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Reality−異世界−  作者: Ongaku
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アウタム国編5

マ「名も知らぬわたくし達をお救い頂き、誠心誠意感謝いたします!」

感謝を述べてマロネ達4人は膝をつき手を胸に当てて深々と頭を下げた。

ウ「気にしないでくれ。それとシフィはあんたの事を知ってるみたいだぞ?」

シ「ご無沙汰しております。マロネ・タースラ様。覚えていらっしゃるか分かりませんが、わたくしはシフィ・エディットと申します。」

マ「覚えていますわ!大きくなられましたわね。あの時はまだ子供でしたが、もう立派なお嬢様ですわね。」

シ「ありがとうございますですわ!覚えて下さってるとは…先ずは自己紹介しておきましょう。こちらはウェザーさん、ライアさん、リルネちゃんですわ!」

マ「そうですわね。改めましてわたくしマロネ・タースラ。マロネと気安くお呼びください。こちらがヨーク、コルタ、ベイシー…命を落としてしまいましたがダラですわ。」

ラ「ご丁寧にありがとうございます!」

お互いに軽い挨拶をした。

ハ「仲を深めるのも大事だがここに長居は出来ない。お前たちが逃げたこととウェザーの技で警戒態勢が最大レベルになっているだろう。とりあえず下に降りる。兵士も時機に高い場所から探すだろうからな。逆に目立つ。」

ウ「そうだな。だが俺達はいいとしてマロネ達をどうする?」

ハ「今着ているフードマントはマロネ達に渡せ。俺達はこの用意して来た貴族の服に着替える。」

ハカツデ、ウェザー、ライア、シフィはフードマントをマロネ達に渡したリルネのフードマントはしまった。その後、ハカツデが持ってきた貴族の服に着替えた。

マ「ダラ…わたくしの為に…先に休んでてちょうだい。わたくしもいずれそちらに行くわ。その時は手土産にこの国を変えてみせるわ!」

マロネはダラの手を胸に置き、その手に自分の手を重ねた。更にヨーク、コルタ、ベイシーと手を置いていく。リルネも手を置いた。

リ「大きな意志。光に返る。」

ライア、シフィ、ハカツデも手を置いた。ウェザーも周りに合わせて手を置いた。

【リントラーグ】

ウェザー以外が目を閉じその言葉を唱えた。ウェザーは目を少し泳がせて目を閉じた。その後手を各々離した。感傷に浸る間もなく素早く下へと移動する。みんながみんな一緒に行動すると怪しまれる為、別々に行動することにした。すぐさまカバーに入れるように、距離はそこまで離れていない。合流地点は王都に侵入した場所だ。お互いの連絡手段はハカツデが発動させた『風囁』という魔法だ。

ラ「困ったことになりました。」

一足先に着いたライアがみんなに報告する。

ハ「どうした?」

ラ「私達が来た場所に兵士達がいます。このままでは秘密の通路が見つかってしまうかもしれません。倒しますか?」

ハ「やめておこう。壊されない限りは見つかりはしない。それよりも兵士を倒す方がデメリットが大きいだろう。マロネ達を逃がしたかったんだがな。予定変更だ。情報屋に会いに行く。俺一人で行くからお前たちは目立たぬように時間をつぶしててくれ。」

マ「了解ですわ。」


ハカツデは特別変わった建物でもなく、この王都にとっては至って普通の家の扉をノックした。中から「はーい!」と男性の声が聞こえ、扉が開いた。

「何の御用でしょうか?」

どこにでもいそうな眼鏡をかけた男性がそこにいた。

ハ「突然の訪問申し訳ありません。パンを分けて頂けないでしょうか?」

男「パン…ですか。」

ハ「なければお菓子を頂きたいです。」

男「どうぞ中へお入りください。」

客間にハカツデが通された。男が手を二回叩いた。メイドがお菓子とお茶を持って出てきた。

ハ「聞きましたか?」

男「ええ。もう大丈夫です。」

ハ「逃げ出した金髪のエルフの新たな情報を知りたい。」

男「私が分かる事はこの王都内の事。逃げ出したエルフの情報はあれからありません。逃げだしてから日にちが経ちますが情報がないという事は何らかの手段をもって王都の外へ逃げたのでしょう。情報屋なのにご期待に沿えず申し訳ございません。」

ハ「いえ。それが分かっただけでも充分です。」

男「これはおまけです。実は今日第一騎士団がこの王都にやって来ます。逃げるなら早めが良いでしょう。」

ハ「その情報は助かります。報酬の方はまた後日伺いますので…これで失礼します。」

男「はい。よろしくお願いいたします。」

ハカツデは情報屋の元を後にした。

ハ「全員聞こえるか?いい情報と悪い情報がある。」

マ「ええ。聞こえますわ。」

ハ「いい情報と言うのはティレンと思われるエルフは王都にはもういない。だからここにいる必要はなくなった。」

ベ「え?…ルフ?」

コ「ティレン…?」

ハ「なんだ?心当たりでもあるのか?」

ベ「はい。同一人物かは分かりませんが、私達の村にいます。バレていなければですが…。」

ハ「最初から話しておくべきだったな。」

ウ「悪い情報と言うのは?」

その時大きな角笛の音が王都全体に鳴り響いた。それに共鳴するように大歓声が聞こえてきた。

ハ「この大歓声の正体…第一騎士団がこの王都にやって来たことだ。」

ウ「騎士団か。」

ハ「魔族を口実に俺達を捜し出すだろう。一刻も早く王都から脱出しなければならない。なりふり構っていられないな。秘密の場所で全員合流する。」



場面は変わる

大きな角笛の音が響き渡る。

「かいもーん!!!」兵士の大きな声と共に王都の巨大な門が開門する。開門された先に第一騎士団と刻まれた旗と共に騎士の軍勢が現れた。その中に豪華な馬車が2台あった。王都にいる人々は何事かと集まってきた。

