第弐話 少女、試練を受ける Sideアウラ
私はどのような事にも耐えて復讐を果たさなければならない、だが今はその力さえも無い状況にある。
その、試練へと挑む他に力を得ることは出来ないだろう。
だが、只々に復讐をするだけでは物足りない、だからこそここで力を手に入れなければならない。
だが、試練も一筋縄では無い、だからこそ私は思考する。
アンデッド達は、基本的には怨みなどの負の感情から成り立つ魔物になる。
私はどの様にすれば、この嘆きの渓谷のアンデッド達を束ねるジェルガの力を手にすることが出来るであろう……
どの様にすれば良いのかも皆目検討がつかない、無限の闇の中に居る感じに陥る。
何かヒントがあるかも知れない。
私はそう思い再びジェルガの姿を見直す。
彼は熟練の冒険者様な風貌に見える、かなりのやり手の冒険者だったのかも知れない。
だとすれば、冒険者は実力主義になる…。だがしかしそれだけでは無いだろう。
なにせジェルガはこの嘆きの渓谷の中のアンデッド達からは頂点に君臨するだけの実力がある。
誰かの上に立つのは圧倒的な存在感があり、貫禄もある彼をどの様に取り込む事が出来るであろうか…
今でも私は彼に恐れを抱いているのかと思うと戦慄する
だが、試練はもう始まっている
私は彼の力を取り込み前に進まなければならない。
力も無いこの私が出来るであろう手段は限られてくるだろう。
だが、私は幼い頃から幽霊と会話し培ってきた経験がある。
だが、彼にそれが通用するだろうか…?一抹の不安がよぎる
彼は一歩も動く気配が無い、それは即ち私が選択を間違うと逆に彼に取り込まれてしまうだろうと容易に想像がつく。
だが、試練を受けて立つと大見得を切る様なことをしてしまっている
そして私は今もなお命が削れている、死の間際だからであろうか。
あまり時間もかけることが出来ない……。
自我を保つのも精一杯だ、少し目が霞む…。
早くしなければならないが、冷静にならなければいけない。
そのために、彼の事を私なりにまとめてみた。
彼は、私が見て熟練の冒険者である事
彼は、この嘆きの渓谷のアンデッド達が認める実力がある事
今はそれだけしか、私にはわからない
でも、何かを見落としている感じがする……。
そんな中、彼は私に問いかける
ジェルガ「どうした?早くしなければお前は死ぬぞ。死ぬ前にお前の力を見せてみろ」
アウラ「ええ、でも私はあなたを越えてみせるから」
ジェルガ「………、そうか」
抑揚の無い言葉で彼は問いかけてきた。
そろそろ答えを出さなければいけないが、どうしても何かが足りない。
それが最後のピースになっているのかも知れない
私は今ジェルガという彼の存在を見た、今度は私を見返す必要が有るのではと思うと走馬灯の様にこれまでの私が見えてきた。
だがその中で唯一私に無い物があった…。
それは…、私を受け入れる存在が人間には居なかったが、
幽霊達は私を受け入れてくれていた様に思えた…。
それは即ち、私は彼を受け入れる必要が有るのではという結論に至る
だけどもこれが正解かはわからない、神のみぞ知る物だと思えた。
だけども私はこれが正解だと信じて疑わない様にする
でも彼だけを受け入れるのではない力を超越するなら…
私はこの世界のアンデッド全てを受け入れよう。全てのアンデッドを愛そう。その為であれば喜んでこの身を捧げようではないか。
そう考えを纏めたら胸のつかえが無くなった様に思えた。
そう、これが私の出した答えだ。
あとは、行動に移すだけだ。
そのために彼に歩み寄る………。
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