アウタム国編4
ウ「そう言う訳だ。俺達はアウタム国へ行く。」
ラ「確か国全体が裕福でどこもきれいな街並みが続いていると聞いたことがあります。」
シ「ライアさんの言う通りとても綺麗な場所ですわ!ですが、貴族が多いんですの。貴族っていうのはプライドが高い方が多くて、そこだけは好きになりませんわね。」
ウ「そうなのか。変な奴もの元にいなければいいが。」
若「お前ら待たせたな。」
嬢「嫌じゃ!離れたくないのじゃ!リルネも離れたくないよのぉ?」
リルネにしがみつくお嬢。少し呆れたような顔をしている。
リ「コウヒメの事好き。でもウェザーと一緒に行く。」
嬢「な、な、な!なぜじゃあ!」
リ「ウェザー。運命の人。だから一緒にいたい。」
嬢「つ、つまりウェザーの事が好きで祝言を挙げたいという事か?」
リ「しゅう…げん?」
嬢「祝言ってのはのぉ…」
若「そこまでだお嬢。時間がないからな。」
嬢「スイ!わしも連れて行け!」
若「ダメだ!外は危ない!」
嬢「嫌じゃ嫌じゃ!わしに初めての友達が出来たんじゃ!もっと遊びたい!もっと一緒にいたい!たまには外に出たい!」
若「お嬢に何かあったらじゃ遅いんだ!絶対にダメだ!」
2人は口喧嘩を始めた。
ウェザー達がなだめるように話に入って行った。
そこにルスト達6人がやって来た。
ヴ「なんだ?喧嘩か?」
ル「ほんと。あの2人ってこうやって見ると年の離れた兄弟って感じよね。」
ダ「いつもの事だ。」
ニ「仲が良いんだか悪いんだか…。」
ミ「別に連れて行ってあげたらいいんじゃない?」
ダ「ば!」
お嬢がミルチの方を見てニヤニヤした。
嬢「分かっておるのぉ!ミルチもこう言っておるのだ。」
若「下っ端の言うことだ。」
ミ「はあ?別にいいでしょ?守ってあげたらいいじゃん。」
モ「確かにここで言い争っている場合じゃないですし、魔物や悪人からお嬢様をお守りすればいいんですよね?」
嬢「そうじゃそうじゃ!もっと言うてやれ!」
若頭とダンがため息をついた。
若「分かりましたよ。ただし、ヴェリー、ミルチ、モアトス。お前たちを護衛係に任命する。特に言い出したミルチ、モアトス。しっかりと面倒を見ろよ?言っとくが拒否権はない。俺がお前たちの頭だからな。」
ミ「はいはい。分かりました。」
モ「かしこまりました。」
ヴ「俺様も問題ないぜ。」
嬢「頼もしいのう。よろしく頼むぞ!」
シ「良かったですね!お嬢様!」
嬢「うむ!わしは満足じゃ!」
ウェザー、ライア、シフィ、リルネはティレン捜索の為にアウタム国へ。若頭、ルスト、ダン、ニア、ミルチ、ヴェリー、モアトスはウェザー達をアウタム国支部へ送り届ける任務を受け同行することになっている。そのついでに、すべての支部に重要事項を伝達して回るそうだ。そして、お嬢はそこに無理やり押し掛ける形となった。
若「すまないな。」
シ「いえ。情報漏洩のリスクを考えた単純でいい方法だと思いますわ。掟には従いますわよ。」
若頭はシフィに目隠しをする。
そして全員2台の火車に分かれて乗った。
若「いくぞ。」
火車が動き出そうとしたその時だった。火車の前に女性が飛び出てきて通せんぼした。
ラ「あの方って。」
ウ「ああ、昨日の…確かサミハだったか?」
若「サミハの頭。どうしたんですか?」
サミハが火車へと近づいてきた。
サ「こ、これを…。」
もじもじしながらウェザーにマフラーを差し出した。そして顔を真っ赤にしながら「お守り…気を付けてな。」そう言うと逃げるように立ち去っていた。サミハの手は包帯が巻かれていた。ウェザーは受け取ったマフラーを首に巻いた。
ウ「お守りか…あったかいな。」
遠くの屋根の上に立っていたサミハはそれを見てか聞いてか口を大きく開けていた。ライアはじーっとウェザーの方を見つめる。
