神を食らうもの
「なんで、ここに来ちゃダメなのに。」
夢にも見た苦しみもがく少年がそこにはいた。
「僕が犠牲になればそれで、収まったはずなのに。」
「それでみんなが幸せになるはずなのに」
彼は今にも泣きそうな声で呟く。
「収まらなかったんだよ。」
「そんなはずじゃ。」
「栄も先生も亡くなったよ。このままだと俺も。」
「そんな僕は、、、、」
「最後にそなたの魂もいただいて。終いにしよう。」
その瞬間、地震が起きる。
「どうしてここまで揺れが!?」
黒い男までも動揺する。
「ここは全ての世界の中心、地震など起こるはずじゃ。」
どうしてだ。頭に恐ろしいほどの記憶が強烈な痛みと共に流れ込む。これはあったかもしれない記憶。いや、今までが夢だったのか?くらい闇の底で閉じ込められた記憶。
「神よ、あなたの役割は終わりました。」
「牧師様!?」
「また会いましたね。でもあなたには邪魔はさせませんよ。」
「全ての生物を貴方達、神と等しき存在にする。死から免れ、輪廻から脱する。」
「なぜ貴様は我らに招かれていないのにここに来れる。」
「私は体など既に捨て去りました。」
「咲を生きながらがえさせて、長美の復活を、私はただそれを願う。彼女たちと永遠に生き続けることを。」
「2人の女のために、この世界の均衡を壊すか!!」
「そのために私は全てを犠牲にする!師匠は全ての世界を一つにし、全ての世界を掌握しようとした。ですが、私は2人と永遠≪とわ≫の瞬間≪とき≫を刻み続ける。」
「さようなら、悪大主尊≪あくのおおぬしのみこと≫。地輪の主。」
「舞様、世界の崩壊が始まりました。」
「そうね、真姫。地獄の釜が開いたわ。」
「二人でこの危機を止めないと。」
「正しい時間軸と歪んだ時間軸が統合してる。やっちまったね偽の速人くん。さらに、あらゆる世界の統合が始まる。5つの世界と黄泉を全て一つに、新たな生命へと進化を遂げる。舞様今度は逃げられませんね。」
「神々の王たる5人。やつは、5人はそれぞれの世界そのもの全てを食らうつもりね。やっぱり、どんな世界線でもアタイは子供でなんて居られない。」
「舞様、、、、、」
「真姫行くわよ、あの崩壊よりもきっとやばいことになる。民のために死ににいくわよ。」
(どうせアタイたちはここでは生きれない。)
「真姫だけでも生きて。真姫はアタイを十分救ってくれた。村を半分背負ってくれた。真姫も立派な領主の一人よ、厄鬼姫。」
(きっと剛≪たける≫はもう帰って来ない。)
「剛ってやつに会ったことはないけど、きっといい男なんだろうな。嫉妬しちゃうな。」
「別にただ優しかっただけ。だからこそああなった。」
「エスメト早く逃げるのよ」
「お母様、おじさまは大丈夫なの?」
「さぁ?わからないわ。でもいまは私たちが生き残ることを考えましょ。」
お母様も余裕がない。でもおじさま。
「っつう、、、あぁ速人!!」
激痛と共に速人と過ごした日々が蘇る。
「急にどうしたの?」
「お嬢様私めがターミーの森までお連れします。」
執事が自ら申し出た。
「そこに答えがあるのでしょう?」
「何を勝手に!?状況がわかってるの?」
「今だからです。サリー婦人。旦那様は出先です。どこへ逃げても生き残る保証はありませぬ。」
「わかった、私も連れて行って。」




