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願いの名は“星宮速人”

 宮殿少年のおかげで宮殿の中に入ることが出来た。

しかし、城主の表情は暗いままだ。

「自己紹介をまだしてなかったですね。僕はここの主 朝間長美だ。ここを10年間主として守り抜いてきた。いや私たちだけが残されたというのが正しいのかもしれない。街を見たでしょ。城下町は荒廃したまま放置された。ここも門だけは立派だけど半壊してる。10年も経ったのに。」

やはり発言からも重苦しい悲壮感がぬぐえない。

「少し待ってください。手紙には確か妹さんがいらっしゃると。妹さんはどこに?」

エスメトが問いかけた。

「妹、咲なら地下室にいるよ。」

俺たちはそこへと向かう。


 地下室といえどそこは独房のような場所だった。何やら焦げ臭い臭いがしてきた。本当にこんなところに第二王女がいるのか、騙されているのではないかという不安を抱えていた。しかし、彼女を見た瞬間、一同はそんな心配など忘れるほどの衝撃を受けた。

「どういうこと何だ。」

俺は口で手を覆う。そこには、身体を炎に包まれた人がいたのだから。もはや、ヒトかも分からない。

「咲は、10年間燃え続けているんだ。決して身体が朽ちることも死ぬこともない。でも、誰かと言葉を交わすこともできない。永遠の苦痛と孤独を味わってきた。」

城主は顔をしかめる。

「エスメト、僕が言ったことの意味がこれで分かっただろ?誰もこの件にもう関わるべきじゃないんだ。」

「城主様、関わらないで済む話じゃもうないんです。」

そういうと舞は、

「ふぇ⁉急に何をすんだよ」

俺のズボンを脱がした。

「きゃあああああああああああああああああああああああ」

エスメトが悲鳴を上げ、視線を逸らす。

「この少年の左足の太ももには呪詛が刻まれている。これは、彼がこの世界に来る前からあるものだ。もう奴らは異世界にも浸食している。」

舞は俺のことなど目もくれず、真剣なまなざしで語る。

「でも、この力を使えば使うほど苦しむ人が増える。妹みたいにもう誰もなってほしくないんだ。咲はきっと僕が死んでも苦しみ続ける。咲はこの国を救う代わりに全ての業を背負ったんだ。」

城主は感情的になる。

「城主様、ここで閉じこもっていても、何も変わらなくてよ。」

さっきまで顔を赤らめていたエスメトが声を上げる。

「まだ、妹さんを、咲さんを苦しみから救える可能性が消えたわけじゃない!私たちは、彼、速人を救うためにここまで来た二人とも救える手だてがあるかもしれないですわ!」

エスメトの必死の説得に心を動かされたのか

「僕に少し考える時間をくれないか」

といい別室へと城主は移った。


「お兄ちゃんヒントを上げるね」

また俺の裾を少年が掴む。

「え?」

そういうと、俺の頭の中の靄≪もや≫が取れた。

俺は少しずつ思い出した。あの忌々しい事故の後、あの黒い男と交わした約束を。


「そなたの望むものをなんでもやろう」

事故現場から帰ろうとすると、そう話かけてきた

「誰ですか?知らないおじさんにはついて行っちゃいけないって、お母さんが。」

俺がそういうと、俺の頭に奴は触れてきた。

「触らないで!」

そういうと、俺の頭には、クラスの中心にいた全て完璧かに見えた少年が浮かんだ。彼の名は星宮速人。

「なるほど、そなたの願いは“星宮速人”。」

そう、名もなき少年が主人公になることを願った。

俺は願った記憶もない。手の届かない場所だと思いつつ、憧れてた。

「代償があることもお忘れなきよう。」

そういうと、黒い男は帰ろうとした。しかし、何かを思い出したかのように振り返り、

「また何か願いがあれば、こちらに。今はどこかわからなくとも、あなたが心の底から願えば、きっとどこかわかります。」

頭にどこかもわからない、ぼんやりとだが、巨大な石壁と5つの墓のようなものが浮かんできた。


「大丈夫?アタイ心配しちゃったよ。呆けた顔するから。急に脱がされて感じちゃった?」

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