ス「道を開けてください!」

そこにスーンズが城の方からやって来た。

「驚かれておられると思いますが落ち着いて下さい!実は第一騎士団の視察が今日ありまして、第一騎士団のご要望でありのままを見たいと。なので王様は今の今まで黙秘され、皆様にお知らせされておられませんでした!先ずは第一騎士団の方々を歓迎いたしましょう!」

人々から大歓声が上がり、左右に分かれて真ん中に道が出来た。

「進軍!」騎士の声と共に第一騎士団が動き出す。スーンズはそれを迎え入れる為に道の真ん中で立って待っている。第一騎士団の騎士の1人が馬に乗って一足先にスーンズの所へやって来た。

「失礼!あなたが代表の方か?」

ス「はい。その通りでございます。私目は副戦士長のスーンズと申します。」

「お出迎えご苦労様です。スーンズ殿。コンゴウリキ様は先ず王様に謁見したいとおっしゃっている。円滑に進めるようご助力を願う。」

ス「かしこまりました。私に付いて来て下さい!」

「了解した!お前たち!こっちだ!」

ぞろぞろと騎士団がスーンズの所へ集まった。その数はざっと3000。スーンズは城へと騎士団を案内した。城に着くと豪華な馬車から高身長のガタイのいいひげ面の男性 オデュラ・コンゴウリキ と白い羽を生やしたグラマラスな女性 ミカ・サンダエルが出てきた。

オ「お主が案内人か?出迎えご苦労。」

ミ「お勤めご苦労様です。」

ス「これはご丁寧にありがとうございます。わたくしスーンズが対応させていただきます。騎士団員の方々はここでお待ちださい。王様は玉座にてお待ちです。こちらへ。」

城の中を練り歩き玉座の間に着いた。玉座の間へ続く大きな扉が開いた。スーンズ達は玉座へと近づいた。両脇には大臣と兵士が並んでいた。

王「これはこれはオデュラ殿!よくぞ来てくれた!」

王は玉座から立ち上がりオデュラの元に歩み寄った。その王に付いてくる形で1人の男性も近づいてきた。

オ「お久しぶりですな。戦士長お主もな。」

王に付き添ってきた男性はぺこりとオデュラに一礼した。

ミ「ご無沙汰しております。」

王「うむうむ!ミカ殿ものう!スーンズ。案内ご苦労じゃった。」

ス「は!」

スーンズは兵士たちが並んでいる所へ並んだ。

ミ「お話は伝わっておられると思いますが、勇者様発案の奴隷解放令が行われているかの視察です。奴隷の判断基準ですが、拘束具を着けていない事。労働には対価として最低10万の金銭を支払っている事。自由意志がある事。大きくこの3つです。もし出来ていないのであれば、罰則を与えます。」

王「うむ。自由に視察してくだされ。視察が終わった後は歓迎の席を設けておるのでな。」

ミ「お心遣い感謝いたします。」

王「そうじゃ!視察がてら1つ願いを聞いてくれぬか?」

ミ「なんでしょう?」

王「実は今日国家反逆罪の者を処刑しようとしていたんじゃが邪魔が入ったのだ。スーンズの話によると魔族が関与してる可能性が高いと。」

オ「魔族?分かりました。こっちでも調べてみましょう。」

王「おおそうか!助かる。今王都から出れないように封鎖しておるゆえ、よろしく頼む。」

ス「私目が案内いたします!」

王「そうじゃな。頼んだぞ。」

スーンズ達は城を後にした。その足でウェザーがマロネ達を助けた場所へ向かった。騎士団員は視察に向かわせた。

ス「ここです。ここで反逆者をあと一歩のところまで追い詰めた所で闇魔法で襲われたのです。」

オ「どうじゃ?」

ミカは目を閉じて両手をゆっくりと前に突き出した。『魔力摘発』と唱えると両手から魔法陣が現れそこから360度、白く優しい光が広がった。

ミ「感知できた魔力は2つ。電気と重力です。闇は感じません。」

ス「何かの間違いでは!?確かに黒い塊が波の様になり私目をこの裏路地からはじき出したのです!」

ミ「間違いではありません。考えられる可能性は魔物でしょうか。」

ス「魔物…ですか?」

ミ「魔族の仲間なのでしょう。範囲をこの王都に広げましょう。」

そう言って翼を広げて宙に浮いた。王都全体を見渡せる高度まで上がり、体を仰向けにした。手を弓を引く様に構えた。

『魔力摘発矢雨』

弓と矢がミカの手元に出現し、大きな光の矢が放たれた。大きな矢は空高く上がり砕け散った。砕け散った光が1つ1つ小さな光の矢となって地上に降り注ぐ。矢は物理的に突き刺さる事はなく、触れた瞬間に光がドーム状に広がった。降り注いだ矢はやがて王都中を光で包み込んだ。

