表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の高校生とヴァンパイアの四季  作者: 湯西川川治
春の話
61/226

合法的に涼み亭に行けて嬉しい限りです 3

     3


「家庭訪問、初めてなんですよね」

 千佳子先生の代わりに僕たちについてきている榛ちゃん先生は、どこかソワソワしているようだった。

「今どき高校生の家庭訪問ってないですから、ちょっと楽しみ」

 社会科見学じゃないんだから、と僕はその隣を歩く。ちなみに榛ちゃん先生は僕たちが吸血鬼のことを話すと『あら、なんか可愛い』という感じであっさり受け入れつつ興味を示した。つかみどころのない先生である。

「あら、私なんてしょっちゅう家まで来られてたよ。いつも『賀川はどこ行ったー!』って大立ち回りで」

 どんな高校生活を送っていたんだ詩音さんは。聴きたくもないけど、教師陣は散々苦労したのだろうということは思いうかがえる。

「ちょっと気になります」

「今度ゆっくり涼み亭で教えてあげます」

 ちょっとという割には興味津々な顔の榛ちゃん先生に、詩音さんは嬉しそうな顔で武勇伝を語ることを約束していた。何だかんだで気が合いそう。

 後ろを歩く博人と印旛ちゃんを見てみると、ふたり手を組んで仲良く話をしながら歩いていた。あつあつだ。

「博人、もう君たちラブラブなんだね」

「いやこれは、印旛ちゃんが」

「あー、下の名前で呼んでくださいってお願いしましたよね」

 少し尻に敷かれ気味だなあ、と笑っていたら、印旛さんの家に着いた。


 ごく普通の二階建ての一軒家だった。

「特に変わったことはなくて、ローンもまだ残ってます」

 豪邸とかではなくて、あくまで一般的な感じだった。僕は意を決してインターフォンのボタンを押す。

「はーい」

 インターフォンの向こうから聴こえてきたのは、女性の声。どこか聴いたことのある安心感のある声だった。首をかしげていると、博人が言った。

「今日お邪魔します、柏崎と申します」

 一応彼氏の紹介という体なので、博人が応対する。

「待ってました。少々お待ちくださーい」

 ドアの向こうから鍵を開けて出てきたのは、知っている顔だった。そして、まだ紹介もしていないはずの僕たちの名前を呼んで歓迎した。

「こんにちは博人くん、未広くん」

「……あやめさん?」

「俺もいるぜー」

「義治さん」

「ただいま、お父さん、お母さん」

「えっ」

 出てきた人たちが意外過ぎて、状況が呑みこめていない僕と博人はポカーンとしていた。

「えーと、印旛さんのご両親で」

「ええ、わたしたち実は子持ちなのでした」

 榛ちゃん先生が訊くと、あやめさんはあっさりと白状して、僕たちはご近所に響き渡るくらいの驚きの声を上げたのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