生徒会長がいないってどういうこと 3
城崎みやび生徒会副会長(イメージCV:内山悠里菜)
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「あ、未広先輩こんにちは」
座っているのは城崎みやび副会長だけだった。
「こんにちはみやびちゃん。会長は?」
「あいさつ回りで今日は帰ってきません」
ほら、とみやびちゃんは空になっている生徒会長席を指差した。外出中の札が机上に置いてあった。
「会長に会いたかったんですか?」
「代替わりしたから取材をと思いまして」
「なるほど」
生徒会新執行部の特集号、と言うことで生徒会役員みんなのインタビューを新聞記事にするため、生徒会室へと来ていた。会長から順に行こうと思っていたけれど、いないなら仕方ない。
「みやびちゃん先にやっちゃおうかな」
「私もまたやるんですか? こないだやったばっかりなのに」
「新副会長就任記念ということで」
「まあいいですけど」
みやびちゃんがそう言いながら応接スペースのソファーに腰掛けたので、対面に腰掛ける。
「というかなんで先輩が来てるんですか、取材」
「美菜ちゃんは入院中だし、鮫ちゃんは弓道部だし、エミールはちょっくら帰国しちゃったし」
エミールは『ちょっくらだからすぐに帰ってくるぞ』って言うからタフだなあと思った。
「受験生が取材の最前線だなんて、ブラックですね新聞部って」
「好きでやってるところもあるからいいんだけどね」
「受験勉強しなくていいんですか」
「大丈夫だよ。東京文化大だったら安全圏だし」
一応、一度もB判定以下を取ったことがないことは自慢だ。
「とはいえ、未広先輩の話をする人たち皆心配してるんですから。もちろん私も。あれじゃ私たちと一緒に3年生だー、とか、浪人生まっしぐらだよー、とかって」
……一つ目の方は誰が言ってたのか後で詳しく聴こう。
「そこまで言うほど成績悪いわけじゃないからね」
「良く補習食らってますよね」
「それは先生たちと仲がいいから逆に掴まりやすいというか」
「インタビューでこれからも未広先輩の指導お願いしますって言いましょうか」
「大丈夫です間に合ってます」
そんなこんなな雑談をしつつ、みやびちゃんの取材は無事に進んでいった。
『それでは最後に、生徒の皆さんに一言お願いします』
『また私を副会長に選んでくれてありがとうございます。全力で新会長と生徒の皆さんの学校生活を支えます!』
さすが副会長志望。下支えする準備は出来ているみたいだった。