ス「な、なんですかこれは?」

 (力の桁が違いすぎる。これが騎士団…その中でも最強の騎士団と名高い事はある。)

オ「安心せい。ネズミを探しとるだけじゃ。」

ミカはうつ伏せになり王都を見渡す。

ミ(薄っすら魔族の魔力を感じる。こっちのほう…)

翼を羽ばたかせ感知した方向に向かった。

兵士「うわー!攻撃だ!」

声が聞こえた方に振り向く。道の真ん中に何個も岩が聳え立っていた。

ミ(こっちに移動した?)

ミカは岩が聳え立っている方に移動した。辺りはパニックになっていた。ミカも兵士も見えない敵に注意を払う。

ミ『生体摘発』 

光が辺りを包む。

(兵士以外にいるのは建物内にいる人物だけね。)

「私の声が聞こえる範囲の方々!そこを動かないで下さい!動いた方は敵とみなし捕縛します!」

ミカは範囲にいる人を呼び出し、外に整列させた。整列させられた人々はざわめいいていた。ミカと騎士団員は人々を落ち着かせながら、魔族かどうかを調べていった。結果は全員が白だった。

ミ「団員のみなさん。私は気になるところへ行きます。何かあったらまた報告してください。」

ミカは最初に魔族の魔力を感じた場所へと移動した。そこは裏路地。ゴミ箱があるくらいだった。ミカはもう一度魔法を使い王都全体を光の矢で包み込んだ。しかし、今度は魔族の魔力を感じることはなかった。

オ「どうだ見つかったか?」

そこにオデュラとスーンズがやって来た。

ミ「残念ながら見つかりませんでした。隠密に長けているようですね。」

オ「まあよい。わし等がいる限り手は出せんじゃろう。王都は封鎖してある。騎士団の見回りもさせよう。」

ミ「はい。」

ス「ありがとうございます。では私目はここで。」

オデュラとミカに一礼をする。

オ「おう。ご苦労。」

ミ「力になれず申し訳ございませんでした。この汚名必ずや果たしましょう。」

ス「それは心強い。お心遣い感謝いたします。」

オデュラとミカは路地裏から去って行った。スーンズはゴミ箱を開けた。中にはゴミがびっしりだった。ゴミの中に長い髪の毛を見つけ、髪の毛をつまみ上げた。スーンズはゴミ箱に重力魔法をかけて壊した。更にバキバキと音がしてゴミ箱の下が崩れ去り、階段になっている事を発見した。階段を降りると下水道に繋がっていた。

(なるほど。ここから逃げたのか。それなら次に行く場所は恐らく…。オデュラかミカの2人どちらかが付いて来てくれるなら簡単だな。)

スーンズは下水から元の場所に戻った。兵士を呼びつけ下水道内を探索させることにした。

「もしやつらが見つかったら魔法具で知らせろ。」

兵士「はい!」

スーンズはオデュラとミカに話をしに向かった。その途中に大慌てで兵士がスーンズの元に駆け寄ってきた。

兵士「ここにおられましたか!折り入って急ぎの連絡があります!」

ス「なんだ?こっちも急を有する。」

兵士「実はプノヒ村の守衛からエルフが村で見つかったと。」

ス「何!?それは確かか?」

兵士「はい。間違いないと。」

ス「これはツキが回って来たな。ご苦労。私は兵士を連れてプノヒ村に行く。お前はピグドム様に報告しろ。必ずや吉報を届けるとな。」

兵士「かしこまりました!」

敬礼するとまた走り出していった。

ス(だがしかし、騎士団の力を借りることは難しくなったか?いや、先にエルフを捕らえて後で奴らがやってくるのを待てばいいだろう。そうと決まれば善は急げだ。)



場面は変わり下水道の中を突き進むウェザー達。

ハ「一時はどうなるかと思ったが、何とかなったな。」

マ「そうですわね。でもまだ油断できませんわ。追手が来てないとは限りません。」

ハ「ああ。急ぐぞ!」

ヨ「それにしても、ウェザー殿。我々を助けた時だけではなく、先ほどの陽動も見事な活躍でした。」

ウ「そうか?たまたまだ。」

ラ「あの光の矢は何だったんでしょう?痛みがなかったので探知系の魔法だったんでしょうか?」

ハ「言えることは1つだ。あの2人とは絶対に戦うな。束でかかっても全滅するだろう。」

ウ「まあそうだろうな。」

ハ「着いたぞ。」

ウェザー達は元の木々が生い茂った場所に出た。

ハ「ここまで来ればひとまずは大丈夫だろう。」

マ「重ねてお礼申し上げますわ!皆様がいなかったらここまでこれませんでした。」

感謝の気持ちを伝えるマロネ達。

マ「次はプノヒ村ですわね。」

ベ「そうです。あれは数日前の事でした。村に魔物が襲ってきたときに、矢が飛んできてその魔物を射抜き倒したのです。そこには金髪のエルフが立っていました。事情は深く聞きませんでしたが、お疲れの様だったので村人たちで匿うことにしたんです。」

