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第1話 異世界人の来訪

新小説です。科学vs魔法ということで、天才科学者君の視点から書かせていただきます。


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2300年8月7日ーー


世界有数の先進国である科学国日本。

その国の貿易港の1つ、成田国際空港にて、突如として異変は起きた。



8月7日 PM.1:00ーー


成田国際空港の滑走路に異物が現れた。現れたのは幅40m、高さ60mの巨大な扉。丁度その時出発した貿易用の飛行機がその扉に衝突したが、飛行機が爆発しただけで扉は無傷。この報告を受け政府はすぐさま警戒態勢を命じ、日本に滞在中のアメリカ兵も駆け付けた。


また、名のある科学者や考古学者達が集い調査を進めたが、構成されている物質はおろか、それがもたらす効果、危害すらも分からなかった。


分かることはただ1つ、現在では人類に何の危害も無い、ということだけだった。



8月7日 PM.2;30ーー


扉の発生から1時間30分。危害を何も加えてこないどころか、ピクリとも動かない扉に政府は警戒態勢を解き始め、人類が未知に対する恐怖に慣れ始めてきた時であった。


扉は開いた。


待機していた兵はすぐに臨戦態勢をとる。


しかし扉から出てきたのは、ローブを羽織った1000人程度の人間達だった。武器を持たぬ彼らに兵達は皆、胸を撫で下ろし、武器を下ろした。上空にいるニュースキャスターが安全を伝えた時だった。


ドゴォォォォンッ


そんな鈍い爆発音が鳴り響き、千葉県を焼き野原にするほどの炎が立ち上がった。


カメラが捉えたその衝撃的な映像に日本人は笑い、泣き、そして畏怖の念を抱いた。


生中継中のカメラが最後に人類に伝えてくれた事は恐怖でしかなかった。


ローブ集団の戦闘にいた男は最後にこう言った。

「また1年後、この国を滅ぼしに来よう。」と。


その後すぐ日本では臨時国会が開かれた。

混乱の中すぐに行動を起こしたのは現総理大臣の佐藤浩次郎さとうこうしろう。彼は齢31にして総理大臣になり、日本に数々の改革を行った。日本が科学国と呼ばれるほどへと進歩できたのも彼のおかげだろう。


そんなカリスマ性のある彼だからこそ、この1年、日本を正しい道へ導けると思っている。臨時国会でそのためのことが話し合われるのだろう。


しかし幾らカリスマ性があると言っても、1人でできることには限りがある。そもそも彼には統率力以外の才能はない。


日本を科学の先進国とする為に彼が行った事は税金の使い道を変えたくらいであろう。


ではどのようにして日本は急激に発展したのか?


その裏には1人の科学者の存在があった。


それが俺、佐倉樹さくらいつきだ。彼が総理大臣になってからの4年間、科学者として尽力した。元々科学探究心が強かった俺にはピッタリの仕事だったが、俺には助手などはできなかった。そんな時援助してくれたのが浩次郎だった。俺達は気が合い、すぐに仲良くなれた。

科学者をやめたあとも2年間、スパイとして彼の国のために働いた。しかし彼が俺に与えた仕事は科学技術を盗むことが多くあった。彼なりの気遣いだったのだろう。


しかしスパイも2年でやめてしまい、それから1年ほど、こうして適当に研究をしている。


さて、話は少し戻り臨時国会の事である。


様々な意見が出たらしいが、その殆どが感情論だったらしい。また、和平交渉をするべき、などという無茶振りをするものもいたらしい。


結論として決まった事は大きく分けて3つあるらしい。

1、奴らを異世界人と呼び、向こうの世界を異世界と呼ぶ、また扉を異界門と名付けること。

2、国家が一丸となって異世界勢力に対抗すること。

3、現地に十数人の学者を送り、研究を全力で進めること。


2については少し複雑だが、ざっくり言ってしまえば軍備費の拡大と、大政翼賛会リメイクバージョンの構成だ。過去の世界大戦の時のように、与党と野党が一丸となり対抗しなくては勝てない、という考えだ。


3はシンプルである。まだ異界門は消滅していない。あの爆発の衝撃を受けても尚、多少の傷で済んでいる。その場に向かい、残骸やサンプルを集め、彼らに対抗できる兵器を作り上げることが目的だ。


優れた学者とはどのようなものか、想像できるだろうか?

たいていの人は頭の良い人、と答えるであろう。


しかしそれは正解とは言えない。


優れた学者とは優れた"調査"能力を持った学者の事であるからだ。調査ができればいいなら、頭の良さいらなくね?と思うかもしれない。しかし、調査方法を考える、調査用の機器を作るのには頭の良さが必要である。


今回決まった調査メンバーに俺が選ばれたのはそういう事なのだろう。独自の調査方法を持っている俺を取り入れたい、と。


浩次郎の事だから、単純に俺が興味あるだろう、とか考えてくれてそうだな。


俺にとってはどちらでも些細なことでしかない。ただこの科学探究心は満たさなくてはならない。


科学で解明できないことなどない。解明できないこととされていることは、解明する技術がないことなのである。


急に現れた魔法使いのような異世界人の技を、科学を俺は解明する。そう考えただけで楽しみである。


「さて、久しぶりに国のために働くか。」


そう言いながら俺は白衣を外出用の鞄に入れ、ラボを出る。


刺さるような日差しが照りつける、ある夏の日、人類は宣戦布告をされたのだった。


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