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普通の高校生とヴァンパイアの四季  作者: 湯西川川治
夏の話
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微糖の砂糖抜きでお願いします 2

     2


「城見くん? 同じ大学の生物学部の子だよ」

 榛ちゃん先生はあっさりとそう答えた。

「でも、どうして城見くんの名前が?」

「たまたま知り合って、榛ちゃん先生を知ってるっていうみたいだったので」

 不思議そうに首をかしげていた榛ちゃん先生にそう誤魔化したけれど、よくよく考えれば何も嘘は言っていないと思った。

「城見くん元気だった?」

「はい」

「わたしのことまだ好きでした?」

「はい……って榛ちゃん先生気が付いてたの」

「いつ告白してくれるのかなあ、って待っていたら卒業しちゃったので」

 照れくさそうに微笑む榛ちゃん先生に青春を感じつつ、心の中で城見先生にエールを送る。

「本人気にしてたので、気長に待っててくださいね」

「卒業後飲みに行こうって言って達成できていないから、どうでしょう」

 案外ヘタレだった、って言うと完全にブーメランになるからやめておいた。ともあれ、本当に知り合いだったみたいだったので、ついでに高津先生のことを聴いてみた。

「高津先生はとてもいい先生でしたよ。人当たりが良くて、生物学部以外の学生からの人気も高かったです」

 外面がいいのは僕が知っている通りだった。優しくてお淑やかで気配りのできる友達のお母さん。教鞭をとっていたのは意外だったけれど。

 どうしてそんなことを聴くのかと言いたげな表情な榛ちゃん先生は、少し思案して、顔をパッと明るくした。

「もしかして、わたしたちの大学に興味でも湧きました?」

「ちょっと上も見てみようかなと思って」

「春日井くんなら大丈夫だよ。ちょっと勉強すれば行けるから」

 榛ちゃん先生の母校は共和首都大学。通称首都大。榛ちゃん先生はそう言うけれど、少し頑張らなければ僕では届かないような偏差値だ。

「目指すだけならタダです。オープンキャンパスとかに行ってみるといいと思いますよ。高津先生にも会えますし」

 そう言われてハッとした。そっか、まだ早代さんは大学にいるのか。僕の血を吸った後は高津家に帰っていないらしくてどこ行ったのかと思ったら。首根っこ掴まえて本当のことを吐かせて……って駄目だ。立場が逆だ。でも居場所は割れたから、何かあったら突撃することにしよう。

「栄恵に話してみます」

「何で栄恵ちゃん?」

「僕と同じ大学に行きたいらしいので」

「なるほど。果報者ですね、春日井くん」

「まあ、栄恵と一緒のところに行ければ嬉しいですけど」

 今度は僕が照れくさくって視線を右往左往させる。

「無事に叶うことを祈ってるよ」

 両手で拳を握ってエールをくれる榛ちゃん先生。

「あ、ちなみに城見くんと知り合いだったら、今度連れてきてもいいですよ。私は逃げないので」

「待つんじゃなかったんですか」

「だって、私も千佳子先生より先には彼氏つくりたいですし」

「私がどうかした?」

 千佳子先生がひょっこり現れて、榛ちゃん先生は素っ頓狂な声を上げた。

「榛ちゃん先生、千佳子先生より先にお嫁に行くんだって」

「許しません」

「そんな~」

「榛ちゃんは私のお嫁さんになってもらうんだもん」

 百合か? 百合なんですか?

「それ、東金先生が楽したいだけじゃ」

「未広ちゃん、榛ちゃんの料理食べたことある? すごくおいしいんだよ? これはもうお嫁に来てもらわなきゃって味なんだよ」

 すっごいテンション高い千佳子先生に、榛ちゃん先生は苦笑いしていた。


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