コ「本当は守衛が守らないといけないんですが、ずっとお酒を飲んでいるような人で…その日も酔いつぶれていたんです。だからこそ、エルフの女性は見つかってないんですが。」

ヨ「今度は私達が力になりましょう。村へ案内します。」

ウ「いや。ヨーク。お前たちが行くのは危険だ。顔が割れてる上に既に張られている可能性がある。アフマに行くんだ。」

マ「ですが、村人の事も心配ですわ。わたくし達のせいで不当な扱いを受け処罰を与えられますわ!あの男ならわたくし達をおびき出す為にも必ずするでしょう!」

ウ「村に行って何か救う手立てはあるのか?」

マ「今現在救い出す最適の策略はありません。ですが、救い出す事さえ出来ればわたくし達が貯めた資金がありますわ。時間はかかりますが村人全員を受け入れる事が出来ます。早急に村に行けばスーンズより先に村人を移動する事が出来るかもしれません!」

ウ「…そうか。なら近くまで案内してくれ。そこからは俺達だけで行く。お前たち4人は遠くで待機していろ。」

マ「招致致しましたわ。わたくしのわがままを聞いて下さり感謝いたします。」

ハ「1つ言っておく。俺は親父が言っていたようにアフマの利益を優先する。つまり何かあれば俺はお前たちを見捨てる。分かるな?」

ウ「ああ。それでいい。」



場面はプノヒ村の畑へと変わる

畑で大きな角と尻尾にハンマーを有したシカの様な生物が作物を食している。そこに風の魔弾が飛んできて、シカを畑から追い出した。シカは辺りを警戒する。そこに1本の矢が頭を貫き、シカは力なくその場に倒れた。

村人「流石はティレンちゃんだよ!あの飲んだくれの守衛さんとは大違いだ。ありがとうね。」

中年くらいの女性がティレンに話しかける。

ティ「いえ。私はここに居させて頂いているのでそのお礼みたいなものです。私も農作業等出来たらいいのですが。」

村人「何か見つかっちゃまずい事情があるんだろ?魔物を追い払ってくれるだけで私達は満足さ!少しでも長くいて頂戴ね。」

ティ「お心遣い感謝します。」

深々とお辞儀する。

村人「気使いなさんな。それにしても最近魔物が多いわね。今日だけで5匹は来たかしら?国で対応してくれるといいんだけど、貴族様も兵士様も私らの事なんてどうでもいいんでしょうね。」

ティ「…ん!」

目を閉じ耳を澄ませた後、耳をぴくぴくさせる。

「すぐに逃げてください!魔物の群れが来ます!」

村人「なんだって!?それは大変だ!ティレンあんたも逃げなさいよ!?私は村の人と守衛に伝えてくるから!」

そう言うと中年の女性は叫びながら走り去っていった。ティレンも走り出して、村の高台に登った。視線の先に魔物が20匹程度が村に向かってきていた。

その同時刻。スーンズもこの村に到着していた。村人の声を聞き、兵士を連れて畑にやって来ていた。そこで、ティレンが高台に登っていくのをスーンズは目撃していた。「見つけたぞ」と胸を高鳴らせた。

ス「あいつを捕らえろ!いいか?なるべく傷つけるな!」

兵士「はい!」

兵士たちが一斉に高台の方に向かう。その高台にいるティレンは弓を構え魔物に狙いを定めていた。

ティ「風の刃を纏え!『風刃矢』」

放たれた矢に風の刃が纏った。その矢は魔物の一匹を射抜いた。また弓を構える。そこに兵士達が上がってきた。

兵士「ティレン!そこを動くな!」

ティ「こんな時に…魔物を倒させて下さい!群れが向かってきてるんです!」

兵士「うるさい!早く武器を捨てて跪け!」

ティ「それは出来ません!」

ティレンは高台から飛び降りた。兵士は驚いたが、恐る恐る高台から下を覗き込んだ。ティレンは風の魔法をうまく使って、着地して走り出していた。

ス「チッ!役立たず共め!『重力点2G』」

ティレンの動きが鈍くなる。

ス「これならどうだ?3G」

ティレンの動きがさらに鈍くなる。スーンズは重力を上げていく。遂にティレンの動きが止まった。必死に崩れ落ちないように耐えている。村の外から魔物の群れが侵入してきた。スーンズはそれを見て、兵士達に片付けるように言った。兵士達は魔物の群れに立ち向かっていく。スーンズはティレンに手錠をしようと近づいた時だった。うわぁぁと言う声が聞こえた後、兵士がスーンズの横を通り過ぎて家に突っ込んだ。

ス「何が起きた?」

兵士と魔物の群れの方を見る。兵士達が次々に魔物に蹂躙されていく。

ス「バカな…一般兵といえども、この辺の魔物にやられるようなやつらでは……あ、あれは?なんだあのでかいヘラマージカは!?」

ティレンが最初に畑で倒したシカがヘラマージカと言う。通常の個体の2倍はある。

ス「変、変異種だと?」

 (に、逃げなければ!い、いや!ピグドム様に言った手前あのエルフを連れ帰らなければ!だが勝てるのか?考えている場合じゃない!周りの魔物から倒す!)