ウ「ん?どうした?」
ラ「え?あ!何でもないです。」
若「今度こそ出発だ!開門!」
外へと続く大きな門が開かれる。ウェザー達は火車で外の世界へと出た。しばらくして若頭はシフィの目隠しを取った。
若「また後で着けるが今は外していていい。ここからまだまだかかるからな。」
シ「ありがとうございます。リバークもいいですけど、外の空気は美味しいですわね。」
目一杯背伸びをするシフィ。
嬢「ほんとじゃ!こんなにも美味しいとはのぉ。外に出たのはいつぶりじゃろうか…あ!あれはなんじゃ!」
お嬢は火車を飛び出して行った。
ウ「どこに行く?危ないぞ!」
若「早速か。お前ら出番だぞ!行け!」
ヴェリーとミルチとモアトスもお嬢を追いかけるように火車から降りた。
ミ「待ってくださいお嬢様!」
お嬢が立ち止まる。
嬢「ほれ見てみろ!あれじゃあれじゃ!あれはなんて生き物なんじゃ?」
お嬢は指を差しヴェリー達に尋ねる。
ヴ「あれはアプターって魔物だな。気性が荒いから近づくなよ?」
と言い切った時にはお嬢はアプターと呼ばれるイノシシの様な魔物に飛びついた。
嬢「かわよいのぅ!わしのお供になるのじゃ!」
アプターにしがみつきながらアプターに話しかけた。アプターはお嬢を振り落とした。お嬢はみるみるうちに泣き顔になり、ヴェリー達の方へ戻ってきてミルチにしがみついた。
嬢「あやつ!わしを放り投げおった!」
ミ「だから気性が荒い魔物だってヴェリーが言ったよね?」
嬢「聞いてない!」
ミ「最後まで話を聞く!分かった?」
嬢「…うむ。心得た。」
ミ「戻るよ!」
モ「その前にひと悶着ありそうですね。」
アプターが群れを連れて来て、ミルチ達に襲い掛かってきた。
ヴ「俺様とモアトスに任せろ!」
モ「行きますよ!」
戦いが始まったあたりにウェザー達がやって来た。
ラ「大丈夫ですか?」
嬢「無事じゃよ!さあ戻るぞ!」
お嬢たちは火車に戻った。火車が進み、ひと段落したところでまたお嬢が飛び出していった。
モ「またですか。」
ヴェリー達が追いかける。次は大きなキノコの前でお嬢は立ち止まっていた。
嬢「見ろ!これがあればしばらくキノコに困らんぞ!取って帰るぞ!」
ミ「それはマノコ!離れて!」
嬢「何を言っておるだ…すー…。」
お嬢はその場に倒れ込んだ。大きなキノコに目と口が現れた。
ミ「全くもう!」
ミルチがマノコと呼ばれるキノコ型の魔物を倒した。お嬢を抱きかかえて火車に戻った。しばらくしてお嬢は目を覚ました。
嬢「ふわぁ。よく寝た。ん!?あれはなんじゃ!」
またもや火車から飛び出していった。ヴェリー達はがっくりしながらお嬢を追いかける。その後もお嬢を引き戻しては飛び出していくというのを繰り返した。お嬢は疲れ切って寝てしまった。
ル「分かったかしら?若頭が外へ連れ出したくない理由が。その理由だけではないんだけど。」
ミ「よく分かったわよ。ほんっと元気なお嬢様ね。羨ましいわ。私達とは違って…。」
ニ「あなた方がどんな過去があったかは分かりませんが、お嬢様も過去にお辛い経験をなさっています。今はキュウカ様の元平和な日を送れていますけどね。」
ミ「そう。お嬢様もね…このまま元気に育ってくれるといいね。」
ダ「少し落ち着いて欲しいがな。」
ヴ「確かにその通りだな!」
少ーーーし心の距離が縮まった。少ししてお嬢が起き上がる。また飛び出そうとした時。
リ「ふっ。コウヒメおこちゃま。リルネ大人。すぐどこかに行ったりしない。」
子馬鹿にしたような顔でお嬢に言い放つ。
嬢「ななな!わ、わしだって大人じゃ!この通りずっしりと腰を据えておるわ!」
言葉とは裏腹に気になった物に対して顔だけそれを追っていた。しかし、飛び出しては行かなかった。一行はリルネの事を救世主だと思ったとか思わなかったとか。
