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第4話 研究工程

研究の工程は至って簡単である。彼女、凛の方はどうか知らないが(というか知りたくないが)俺の方は持って帰ってきたサンプルを調査機に入れ、物質を調査することから始まる。


初めに俺は持ち帰ってきた気体のサンプルを調査機に入れる。


調査機では、入れた物質に含まれる原子をそれぞれ分け、物質名ではなく電子が結びついた数でやっている。


今は自宅のラボでやっているのでL電子バージョンだ。これで調べられないことはなかろう。


検査が進んでいくと次々と表示されていく。

酸素、炭素など、ごく普通のものが表示されていっていた。


しかし最後、ほんの僅かな量であるが、電子数が119の物質が確認された。


念の為と思い採取していた残り2つの袋に入った気体でも検査をしたが、どちらにもやはり119の物質が存在していた。


また詳しく調べるため、その気体をM電子の調査機、S電子の調査機にも入れて調査してみたところ、M電子、S電車では検出できなかった。


まずこれから考えられる事を述べよう。


L電子の調査機のバグ。これは考え難いが、無いとも言えない。


次に異世界からの新たな物質。第119の物質が異世界に存在した、という可能性は前者よりも多くあるだろう。


確認するため、他の物質でも試してみたが、他の物質ではしっかりと作動した。この事から前者はないということがわかり、必然的に後者になった。


M電子、S電子で反応しないことからその原子が持つ電子はM電子であることも言える。俄には信じがたいことであるが、自然でM電子が存在していた。


気体のサンプルは9つ用意していたのだが、それぞれ3箇所で3つずつ採取してある。これは門の近くにあるか、遠くにあるかの違いである。


これを全て調査機で調査したところ、119の物質が最も多いのは門に近い場所であった。


俺の仮説ではあの門にも119の物質が含まれている。また、異世界からだけでなく、あの門も119の物質を発しているということだ。


この仮説を裏付けるかのように、浩次郎から丁度連絡が来た。その連絡の内容はまさに仮説のようなもので、門が小さくなっているということだった。


これは門が溶け、気体に影響を与えているという事と同意である。存在している物質は基本的に消滅はしない。故に溶けているものは気体に混じっているのである。


俺の説はこれで立証されたと言っても過言ではない。


そしてこれから更に仮説を立てていく。


彼らはこの119の物質を使い、他の物質を操っていたと考えられる。119の物質はM電子を所有しているため、他の物質の電子よりも核と結びつきやすい。


これを利用し、他の物質を吸い寄せる。しかし、吸い寄せる際には、そのM電子とはくっつかずに核がそのまま吸い寄せられるのだろう。その際、核だけでは不安定なので周りの電子もついてくる。任意の地点で吸い寄せるのがやめられると、その場で物質は元の状態に戻る。


簡単に纏めると、


①物質をより強い電子によりイオン(陽子と電子の数が等しくなく不安定な状態)化させる


②より強い電子により任意の地点まで引き寄せる


③元の状態に戻す


この3つのポイントで魔法を行使していたと思う。


この3つの事をするには彼らにある器管が必要である。仕組みは俺でも考えられないが、何らかの力によってクーロン力(磁石が引き寄せ合うような力)を操り、一時的にM電子と任意の陽子の結びつく力を強くしているのだろう。


磁力を操る行為なのだから、単純に考えれば電流の一時的な頂上操作であろうか?それは俺の知ったことではないし、俺が今考えるよりも凛の方の結果を待つべきだろう。


まだ少し気になることはあった。異界門が解き放たれた時、こちらにまで119の物質は届いているのか、や門の物質などである。


結論だけ言ってしまうと行き届いていた。また、門は119の物質だけで構成されていた。この物質のすごいところは常温で色々な状態になれることであるというのも知ることができた。


119の物質はある程度(というかは異常なまでの)硬さを有していることがわかったし、これは抽出に成功すればかなりの役に立つだろう。浩次郎に報告し、そのまま軍にも応用してほしいものだ。これで人類はまた一歩先に進むことができたのであろう。


そして最後に俺はこの119の物質を”魔素”と名付けた。

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