スーンズは片手斧を取り出し戦闘に入った。副戦士長なだけあって、周りの魔物を半数近く1人で倒した。ヘラマージカの変異種に攻撃を仕掛けようとする。ヘマラージカは前蹴りをスーンズの腹部に直撃させた。スーンズは吹っ飛び、家に激突した。生きてはいたが、一気に戦意喪失した。

(だめだ!勝てるわけがない!私は武力でなったわけじゃないんだ!逃げなければ!早く!早く騎士団に応援を!)

スーンズは苦悶の表情を浮かべながら必死に王都へと敵前逃亡を図った。ティレンはスーンズの魔法が解けて、自由になった。ティレンは逃げなかった。魔物を目の前にしても怯まずに戦う事を選んだ。

ティ「私はもう!誰も失いたくない!『風纏ー風足ー』」

足元に風が纏い、少し体が浮いた。そして縦横無尽に駆け回り弓を魔物に向かって放つ。少しずつ数を減らし、遂にはヘラマージカ1匹となった。しかし、ティレンは他の魔物の相手で疲弊していた。ヘラマージカに矢を放つ。ヘラマージカは角で軽々と弾いた。更に突進を繰り出してきた。間一髪の所でティレンは回避した。通り過ぎた時の風圧で一瞬態勢を崩して前のめりになった。その頭上をヘラマージカの尻尾が空を切った。危ないと思ったティレンは一気に距離を取った。

ティ(強い!私に弓の神。7英雄ユグリアス様の力があれば…。)

ヘラマージカはティレンの方に振り返ると再度突進してきた。ティレンは突進を回避した。その後、アクロバットに空高く舞い上がった。

ティ「今の私の最大の技!『流星風射』」

空高く上がったティレンは弓を構える。風の魔力が矢へと集約してき巨大な風の矢になった。その矢をヘラマージカに向けて放つ。巨大な風の矢はヘラマージカに直撃した。背中に大きな傷を与えたが、致命傷にはならずピンピンしている。それどころかヘラマージカは雄たけびを上げ、怒りを露わにしている。ティレンは力を使い果たし、ゆっくりと落下していく。ヘラマージカはティレンが落ちてくるのをゆっくりと見つめていた。

ティ「村の人は逃げれたかな?」

ヘラマージカが突進をしようと構えた。

ウ『黒炎』

黒い炎がヘラマージカを襲う。一瞬怯んだが纏わりついていた炎を弾き飛ばした。ゆっくりと炎が来た方を見る。そこにはウェザーが1人ぽつんと立っていた。その間にライアがティレンを空中でキャッチして地面に降ろした。

ティ「どなたか存じ上げませんが…ありがとうございます。」

ラ「初めまして。私はライアです。ティレンさん。あなたを救いに来ました!」

ティ「なぜ私を?」

ラ「ティレンさんが奴隷商に連れ去られる前に、村に人間の男性が来ませんでしたか?」

ティ「覚えています。ただ、言葉が通じない方でしたが。」

ラ「その男性があそこに立っているウェザーです。」

ティ(あの時の?雰囲気は残ってる。でも別人みたい。)

ヘラマージカがウェザーに狙いを定めて突進を繰り出す。

ウ『身体強化・改』

体を強化して真っ向から突進を受けた。ウェザーは直撃した瞬間に吹き飛ばされた。地面に何度も叩きつけられながら、手を地面に突き立ててブレーキを掛けた。

(強いな。)

『黒煙』

黒い煙が辺り一帯を包み込んだ。ウェザーはヘラマージカの位置が手を取るように分かる為、ヘラマージカに向けて走り出す。ヘラマージカの角が光った。そして、ヘラマージカは雄たけびを上げた。するとヘラマージカを中心として四方八方に強烈な風が吹き、煙を吹き飛ばしてしまった。視界が晴れるとウェザーは空高く跳び上がっていた。

『黒炎剣』

ヘラマージカの首目掛けて勢い良く振り下ろした。ヘラマージカは上を向いて大きな角で剣を受け止めた。ウェザーは剣を持つ手に力を込めた。『追い風』振り下ろした剣に風の力を加える。ヘラマージカの角が脈を打ち風が大きな角に纏う。そして、ウェザーを上に弾き飛ばした。ヘラマージカは後ろに下がって突進の準備をする。ウェザーは逆さまになりながら『岩突』を放った。ヘラマージカの地面から岩が突き出る。ヘラマージカはサッと横に避けた。ウェザーが丁度角の位置に来た瞬間に突進を開始した。ウェザーは大きな角に激突した。そのままウェザーを角に乗っけながら走り、木や家にぶつけて満足したところでヘラマージカは停止した。ウェザーは吹き飛ばされて家に激突して家が崩れ落ちた所で勢いが止まった。ヘラマージカは勝利を確信していたが、家の瓦礫がパラパラと音を立てた。体は傷だらけだが、ウェザーは立ち上がった。

