願いと代償
俺は星宮 速人。高校3年生。
「これで終わりなんだな。」
俺は今どん底だ。全てを失った。高校最後の試合から突然足が動かなくなった。正確には試合中。エースの俺が最後点を決めれば全国大会に出れた。でも、そうはいかなかった。突然左足に卍が浮かび上がり、動かなくなった。それ以来俺の足は戻ることはなく、学校中からきらわれた。学校の威信を踏み躙ったものとして。
「お前のせいで」「被害者ぶるな、ごみが」「そんな傷つけて悲劇のヒロイン気取りかよ」「先輩のせいで俺たち大変なんだけど」「もう速人は付き合えないよ」
そんな罵倒、暴言を毎日のように浴びせられ続けた。彼女も失った。彼女の名は織田 栄
「なんでこんなことに!!」
俺はこんなにも努力してきたのに、努力してエースにまでなったのに。最後の最後になんでこんなにも、苦しまなきゃいないんだよ。
「貴様は本当に努力などして来たのか?」
低い声が響く。松葉杖から手を離し、その声に足を引き摺りついて行く。
「貴様はなぜ恩を忘れた?」
「なぜ貴様のような無能な人間ごときがいい思いをできたと??」
気づけばプールについていた
「栄ええええええええええええええええ」
溺れたのかプールの底に栄の姿があった。
「でも、あいつは俺を捨てて、、、、、、それに、この足じゃまともに歩くことなんか、、、、」
「貴様はその者のために何を捨てられる?」
また低い声が響いた。
「差し出すって何を?」
「そなたはすでに左足をさしだした」
目の前に真っ黒な男が現れた。その手には左足部分に、釘が刺さっていた。
「神は徳に力を与える。そなたは徳として左足を差し出したのだ。」
「今回は特別だ。もう一度左足動かせるようにしてやろう。その代わりに、貴様はこの世界から消える。それは貴様が望んでいることでもあるだろ?」
「わかった」
必死に泳ぎ栄までたどり着く。しかし栄に息はすでにない。
「騙した、、、、、のか?俺を騙したのか?足を奪ったように!」
「いいや、あなたの徳に見合うモノ与えたのに過ぎない。それは貴様が望んだことだ。では徳を支払って頂きます。」
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
プールの水が突然下に現れた穴に呑まれていく。
「でも、これで俺の苦しみは終わるのかな?これで全て終わりなんだ。」
俺はそう自分に言い聞かせる。
「それで貴殿は名前は?どこから来たのですか?しかもこんなとこで寝ているなんて。」
「星宮 速人。どうやって来たのか、俺もうまく説明できないけど。」
「速人ね。ならゆっくり思い出していいですわ。ほかに頼る人もいないようですし。貴殿に連れはいらっしゃらないのですか?」
「あぁ、、、、、栄、、、、、、、」
「み、、、え、、、さんはどちらに?」
「いや、何でもない」
栄はもうどこにもいないんだ。俺の願いで。そんなこと望んだ覚えなんてないのに。
「あ、君たちこんなとこでなにやってんの?」
「私達は地形が変わっていて迷子に」
「じゃあ、集落まで案内するね。」
そう言うと無理やり二人の手を引く
「あっ」
足がに激痛が走る。さっきまでは動いていたのに。
「どうしたのですか?速人。あなたまさかこの印」
「治せるかどうか微妙だなー。まだ壊死はしてないみたいけど、早くなんとかしないと!」