第5話 超科学時代の武器
魔素を操る器官というものが実際に存在しているのか、また無いのであればどのようにして魔素を操っているのか。
それを一刻も早く知りたい俺…。じゃあ何故凛に聞きにいかないのか、だって…?
その理由は俺が数時間前に凛に言われたある一言で分かる。
そう、彼女は俺に向かい満面の笑みで
「私が出てくるまでこの部屋に入らないでくださいね?」
と言ってきたのである。
さて、もう分かっただろう。この言葉の意味も、彼女の笑顔の裏も。
仮に今俺が彼女の部屋に入ったとしよう。その時俺は確実に死ぬだろう。
だから待つしかないのだ。彼女のことだから失敗はしないだろうが…。
まあ気長に待つとしよう。俺はその間少し現代の武器についてでも復習しようと思う。
武器の開発は第二次世界大戦後から殆ど進んでいないという。それから科学が異常に発達した時代(超科学時代と呼ばれる)まで武器の開発は衰えていた。
これには政治、軍事、経済的など様々な背景もあるだろうが、単にその時点で世界的に武器の開発は完成していたということがあるのだろう。
なので超科学時代に入ってから武器の開発が進むことはなく、パーツの開発が重要視された。それ故かパーツの開発は飛躍的に進んだ。
結果として、エネルギーを弾とすることが可能になったりレールガンやサーマルガン、また体温に反応するスコープなどいろいろなものが開発された。
武器形態は変わらなくともそれらは第二次世界大戦時よりも格段とアップグレードされている。
かなり高価なものになるが、狙撃銃にレールガンのシステムをつけ、最大出力で撃つと遮蔽物関係なく貫くことができるのだとか…。
正直そこまで威力がいるかどうかは別として、狙撃兵のくせに撃ったら即位置バレという難点も抱えている。それにいくらかかるんだか…。
カバーのための優秀な仲間を揃える必要もあるしパーツの購入もある。相当な金持ちしかできないだろう。それにたいていの金持ちは腐っている。狙撃兵な金持ちなんてほぼゼロだ。
だからこれは机上の空論とされているし、理論値の話であるので現実的ではない。
個人的に実験してみたいという気持ちはあるが俺は狙撃銃を撃つことができない。
そもそも素人はよく勘違いをするが、銃を持てば強いなどということはない。銃というのは適切な使い手が適切な使い方をするから効力を発揮するのである。素人が持っても扱う事は不可能だ。
狙撃銃の訓練を積んでいない人間が狙撃銃を撃って、実験になるだろうか?答えはもう明白だろう。
ここで地語りをさせてもらうが、俺が積んだ訓練は、拳銃、短機関銃、ナイフ、刀の訓練だけだ。それとスパイの術(素手術やその他の武器の多少の使い方)を学んでいる。
スパイ術の一端に多少の狙撃銃の使い方はあるが、摘んだに過ぎない。狙撃術は当てること、引き出すことが目的だが、スパイ術の目的は敵を無力化すること、それっぽく見せることにある。故に狙撃銃の訓練でも相手から奪って殴るなどのことしか習わない。
まあ狙撃銃は銃身が大きいし重さもある。殴るにはピッタリの鈍器だからな。
「佐倉さーん!終わりましたよ!!」
そんな話をしていたら凛の実験は終わっていたらしい。俺の過去の話はまた今度時間があるときにでもしよう。
さて、凛の方の成果はどんなものだろうか?
「凛、どうだった?」
「私達にはない臓器が1つ、私達と同じだけれども少し作りが違う器官がいくつかありました。」
「やはりか…。」
さて、ここからが科学の楽しいところだ。