牢獄のような集落
集落の門へつく
「ここで安静にしていなさい。痛みも少しましになるはずよ。まぁ根本的な解決にはならないけど」
その女はそう言うと立ち去ろうとする。
「待ってください?あなたはここの住人じゃないんですか?」
俺は彼女に問い掛ける。集落の中にも入ろうとしないなんて変だ。
「アタシはただの放浪者。村に入る資格などありません。では1週間後、この場所へ。今の状態で問題を解決するのは危険です。」
そう言うと、森の中へ消えていった。
「よくわからない女性ですわね。集落へ向かいましょ。」
「でも、かなり頑丈な門、それに相当な高さだ。まるで牢獄だ。」
俺は息を飲む。ここまでの建築が必要なんて、どんな状況なんだろう。分厚い石組みに鉄の門。
「誰か!この門を開けてくださらない??」
エスメトが叫ぶ。反応がない。
「おかしいですわね。私の国ではここまでの城門なんて見たことがないですわ。ここまでの鉄を製錬できるなんて、、、、、、」
「ねぇ君たちこっちこっち」
声の主は幼い少年だ。
「え?」
「お兄さん、お姉さん生き残りたいんでしょ?」
そういう少年に足を引き摺りながらついていくと、トンネルがあった。
「ここは集落が制圧されたときのための避難経路。ここを辿れば中に入れるよ。」
そう言うと少年は集落へと消えていく。
「待って制圧とか避難経路とかなんのことです??」
その疑問を投げかける隙もなく、去って行ってしまった。
集落
「あの宿はこのあたりにありませんか?」
「この集落に宿はないよ、余所者なんて普通こないからねぇ」
老婆が答える。
「でもあんたら面白そうだし、うちで泊めてやろうか。部屋は余っているから。」
老婆は不敵な笑みを浮かべる
「いいんですの?」
エスメトはのりのりだ。
「ついて来な」
老婆に不信感を募らせながらついていく。
不審な目で住人から見られているのをひしひしと感じる。
老婆の家
「とーっても広いですわぁ」
エスメトは興奮している様子だが中々気が置けない。
「ここは昔領主の一家が住んでいた家。色々あってわっちが一人で住んどる。」
「領主の一家に何があったんですか?」
老婆に探りを入れる。
「全員死んだんだよ。それだけのことさ」
老婆は何かを隠している様子だ。
あまり寝付けない、ここは何か恐怖を感じる。一族が死に絶えたってまさかあの老婆が?そんな恐怖に曝され寝付けずにいた。それに足の痛みも引かない。だが、そんな事我関せずでエスメトはふすま越しにぐっすり寝ている様子だ。
バタっ
突然引き戸があき、笑いながら老婆が立っていた。