野宿を繰り返して、アウタム国が近くなった時またシフィに目隠しをした。
若「さあ。アウタム国に入るぞ。」
と言っても森の中を突き進んでいる為変わり映えはしない。さらに奥に進むと大きな山が見えてきた。山頂は雲で隠れて見えない。
若「この山だ。セテンカルの頭が治める霊峰アフマという場所だ。少し気難しい方だ。粗相のないようにな。」
火車はぐんぐん山を登っていく。やがて山頂へと着いた。山頂には大きな穴が下に向かって空いていた。その穴は底が見えず闇が広がっていた。
若「しっかり捕まってろ!」
その声と同時に火車がその穴に向かって飛び込んだ。
ミ「正気!?」
フワッと全員の体が浮き上がる。なんとか火車に全員しがみついた。火車は急降下していく。
ミ「モアトスあんた私達を持ち上げなさいよ!」
嬢「わははは!愉快愉快!楽しいのぅ!」
モ「信じましょう。」
ミ「いやあああ!!!」
下に明かりが見えてきた。
ウ「なんだ?街か?」
ラ「そうみたいです!」
次第に見えてくる街並み。その代わり真っ逆さまに落ちるウェザー達。地面まであと10メートルといった所だった。下から暴風が吹き火車を浮き上がらせた。次第に風が弱くなりゆっくりと地面に着地した。ミルチは軽い放心状態になっていたが、他はケロッとしていた。
嬢「楽しかった!」
リ「うん。楽しかった。」
シ「わ、わたくしは何が起きたのかさっぱり…。」
ウ「簡単に言うとすごく高い所から落ちたんだ。」
若「目隠し取ってもいいぞ。」
シ「な!何ですのここは?」
岩や木が高低差を生み出し、そこに建物が建っている。
ミ「入り方は最悪だけど、ここは悪くないわね。なんていうか幻想的ね。」
ラ「ほんとですよね!」
ライアは目を輝かせている。そこへわらわらと人が集まってきた。
「火孔から降りてくる命知らずがまだいたとは。」
「全くだ。依頼なら上でも出来るというのに。」
ウ「正規のやり方じゃなかったのか?」
若「まあな。だが、これが一番早い。」
?「これはこれは若頭殿。一体どんな命知らずが来たのかと思えば…話は聞いています。その前に我が父に会ってください。」
群衆から天狗が現れた。
ミ「え?魔物がしゃべってる?」
ニ「魔物じゃありませんよ!失礼です。」
ミ「でもあの鼻は」
ウ「天狗か。」
ニ「その通りです!」
ミ「天狗って何!?」
?「これはお面だ。」
天狗のお面を外した。お面を外すと黒い髪と黒い瞳が印象的な男性だった。
ウ「なら天狗じゃないな。」
ミ「なら何?」
ハ「俺はハカツデ・アフマ。カラスの獣人でこの霊峰アフマを治めるセテンカルの息子だ。」
ミ「これはご丁寧にどうも。私はミルチ。よろしく!イテッ!」
ミルチがなれなれしく自己紹介すると若頭に頭を刀の鞘で叩かれた。
若「ハカツデはお前より上の立場だ。もう少し節度を持て。」
ミ「分かりました。すみませんでした。」
不服そうな顔で謝った。
ル「全く…私が色々と教えてあげなきゃね。」
ルストはミルチ達を子供を見るような目で見つめた。
若「部下が失礼な態度をとったな。すまない。」
ハ「いえいえ。俺はそんな事気にしませんよ。さ、行きましょう。」
ハカツデに大きな屋敷に案内され、中へと通された。大きな襖の前で一行は立ち止まった。襖の左右には着物を着た人が立っている。
ハ「親父!入るぞ!」
セ「ああ。」
左右にいた人が大きな襖を開けた。襖の奥は地面は木の床、照明は蝋燭、大きな椅子と机がありそこに大きな男が座って書類に目を通していた。顔は天狗で、背中からは翼が生えている。
若頭達は地面に膝をつき、セテンカルに挨拶をする。
若「お久しぶりです。ご機嫌いかがでしょうか?」
