世界が狂おうと、死神からは逃げられない
俺たちは宛てもなく探し回る、生き残る術を。
「私たちどうなるのかな。きっと私は長くないから。」
何か思い詰めた表情で語った。
「きっと大丈夫だよ。俺達なら生き残れるさ。」
そう言いながら俺は内心震えていた。明日死ぬかもしれない。そんな恐怖苛まれながら生きてきた。どうして俺はこんな目に。今生きていることが逆に辛い。でも白取先生がいなくなった今俺しか栄は守れない。
「でも、どうすればいいか俺にだってわからない。」
「一旦状況を整理してみよ。」
俺の不安そうな顔を察したのか、栄はそう提案して来た。栄のこんな表情初めて見たかもしれない。
俺達3人の共通点は同じ卍の印の傷跡。
俺は両手、栄は首、白取先生は胴体にそれぞれ傷がある。そして先生は胴体を木っ端微塵に破壊されて亡くなった。けどそれ以上のことはわからない。きっと俺らの死も、死に方さえも運命づけられているのだろう。
「けど胸ぽっかり空いた、存在したはずの誰かの記憶。そう、誰かがあそこにいたはずなんだ!」
俺は記憶を探る。どんなに思い出しても顔も名前も思い出せない。ただ存在したということは覚えているんだ。きっとそいつが鍵を握っているそう確信した。だがどう会いに行けばいい。その方法すらもわからない。
黄泉の国にでも行けばいいのか。それじゃ、俺達の運命からは逃げられない。
しかし、そんな不安は一気に消しとんだ。
空から人が降ってきたのだ。
「死の宣告に来た。世界が狂ってるから、正確な予測かはわからないけどね。」
そう降りてきた小学生くらいの少年は言った。
「君たちは本来であれば、すでに死んでいる。だが確実に迫り来る死に抗うこともできない。」
突然の申告に俺達は動揺する。
「つまり、君たちは生かされている。君たちは誰かの意思で生きている。調律を狂わせてまで君たちを生きながらえさせた人がいる。」
「何を言っている、お前は誰だ??何者なんだ!」
俺は得体の知れない少年に、敵意を向ける。
「僕は罪の象徴。そして、狂ってしまった世界で生まれることができなくなったもの。またきっと会う。今度は君の死に際に。」
少年は風と共に消え去った。
「何だったんだ、あいつは。」
「栄は栄がいない!」
俺は栄を必死に探す。でもどこにもいない。
「まさか、あいつが」
ふと見上げると木の枝で首を吊っていた。
「みえ、みえええええ」
俺は泣きながらも、栄を木から下ろす。しかしもう息はなかった。
俺はうちひしがれる。
「俺が、頼りないばっかりに、、、、、」
俺は自分を責めることしか出来なかった。誰に殺されたかもわからない。誰を怨んでいいかもわからない。
「大丈夫ですか?」
後ろから肩を叩かれた。
そこには牧師のような人物がいた。
「私はアイレーン。少しお話しをうかがっても?」
「いまは、一人にしてもらえませんか?」
「1人というのは、逆に辛くなるときもあります。」
そう言われ牧師について行くことにした。
「でも、栄が。」
そう言って振り返ると栄の姿はなかった。
「え?栄。そこで」
「あなたは自分を責める必要はありません。きっと彼女は、生きて居ますよ。だから今は私に身を任せて。」