「いってー。ヴェリー並みの力か。」

ヘラマージカは尻尾を地面に叩きつけて威嚇する。

ラ「ウェザー!私達も力を貸すよ!」

ウ(これ以上は村が壊れてしまうか…。)

 「分かった!」

ハ「全く世話の焼ける奴だな。『鴉天狗の咆哮』」

空を飛翔しながら登場したハカツデはカラスの足をモチーフにした扇を持っている。その扇に風が纏って、巨大な風の塊になった。それをヘラマージカの後方に向けて放った。風の塊をヘラマージカは尻尾でかき消した。

「親父には敵わんか。」

ラ『雷鳥』

ライアの両手から出た電気が鳥の形になり、ヘラマージカ目掛けて飛んでいった。ヘラマージカの角が脈を打ち、風を纏った。その風は体全体を包み込んだ。雷鳥が当たったが、風でダメージを軽減した。ヘラマージカはウェザーに狙いを定めて再度突進を開始した。ウェザーは剣で受け止めようとするが、吹っ飛ばされる。

ウ「く…。」

 (頭がぼーっとする。あいつはどこに行った?)

視界からヘラマージカが消えていた。

ラ「上!」

ウェザーが上を見るとぐるぐると前方に回転しながらウェザーの方に向かってきていた。

ハ『鴉天狗の鉤爪』

風の塊がヘラマージカを襲う。風の塊はヘラマージカに纏わりついて風の刃となり襲った。しかし、表面上しか傷がつかなかった。

ウ(やばい!)

ヘラマージカの角が当たる寸での所で躱した。地面に叩きつけた角の衝撃でウェザーは吹き飛ばされる。

(ハカツデのおかげで多少はずれたか。)

ヘラマージカの方を見ると既にこっちに向かってきていた。ウェザーは逆さまになりながら剣を構える。『黒炎剣』ヘラマージカの角と激突するが、ウェザーは地面に叩きつけながら吹き飛ばされた。ヘラマージカの角に風が集約していき、さらに大きな角になった。ウェザーの方に狙いを定める。ウェザーはふらふらと立ち上がった。

ハ(なぜあそこまでぼろぼろにされて本気でやらない?やられるぞ!?)

ヘラマージカがウェザーに突進を繰り出す。ハカツデが間に入るかと考えている間に、ライアが割って入る。

ラ『風雷刺突』

ライアは剣を抜いてヘラマージカに向けて突いた。剣には風と電気の魔力が宿っていた。ヘラマージカの角と激突するが、力負けしてウェザーを巻き込みながら後方に吹き飛ばされた。

ウ「助か…った。だ、大丈夫か?」

ラ「大丈夫。」

2人は立ち上がった。ウェザーの体はいろんな個所から血がにじみ出ている。せき込んだ口から血が垂れた。血を拭う。

ウ「やっとだ。やっと本気で戦える。ここまで移動させてくれてありがとう。」

ウェザーは村の外まで吹き飛ばされていた。ヘラマージカも村の外へ出てきた。

ハ(なるほど。村の被害を考えていたのか。)

ウ『黒炎鎧』

体を黒い炎が包み込んでいく。

ウ「ライア。こいつを倒すには角を斬り落とすしかないな。」

ラ「うん。角から強力な魔力が溢れ出てる。骨が折れそうだね。」

ウ「行くぞ!」

ヘラマージカは2人目掛けて突進する。ウェザーとライアは左右に分かれて剣で横腹を攻撃する。ヘラマージカの体に纏っている風で深い傷を与えれない。ウェザーは纏っている黒い炎が火力を増し、その推進力で剣を振るう。ライアは電気の推進力と風の貫通力で剣を突く。ヘラマージカは回転して角と尻尾でそれぞれの剣を受け止めて弾き飛ばした。弾き飛ばされた2人はすぐに体制を立て直してヘラマージカに攻撃を繰り出す。突進する隙を与えないように絶えず攻撃を与える。ヘラマージカが吠える。体に纏っていた風が2人を吹き飛ばした。即座にウェザーに向けて突進した。ぶっ飛ばされたウェザーは森の木に当たって止まった。ウェザーは立ち上がった。ヘラマージカの方を見ると風を角に集中させて巨大な風の角を完成させていた。

ウ(弱ってる俺からやるつもり…か。)

ヘラマージカが突進する。避けようとしたが足がいう事を効かなかった。

(あれをまともにくらえばやられる。)

『連岩突』

ヘラマージカに向けて尖った岩が地面から幾つも襲う。それをもろともせず、突進してくる。

「頼んだぞ。『黒炎爆発』」

ヘラマージカの前で爆発を起こすが、爆煙から顔を覗いた。ウェザーは剣を構える。角が当たるその時だった。

シ『大炎円輪』


少し時間は遡る

ウェザー達はマロネ達と別れて、プノヒ村へ村を走らせていた。

ハ「マロネ達が言っていた村はあそこだな。」

ウ「あそこか。あ!あれは間違いない!ティレンだ!」

シ「あれがティレンさんですの?すぐに見つかって良かったですわ!」

ラ「急ぎましょう!魔物と戦っているみたいです!」

ハ「待て。あれは…変異種。」

ウ「変異種?」

ラ「魔物の中で戦いを好み、歴戦の猛者の中で体が変化する個体が稀に誕生するんです。それを世間では変異種と呼んでいます。」

ウ「勝てるか?」

ハ「おそらく本気で戦っても俺1人じゃ倒せんだろうな。」

ウ「ライアはどうだ?」

ラ「力を解放すればおそらく。」

ウ「それほど強いという事か。時間がない。俺に任せてくれ。リルネ、シフィ。お前たちは待機していてくれ。『黒炎鎧』が俺が本気で戦う合図。『黒炎爆発』を使う時が、リルネ、シフィ。お前たちの力を借りるときの合図だ。ライアとハカツデはすまないが援護を頼む。」