セ「おう!久しぶりじゃの。わしは変わりゃせん。それと、わしらは同じ頭同士。そんなに気ぃつかわんでええわ。」
若「はい!お気遣い感謝します。」
コ「久しいの!セテンカル様!」
セ「おお!コウヒメお主も来ておったか!元気そうで何よりだ。」
若「すみません。本当は連れてきたくなかったんですが…。」
コ「む!」
コウヒメは不機嫌そうな顔で若頭を見つめた。
セ「わっはっは!相変わらずじゃな。若頭!お主の部下が増えたみたいじゃな。知らん顔が半分くらいおるわ。」
ウェザー達もセテンカルに挨拶をした。
若「新人で手はかかりますが、腕は確かです。そこの4人は私の部下という訳ではありませんがね。早速本題に入りましょう。」
セ「話は聞いとる。ティレンと言う名前のエルフじゃな。名前まではわからんが、最近王都の方でピグドムと言う高貴族のエルフのコレクションが逃げたそうだ。ここ最近勇者一行の働きで表向きには奴隷は禁止された。ま、前とほとんど変わらずといったところだがな。だが前の様に表立って逃げた奴隷を捕まえることは出来ん。今が時機ってとこじゃな。」
ウ「つまり王都のどこかに身を隠しているって事か。」
セ「そうじゃな。その可能性は高い。急いだほうがいい。あそこは人間のありとあらゆる欲望が集まる場所だ。無事に保護したいのならな。」
ウ「分かった。行こうライア、リルネ、シフィ。」
4人が席を立とうとした時セテンカルが引き留めた。
セ「待て!お前らたったの4人で乗り込むつもりか!?」
ウ「ああ。」
セ「お主らがついて行くのではないのか!?」
若「はい。俺はツキメラ様より伝達の任も受けておりますので。後でその事についてもお話しします。」
セ「な、なんだと…若頭の力を使う事で優位に事を進めるものだとばかり。だがお主が伝達という事はよほどの事なのだろうな。ならばこの人探しの任はとてつもない難易度になる。」
セテンカルは立ち上がった。すると目の前にあった机や資料が横に移動した。セテンカルはウェザーの元に行き下を見下ろしとんでもない殺気でにらみつける。
ウェザーは動じずにセテンカルの顔を見つめた。セテンカルはゆっくりと顔を上げた。
セ「ほう。全く動じんか。死地を何度も経験しているようだな。リルネ、ライアと言ったか。お前たちも動じなかったな。シフィ。お主は殺気にびびりおったな。だが、何か特別な事を経験をしておるな。目の奥に覚悟が見えた。その覚悟に免じて助け舟を出そう。ハカツデ!王都の案内を頼む。」
ハ「分かった!俺に任せてくれ!」
ラ「よろしくお願いします!」
セ「ただし、わしらと向こうさんとのこともある。ま、つまりはハカツデ。何か起きた時お前の判断に任せる。」
シ「敵対出来ないって事ですわね。承知いたしましたわ!」
ハ「話が早くて助かる。準備出来次第出発するぞ!」
ウェザー達は移動し始めた。
若「お前らも席を外してくれ。セテンカルの頭と話すことがある。」
ダン達7人も外へ出た。
ハ「荷物まとめてくるからこの部屋を適当に使ってくれ。」
そう言って大広間に案内して消えて行った。
お嬢「セテンカル様すんごい顔しておったのう!」
ミ「お嬢びびってましたね!」
お嬢「な!何を言うておる!わしはびっくりはしておらんぞ!ただ、顔がちーとばかし怖く見えただけじゃ。」
お嬢は両手の人差し指をツンツンしている。
モ「いえいえ。あれほどの殺気で気絶しないだけでもすごいですよ。」
ル「ほんとよねぇ。ミルチったら意地悪なんだから。」
お嬢はパーッと顔が明るくなった。
お嬢「はっはっはー!どうじゃリルネ!わしはすごいじゃろう!」
リルネは少し誇ったような顔で
「すごい。でもリルネは全然怖くもなかった。」
お嬢「な、なん、なんだと!?わしは!わしは!」
