表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の高校生とヴァンパイアの四季  作者: 湯西川川治
秋の話
95/226

わたしはいつから文化祭実行委員長になったんですか 3

     3


 新聞部へと戻ると、博人が待っていた。

「おっ、帰ってきた。おかえり」

「任せて悪かったね」

「お安い御用」

 博人は白い歯を見せて笑う。かくいう自分も店番を博人に任せてしまっていたので、生徒会とか北砂さんのことは大層に言えないのであった。

「博人も遊んで来なよ」

「そだな。綿あめでも食べてくる」

 綿あめの棒を持って笑う博人をかわいいと想像の中でも可愛いと思ってしまったのは負けなのだろうか。

「お、美菜ちゃんお疲れ」

 博人と入れ替わりに帰ってきた美菜ちゃんは心底疲れたような表情だった。

「美菜ちゃんおかえり」

 彼女は僕の挨拶にも答えずパイプ椅子に座るなり、大きなため息をついて、とても泣きそうな顔で訴えた。

「わたしはいつから文化祭実行委員長になったんですか」

 正式にはなっていないんだけど、もはや委員長と言っていいほどの獅子奮迅の働きっぷりだった。断り切れない性格だし、仕事が出来るからどんどんと舞い込んでくる。

「委員長挨拶行ってみる? なんて言われたときにはどうしてやろうかと」

 名実ともに委員長になってしまいそうだったのはさすがに止めた。ていうか本当の委員長誰だっけ。

「栄恵先輩にはこき使われるし生徒会と文実のみんなは止めてくれませんし……」

 発せられる言葉がすべて愚痴になっているんだけど、本人はもはや気づいていないだろう。同情を禁じ得ない。生徒会メンバーは後でなんかおごってあげなきゃ割に合わないぞ。

「ねえ先輩、どうしてだと思います?」

「隣にいるこの人のせい」

「ど、どーも、お借りしました」

 美菜ちゃんの表情を確認して、流石にバツの悪そうな顔でいつの間にか僕の隣にいた北砂さんは手を合わせた。

 料理部を訪れてから生徒会と文実の仕事を手伝うことになって、っていう一連の流れの原因は明らかにこの人だ。この料理部部長、結構顔が広いものだから美菜ちゃんを掴まえてからは後は噂が噂を呼んでというわけだ。新聞部部長は力及ばず、取り返すことが出来ず、残った部員と博人を巻き込んで新聞部の準備をしていて、美菜ちゃんは本当にこっちに顔を出せずじまいだった。文化祭終わった後にこっぴどく叱られそうだ。

「今度お菓子作ってあげるから」

「どうせわたしが作ってるんですよねきっと」

 だめだ、今日の美菜ちゃんはやさぐれ美菜ちゃんだ。

「あ、そうだ」

 北砂さんは妙案を思いついたような顔をして言った。

「私が店番入るから、美菜ちゃんも春日井くんと一緒に回っておいで」

 その提案に、美菜ちゃんのしかめっ面が少し緩んだ気がした。

「いいんですか?」

「散々仕事任せちゃったからね。本来だったらもっと新聞部のこと手伝うくらいのことしたいんだけど」

 あとは上手くやれ、といわんばかりに目配せされて僕は思わず目を逸らす。その先には美菜ちゃんの瞳があった。視線を送ると、逸らされた。

「僕とで良ければ」

「別に嫌だって言ってませんよ。色々付き合ってもらいますから覚悟しておいてくださいね」

 と言うわけで、美菜ちゃんと文化祭を回ることになったわけですが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