表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の高校生とヴァンパイアの四季  作者: 湯西川川治
春の話
46/226

春の話~プロローグ

 わたしは、人の血を補給して生きていく存在だ。

 子どもの頃からそうだった。常に家の冷蔵庫には人の血液が備えてあった。そうしなければ死んでしまったから。

 特異な存在であったことを知ったのは最近だった。家にある紅い液体それがずっとトマトジュースだと思っていたんだけれど、実は、どこの得体も知れない人の血だっただなんて、驚きは計り知れなかった。

「私たちは人から血を吸うことはなくて、血だけが必要なのよ」

 本当のことを話してくれたお母さんからはそう聴いた。だから、自分から誰かの血を吸うことはないし、そういう欲求も存在しない。

 私たち、ということは、お父さんもお母さんもそうだということだった。そしてそのお父さんとお母さんも。わたしの一族は、そういう存在だった。

 真実を知ったからとはいえ、血を欠かさなければ生きていけた。だから、特に成長していくうえでも生活していくうえでも違和感も不都合もなかった。けれど思春期だから色々と考えることはある。その中でわたしは、ひとつ考えたことがあった。


 この血が途切れた時、わたしはどうなってしまうのだろうか。


 一抹の不安を抱えるようになりながら、わたしは歳を取っていった。そして、高校生になった。それでもこの身体は他人の血液を必要としている。過去も現在も未来も。わたしはまるで人を襲わない吸血鬼のようだった。


 ——本当に、人から血を吸うことはないの?


 欲求は確かにないとはいえ、もしこの血がなくなった時に、わたしは血を欲しがって何をするのだろうか。

 このわたしが暴走しないように。暴走などあり得ない、けれども、今はそれだけを願っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