悔しいと怒りが混ざったような顔をして動揺している。
ニ「まあまあ。お嬢様は将来長になられる方。こんな事で心を乱してはダメですよ。どっしりと構えてください。」
お嬢「そ、そうじゃな。」
ラ「本当にご立派ですよ!私がその年の頃はよく泣いてましたね。」
お嬢「ほう。ライアは泣き虫じゃったか!わしはすごいんじゃ!」
ヴ「ふっ。」
ダ「どうした?」
ヴ「いや。うまく言えねぇけどよ。あったけぇなって。」
ミ「そうね。少し前なら考えられない事だったわ。」
ル「いいわよね。みんなのこの笑顔…。」
そこに若頭とハカツデが戻ってきた。
若「さあ、俺らはウィンル国へ向かうぞ。」
ル「分かったわ!じゃあまたね!ウェザーちゃん!ライアちゃん!リルネちゃん!シフィちゃん!しっかりやりなさいよ!それと必ず無事に戻ってくるのよ!」
ウ「ああ。そっちもな。」
ウェザー達はお互いに激励をした。お嬢はリルネと離れ離れになるのを駄々をこねたのは言うまでもない。何とかお嬢を説得して、若頭達は一足先に旅立っていった。
ハ「さてと…こっちも動くか。何か準備したりない物はあるか?」
ウェザー達はフードを被った。
ウ「もうとっくに準備は出来てる。」
ラ「行きましょう…!」
シ「必ず見つけ出しますわ!」
リ「リルネ…お手伝い。」
ハ「頼もしい限りだな。付いて来い!」
ハカツデ達は外に出てしばらく歩いた。しばらくすると壁の近くに大きな岩がある場所へと着いた。ハカツデはその岩に手を触れた。すると大きな音を立てて横に移動した。横移動した岩の先には奥へと続く洞窟が現れた。
ウ(相変わらずすごいな。)
シ「わたくし目隠ししなくていいんですか?」
ハ「ああ。構わん。定期的に道が変わるからな。」
洞窟の奥に進んでいくとやがて山のふもとに出た。ハカツデが「カー!」と鳴くとどこからともなく馬が4体走って出てきた。
ハ「こいつらに乗っていくぞ。」
ラ「よろしくお願いしますね。」
と馬をめでるライア。
ウ「馬に乗って王都の中に入るのか?」
ハ「いんや。途中で馬は帰す。王都に入る秘密の通路があるからな。なるべく目立たずに行動するんだ。」
ウ「分かった。」
ハ「行くぞ!付いて来い!」
そう言って勢い良く馬に飛び乗り走り出した。ライアもシフィも馬に乗り駆け出した。ウェザーも馬に乗った。ウェザーの肩にリルネがしがみつく。
ウ「…。」
(馬が動いてくれないぞ?馬自体に乗るのは初めてだが、何か指示を出さなきゃいけないのか?)
「進め!」
その瞬間馬は前足を挙げクールベットのポーズを取り勢い良く走り出した。ウェザーは突然の事にバランスを崩しかけたが、なんとかしがみついた。
(馬ってこんなに上下するんだな。)
ハカツデ達に追いついたウェザー。ハカツデは右に旋回する。それに続きライアとシフィも右に旋回する。ウェザーはと言うと、曲がり方が分からず馬は直進する。
「右だ右!」
馬は直進を続ける。こっちだと言わんばかりに手綱を引っ張って顔を右に向けさせた。すると右に曲がって行った。
(なるほど。こうやって左右を決めるのか。)
「よし。いい子だな。」
そうやって馬の事を撫でてあげるウェザー。ハカツデ達に再び追いついた。
ハ「遅いぞ!」
ウ「すまない。少し手間取った。」
ラ「もしかして初めてですか?」
ウ「そうなんだ。馬に直接乗る機会なんてなかったからな。」
ラ「それなら基礎の軽速歩というのを教えます!簡単に言えば、馬が上下するタイミングで立つのと座るの繰り返してお互いの負担を減らす技術です。」
シ「ウェザーさんならすぐできますわ!」
ウェザーは馬に合わせて立ち居を繰り返した。
(こういう事か。案外簡たうっ!…。)
いつの間にか立つのと座るのが逆転して強打した。
リ「ウェザー。ドジ。」
