、しかも魔術を強化出来るエリスも一緒だったんだから)

 他人事のようにケイズは感心するのだった。

「今じゃクラン双角以外でただ一人の第2等級の冒険者だから。引っ張りだこで大忙しなのよ」

 フィオナがリアに話し続けていた。リア当人が真面目くさった顔で頷いている。

 つまり今も依頼に出ていて、ノレドが不在ということだ。再会はしばらく先ということとなる。

「うん、私達ももう少ししたら復帰するね」

 リアがフィオナの手を取って嬉しそうに言う。『すぐに復帰』ではないことに、フィオナが首を傾げている。

「私達、婚約したの。で、兄様がほんっとうにお馬鹿だから、やんなくちゃいけないことあって。すぐにはまだお仕事出来ないの」

 リアが怒ってから少ししょげた風になって告げる。

「そういえばそうだわっ!広報で聞いてたのに、ごめんなさい、すぐに言わなくて。本当におめでとうっ!」

 フィオナが手放しで祝福してくれる。よほどクロナガスダイルが怖かったのだろう、とケイズなどは納得していた。

「で、まだね、いくつかしなくちゃいけないことあるから」

 あまり冒険者ギルドのダイドラ支部に長居もしていられないのだった。フィオナに会いたいというリアの気持ちを勘案して寄ったのである。

「私達、もういくね。エリスとかステラにも会いたいの」

 リアが楽しそうにケイズの手を取って、言う。

「クラン双角の人たちも、皆、いつも忙しくしてたけど、今日はたまたまお休みにしてたみたいよ。誰も仕事には出てないみたい」

 ニッコリとフィオナが笑って教えてくれた。

 クランの皆も仕事で不在の可能性はあったのだ。先回りして教えてくれたフィオナの気遣いは有り難い。ケイズとしてはただただ感謝なのだが。 

「じゃ、フィオナ、今日はジードとデートだね」

 リアがサラリと言う。

「ええ、仕事終わったら、夕食を一緒に、って、もうっ、リアちゃん!」

 フィオナがいつもの事務的な顔で即答して、失言に気付き赤面した。

 ケイズもびっくりである。

(すげぇ、ノレドの言ったとおりになってた)

 カマをかけた当人のリアがいたずらっぽく、ペロリと舌を出していた。

「良かった、うまくいったんだね、告白」

他人事を我が事のように喜べるリアが可愛い。ケイズはいつもどおりリアの可愛さに魅了させられてしまうのだった。


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