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普通の高校生とヴァンパイアの四季  作者: 湯西川川治
四季の小話
134/226

綿あめ食べたいんですよね 三

     三


「本当に制服着て来ましたね、お三方」

 まさか本当に文化祭に来るとは思っていなかったので、少し驚いた。しかも幕張さんも学ランを着こなしている。

「美菜、苦労かけたな」

「いえいえ」

 とりあえず幕張さんがわたしの制服を着て来ないで安心した。もしそうだったらスクープで新聞部の格好のエサになっていたところだ。

「美菜さん、お久しぶりです」

「なんか痩せましたか牧穂先輩」

「吸血鬼界ってブラック企業ですから」

 そう言えば未広先輩から聞いた覚えがある。ずっと牧穂先輩が缶詰になっているって。上司を見ると、2人ともふいと目を背けた。

「美菜さんこそなんか疲れてそうですね」

「ある生徒会の人に目つけられちゃって、散々生徒会と文実にこき使われてますから」

 もう会う人会う人に愚痴っている気がして嫌になる。わたしは生徒会でも文実でもなく、ただの一般生徒なのにも関わらず、実質文化祭実行委員長みたいな扱いをされて、働きを見せている。おかげさまで色んなところを走り回っている。全部美濃部先輩のせいだ。

「頼られるのは良いことです」

「限度ってものがあります」

 わたしがもうひとり欲しい。

「私も分実の委員長だったけど、楽しかったなあ」

「詩音さんはそういうの合ってそうですもんね」

「みんなで創り上げてる、っていうのがあって良かった」

 確かにそれはそうだった。なんだかんだ色んな人が助けてくれて、一緒にやってくれて、無事に昨日と今日を迎えられる喜びはひとしおだった。美濃部先輩は許しがたいけど。

「それにしても、幕張さんも含めて皆さん高校生ですね」

 幕張さんは少し大人っぽさが際立っているけれど、案外違和感は少ない。牧穂先輩は見たことがあるからか、全然違和感がない。詩音さんは胸が少しキツそうだけれど、しっかりとわたしの制服を着こなしていた。

「しっかりと着こなしているのはさすがです」

「次は私がこっちに来ようかな。涼み亭にも行けるし」

「そんなに涼み亭が好きならアルバイトでもしてってください」

 地味にわたしが文化祭の準備に忙しいのと七瀬先輩が就活に動き始めたら人員不足なので、来てくれれば正直嬉しい。

「あやめさんに口利き頼みました」

 噓か真かわからない調子で詩音さんは笑うのだった。

「ともかく、まずはうちのクラスの喫茶を楽しみつつ、新聞部に顔出したりして諸々楽しんでいってください」

 結局未広先輩には会えなかったらしいけれど、うちの学校の文化祭を楽しんでもらったみたいで、わたしは正直嬉しくなったのだった。

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