少しうれしそうな顔で囁いた。
ウ「な、何の事だ?」
そうこうしている間にウェザー達は目的の場所に着いた。そこはただの木々が生い茂った森だった。馬たちは山に帰れと指示を出され走り去っていった。ハカツデは大きな木に手をかざす。すると木の幹が割れ下に続く階段が現れた。
ハ「ここを通って行けば王都の中に入れる。途中少々臭いが、我慢してくれ。」
階段を降りると洞窟が広がっていた。奥に進むと行き止まりに着いた。ハカツデは目を閉じて壁に耳を当てた。しばらくしてまたハカツデは壁に手をかざす。壁が動いた。それと同時に強烈な臭いが襲う。どうやら王都の下水道へと出た様だった。
リ「臭い!」
シ「ほんとですわね。」
匂いに耐えながら先へ進み最終的には人が全くいない裏路地のごみ箱から出た。辺りを経過して、裏路地から建物の屋上へ登った。
ハ「ふぅー。なんとか王都の潜入は出来たようだな。」
シ「ここに来るのは久々ですわ。相変わらず街“は”綺麗ですわね。」
ウ「さてと。ここに来れたのはいいが、どうやって情報を得るか。」
ハ「安心しろ。伝手がある。まずは夜に。」
その時数個建物先の方で稲妻が見えた。一同その方向を見る。
ラ「誰かの魔法の様ですね。」
ハ「目立たない為にもあっち行くのは避けるぞ。」
ウェザー達は反対方向の建物に移動していった。シフィはそっと後ろを見た。女性たちが追われていた。
(どこかで見た気がしますわね。どこだったかしら?あ!昔にパーティ会場であったことがあるマロネさんね!)
シフィは動きを止めた。
ウ「どうしたシフィ?」
シ「今逃げている方わたくしの知り合いでしたの。とてもいい方で国の行く末をしっかりと考えられてた方でしたわ。概ね国として邪魔な存在だと思ったのでしょうね。わたくしは放っておけませんわ。」
チャクラムを取り出した。ウェザーがシフィの前に立ち右手で手を出すなと合図した。
シ「止めても無駄ですわよ?」
ウ「勘違いするな。シフィ。お前の武器は目立ちすぎる。俺に任せろ。」
ハ「何をするつもりだ!?ここで目立っては情報収集どころじゃなくなるぞ!?」
ウ「情報収集はできなくてもティレンが死ぬわけじゃない。だが、追われてるあいつらは今助けなくては捕まる。最悪処刑されるだろう。」
ハ「あの女にそんな…か…ち……が。ま、マロネだと?」
ウ「知り合いか?なら理由は充分だな。」
ハ「とにかく目立つな!」
ウ「ああ。」
ラ「ウェザー。闇魔法にしてください。人間で使える人は少ないので魔族のせいに出来るかもしれません。」
ウ「お前がそれを言うか?…分かった。元々使う予定で魔物の仕業にするつもりだったがな。」
ラ「魔物の仕業と思ってくれてら良いですけど、この王都に入れる気がしませんね。」
マロネ達が襲われているところにウェザーが戻ってきた。
ウ『闇手』
スーンズや兵士に闇が纏わりついてゆく。
ウ(あの悪夢の様に…。)『黒波』
闇が黒が裏路地全てを飲み込んだ。そして、兵士とスーンズを弾き飛ばしてマロネ達を裏路地から屋上へと引き上げたのだった。
そして話は繋がる
一方スーンズは急いで玉座へと向かい報告した。
ス「王様!魔族による敵襲の疑いがございます!逃がさない為にも封鎖いたします!」
王「魔族?ハハハ!愉快じゃ!こんな事があるのか?」
ス「ど、どうされたのですか?」
王「今日視察という名の接待があるんじゃ。一体誰が来ると思う?」
ス「はて。愚かな私目にお教えください。」
王「最強の第一騎士団団長オデュラ・コンゴウリキ。その副団長ミカ・サンダエルだ!魔族討伐ならお手のものだろう。全くもって同情すらしてしまうわ。」
ス「それは良い事を聞きました。」
スーンズは不敵な笑みを浮かべた。
To be continued




