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普通の高校生とヴァンパイアの四季  作者: 湯西川川治
最期の冬の話
179/226

生徒会長がいないってどういうこと 7

影森椎香生徒会長(イメージCV:立花日菜)

      7


「あ、未広先輩こんにちは」

 座っているのは影森椎香生徒会長だけだった。やっと生徒会長席にいるべき人がいて、思わず力が抜けた。

「どうしてへたり込むんですか」

「なんか久々に会った気がするから」

「最近ずっと生徒会室にいなかったから、当然です」

 ここ何日のあいさつ回りも終わったらしく、やっと生徒会長席に影森椎香生徒会長が戻ってきた。

「寂しかったですか?」

「ちょっとだけ」

「まあ、お世辞でも嬉しいものですね」

 まんざらでもなさそうに言う影森ちゃんの口角は緩んでいた。でもあながち嘘でもないんだけど。

「それで何の用事でしょうか。美菜のご機嫌取りならお高いですよ」

 わかってるくせに、影森ちゃんは聴いてくる。

「取材させてくれませんか」

「あいにくゴシップはありませんが」

「生徒会代替わり特集号です。他の人たちはみんな取材できたから、あとは会長だけ」

「先輩と美菜がいるんですから、私のことなら面白おかしく書いてくれてもよかったんですよ」

「新聞部はうそを垂れ流す部活ではありません」

 信用問題に発展しかねない。

「それに、生徒会特別号なのに華の生徒会長がいないってどういうこと」

「冗談です。取材受けます」

 そう冗談めかして小さく笑って、影森ちゃんは会長席からソファーにちょこんと腰掛け直して、僕に笑いかけた。

「さて、おまたせいたしました未広先輩。真打生徒会長の登場です」


「うーん、最後は結局生徒の皆さんに笑顔でいてもらいたい。そのために生徒会長がいるので、どんどん頼ってください、とそう締めさせていただきます」

 キリッとした表情で影森ちゃんは締めくくった。

「どうしたんですか、ポカンとして」

「選挙応援させてもらった身として申し訳ないんだけど、本当に生徒会長なんだなあって」

「……そういう波長が合うところが、美菜と惹かれ合った原因だと思いますよ」

 フワッとした調子で言う僕に、呆れ気味に影森ちゃんはそう呟いたあと、


「……うらやましい限りだな」


 最後にそう付け加えたように聞こえた。


 と言うわけで、新生徒会役員全面協力の元、特集号の取材を完遂することができたのだった。5人だからってきっちり5日間かかるとは思わなかったけど。

『最後にもう一言』

『未広先輩は『最後』という意味について辞書で調べてきてください』

 僕がふんわりとしてしまったのでもう一つ締めのコメントを希望すると、影森ちゃんは小さくため息をつきながらも、居住まいを正してはっきりと言った。


『私は生徒を誰一人として見捨てません。何かあったら、迷わず生徒会室の扉を叩いてください』

 その生徒のうちの一人には未広先輩も含まれているんですよ、と小さく付け加えた影森ちゃんは、とても頼もしく見えたのだった。

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