ハ「仕方ない。協力しよう。」

全員が承諾して行動を開始した。そして現在に至る。


巨大な炎の輪がヘラマージカの首に直撃する。首から血がしたたり落ちる。だがしかし、首の筋肉で勢いが止まった。そこにリルネが現れ、魔力の壁でシフィの技を押す。首に少しずつ入っていく。ウェザーに向けていた風の魔力を首にうつした。押し込んでいたチャクラムが押し返される。

ウ「ライア!角を斬り落とす!」

ラ「うん!」

ウ『大炎黒剣』 ラ『緑炎鳥嘴』

ウェザーの纏っている炎が全て剣に宿り黒く染まる。その剣から黒炎が噴き出し推進力にして左の角に斬りかかった。ライアは緑の炎が纏い、巨大な緑の炎の鳥の形になった。そのまま右の角に斬りかかった。2人の大技が炸裂するが、角は斬り落とせず力が拮抗している。

ハ「俺も力を貸すぞ!」

ハカツデがチャクラムに風の魔法で応戦する。ヘラマージカは叫び風の魔力が増大する。

ウ「あと少し!こいつの最後の悪あが…き…!」

ダメージを負いすぎたウェザーの力が弱まる。

テ(力が拮抗してる…!私もやらなきゃ!)

ティレンは走り出して、他の魔物から矢を引っこ抜いた。そして…弓を構えて放った。矢は一直線に飛んでいき、ヘラマージカの背中に突き刺さった。その一瞬風の魔力が弱まった。それを見逃さないウェザーとライア。力を込めて角を同時に斬り落とした。角が斬り落とされたことで首を纏っていた風の魔力も弱まり、チャクラムは首を斬り落とした。ヘラマージカは倒れなかった。凛とした立ち姿で絶命していた。

ウ「強すぎるだろ。疲れた。」

その場で大の字になって倒れた。

ラ「お疲れ様。」

ハ「大したやつだ。キュウカ様が目をかけるのも頷ける。」

シ「大丈夫ですか?」

リ「よしよし。」

3人が寄ってきた。リルネは頭をなでてウェザーをねぎらっている。

テ「あの!ありがとうございました!」

ティレンがウェザー達の元にやって来て深々と頭を下げた。

ウ「最後助かった。ありがとう。」

テ「い、いえ!」

ウ「会えて良かった。奴隷から解放しに来たんだ。」

テ「私を?」

ウ「ああ。お前たちには恩がある。個人的にもな。」

テ「…お気持ちは嬉しいのですが、私1人だけ逃げるわけにはいきません。私の他にも奴隷がいます。私は他の方々を助けるために武器を調達する為に隙を見計らって逃げたんです。武器を調達した後は元の屋敷に忍び込む隙を伺っていたのですが、王都にすら戻れず…。」

ウェザーはチラッとハカツデの方を見た。

ハ「俺を見るな。流石に無理だ。目的が一時ずれたが、本来はティレンを救う。そういう任務だ。高貴族に喧嘩を売る真似は出来ん。」

ウェザーはふぅーっと息を吐いた。

テ「ありがとうございました!お心遣いだけで私はとても嬉しいです!後は私の方でやりますので!」

ウェザーは起き上がり無言でヘラマージカの頭を鷲掴みにして燃やし、それを喰らった。

テ「あ!え?」

ラ「最初はびっくりしますよね。」

テ「と、とりあえず村で休まれませんか?」

ハ「あまりゆっくりする時間はないが、村人に伝える事がある。一度村に入ろう。」

シ「そうですわね。ウェザーさんもボロボロですし。」

ラ「行きましょう。」

ウェザー達は村に入った。村人の1人が近寄ってきた。ティレンと話していた中年の女性だ。

村人「あんた達がやったのかい?」

ウ「すまない。建物が壊れてしまった。」

村人「何言ってんだい!あたしらの恩人さ!あんた達!こっちに来な!」

テ「逃げなかったんですか?」

村人「逃げてどこに行くってんだい?この国じゃ助けは期待できないよ。ならせめて戦ってくれてるあんた達の事を信じて待つのが筋ってもんだろ?」

テ「次に命の危険があったら必ず逃げてください!命があればなんとかなります!また一から始める事が出来ます!命をもっと大事にしてください!」

村人「わ、分かったよ。とにかくみんな避難所にいるから来ておくれ!」

避難所から出てきた村人たちはウェザー達に感謝を述べた。そしてマロネ達の言葉を伝えた。その時スーンズが兵士を引き連れて帰ってきた。

ス「状況は大体把握しているつもりです。この村を救って頂きありがとうございます。名のある冒険者の方々とお見受けします。つきましては報酬を用意させていただきます。ですがその前に、そこにいるエルフの女性を引き渡していただけませんか?」

ウェザー達と村人達がティレンをかばう。

ウ「なぜだ?」

ス「その方はピグドム様のめかけなのです。ちょっとしたすれ違いで家出なされたのです。ティレン様。ピグドム様が心配なされております。ご理解してくださいませ。」

テ「わ」

ウェザーが手を横に出してティレンに行くなと合図する。

ウ「そのピグドム様という高貴で立派な御仁にご挨拶をさせてもらう事は出来ますか?」

スーンズは少し考える素振りを見せ

「魔物を倒していただいたことには感謝しますが、ピグドム様を素性の知れない方にお会いさせることは出来かねます。しっかりと素性を調べさせていただいたうえで、許可を取り後日連絡させて頂きます。」

ウ「そうか。」

ス「ではティレン様こちらに。」

ティレンはスーンズの方へ歩き出す。

ウ(このまま渡していいのか?頭が上手く回らない。何が正解か分からない。なら!)

反射的にウェザーはティレンの手を取って引き留めた。ティレンは驚いて振り返った。

ス「なんの真似ですか?」

ウ「ティレンは渡さない。恩人なんだ。このまま見過ごすことは俺には出来ない。」

ス「それがあなた方の意思だと。」

ハ「何やってる!?渡してしまえ!」

ウ「ダメだ。」

ハ「そんなの知るか!もう付き合ってられるか!」

シ「見損ないましたわ!ティレン様はもうわたくし達の仲間じゃありませんか!」

リ「うん。ティレン。綺麗。守る。」

ラ「行く必要はありませんよ?」

テ「み、みなさん。」

村人も応戦する。

ス「どうやら一枚岩という訳ではないようですね。まあ言う事を聞かないというなら仕方ありませんね!」

スーンズは自分の身に着けていたネックレスに魔力を込める。その瞬間にティレンが苦しみ、倒れてのたうち回っている。

テ「ぎゃあああああ!」

ウェザー、ライア、シフィ、リルネは戦闘態勢に入りウェザーはスーンズの首元へ剣を突き立てる。

ス「あなた方を倒せると思うほどおごっていませんよ?動かないで下さい。そして私の言う事を聞いて下さい。さもなくばこの村人たちは死ぬことになります。」

兵士が老若男女問わず人質に取っていた。剣を男性の村人の太もも辺りに突き刺す。叫んで悶える。

ス「本気だという事が分かってもらえましたか?」

ウ「お前らそれで国を守る戦士団なのか?」

ス「ええ。ですから今国を守っているところです。」

ウェザー達は歯を食い縛り、力の入った武器を鞘に納めた。

ウ「どうしたらいいんだ?」

ス「よろしい。よく見たらまだ幼いですが、可愛らしい女性たちですね。きっとピグドム様も気に入られる。光栄なことですよ?あなた方も私に付いて来て下さい。」

ウ「なんだと?」

剣に手をかける。

ス「おっと?」

兵士に合図すると子供に剣を突き立てた。泣き叫ぶ子供。剣から手を放す。

ス「魔力封じの枷を持ってこい。」

枷をハカツデ以外にはめた。

ス「あなたはもううんざりと言っていましたね。さあこの男に攻撃をしなさい。」

ハ「分かった。」

容赦なく魔力を込めてウェザーを攻撃した。

ス「さあ村人達もこの男に攻撃をしなさい。死なない程度にね。」

村人「恩人にそんな事出来る訳ないでしょう!」

中年の女性が声を上げた。そうだそうだと同調する村人。それを黙らせるかのように人質の村人を傷つけた。大人は構わずやれという感じだったが子供はそうはいかない。村人たちは子供たちが傷つけられるのは耐えれなかった。「すまない」一言いい、ウェザーは「構わない」と言った。集団リンチはウェザーがボロボロになり、意識が朦朧とするまで続いた。

ス「あなたは賢いようですね。こちらへどうぞ。あなたは魔物を倒した豪傑です。報酬を渡さなければ。」

ハ「いや、俺はこれでお暇させてもらう。」

ハカツデは村を出て行った。

ス「そうだ。あなたはマロネという女性を知っていますか?いろいろとタイミングが良すぎるんですよね。」

ウ「…。」

ス「その様子なら言わずとも分かる。お前たちはあのマロネ共の仲間なのだろう。村人達よ。その男に施しをする事を禁ずる。それと、この村の献上を2倍にする!」

村人「そんな!それでは私達が生きていけません!」

ス「今まで質のいい物を献上していたから、温情をかけていたのにだ!反逆者の大罪人を隠蔽。ピグドム様の所有物を奪ったのだ!処刑されないだけでもありがたいと思え!ほら、行くぞ。」

スーンズはウェザーの見張りを1人置いてティレン達を連れて王都へと消えて行った。




To be continued



挿絵(By みてみん)

アリータス・ヌダルクス

「カトリーナ!どこにいる!?」

アリータスは大体こんな感じのイメージです!

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