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普通の高校生とヴァンパイアの四季  作者: 湯西川川治
四季の小話
130/226

タピオカは校内で3か所まで 1

     1


「しつもーん!」

 蝉が元気に鳴く夏休みの部活途中、鮫ちゃんが元気よく挙手した。

「何でしょうか鮫川さん」

「新聞部は文化祭で何やるんですか!」

 今日はきっとその質問が来ると思っていた。

「これからそれを決めます」

「わーい!」

「文化のフェスティバルというやつだね」

「今年は何やりましょうかね」

 文化祭の企画会議開催を宣言すると、新聞部員たちは三者三様の楽しみそうなそれを見せていた。

夏休み。休みに入る前に部室のクーラーが壊れるアクシデントもありつつ、新聞部は何とか夏の猛暑に耐えて、夏休みも終盤戦に来ていた。

 そろそろ文化祭の出し物をまとめないと、学期初めの提出に間に合わない。

「去年は何やったんですか?」

「基本的には、バックナンバーの掲示と模擬店です」

「模擬店!」

「去年は鯛焼きをやりました。結構好評だったんですよ」

 美菜ちゃんと2人、何匹の鯛焼きを釣り上げて売り捌いたかわからない。

「海まで行ってきたの、大変だったね」

「いや、本当の鯛じゃなくて鯛の形したお菓子なんです。中に餡子やカスタードが入ってて」

「それは美味しそう」

 エミールは鯛焼き未経験らしくて、興味を示していた。今度実物を買って帰ろう。

「日の出国の文化フェスティバル、非常にワクワクする」

「エミール先輩の高校の文化祭って何やったんですか?」

「うーん、ワタシたちの学校にはそういうのがなかったんだ。ハロウィンとかクリスマスはしっかり祝うけど」

 エミールの話に、後輩2人は意外そうな顔をしていた。僕もなるほどなあ、と思っている。なんというか、海外の人はお祭り好きっていうイメージがあっただろうか。

「それじゃあ、エミール先輩もしっかり楽しめるやつで!」

「賛成です」

「日本の文化祭の底力を見せてやろう」

 新聞部の総意が整ったところで、問題は模擬店で何を出すかに移った。

「甘いものを出しておけば大抵の高校生は喜びます」

 という真理を突いてきたのは美菜ちゃんだった。

「うーん、それじゃあ今年も鯛焼きはやろうか」

 正直楽しかったし、今年もやりたいのが本音だった。皆も賛成してくれて、もう一品何か出そうという話になった。

「うーん、綿あめとかですかね」

「ホットケーキミックス余っちゃうからいっそパンケーキつくっちゃうとか!」

「最近流行っている、タニオカ屋さんとかでも」

「エミール、それってタピオカ?」

「そうそう、そのオカさんだ」

 確かに最近タピオカが妙に流行っていたりする。街でもよく見かけるし、涼み亭も地味に乗っかっていたりする。

「涼み亭でも結構出てますし、女子高生のハートはつかめるかもしれませんね」

「タピオカ自体もおっきなスーパー行ったら買えそう」

「フルーツとかソーダとかと合わせて彩り良くいこうよ!」

 みんなタピオカ屋さんに前向きになっている。スマホでちょいと調べたら、仕入れ自体もネットで出来ちゃったりもする。部費の問題はさておき。

「それじゃあ今年は鯛焼き屋さんとタピオカ屋さんで……」

 そうまとめようとしたら、部室のドアが開いた。

「榛ちゃん先生」

 現れたのは副担任で副顧問の日向榛先生、榛ちゃん先生だった。夏休みはよく新聞部の部室に現れてはのんびり世間話をして帰っていく。

「みんなこんにちは。私もタピオカ屋さん大賛成なんだけど……」

 賛成の割には、すごく浮かない顔をしている。

「部費なら何とかします」

「残念ながらそういう問題じゃないんです」

 この世の終わりのような顔をして、榛ちゃん先生は僕たちに告げた。

「タピオカは校内で3つまでしか出せないんだって……」

 榛ちゃん先生は妙に詳しかった。

「さすがタピオカの魔術師」

「そんな大層な名前つけられてたの。それほどでもないよ、毎朝飲んでるけど」

 それを大層と言わずになんと言う。

「というかタピオカってでんぷんの塊ですし、毎日食べてると太……」

 そう言いかけて美菜ちゃんはやめた。おそらく春から見た目が思った以上にふっくらしていないことに気がついたからかもしれない。

「ということは抽選ですか」

「そう言ってたよ、栄恵ちゃん。生徒会のみんなと色々話したんだけども、みんな考えてくるだろうから、って却下されちゃいました」

「まあ、タピオカ屋さんが全くないわけじゃないんですし、そう肩を落とさないで」

「食べ比べしたかったんだけども」

 食べ比べも何もどれもそう大差ない、なんて言ったら説教されかねない雰囲気だったので言葉を飲み込んだ。


 結局、とりあえず去年に続いて鯛焼き屋さんをやるのは決まり、タピオカ屋さんの案は残しつつ、生徒会の言う抽選には参加することになった。

「今年もサリー先輩にお願いしておきます」

「お任せします」

 そして、料理部所属の美菜ちゃんのコネで、といっても僕が頼んでもいいんだけど、料理部の北砂冴里さんに今年も手伝ってもらうことにした。去年も獅子奮迅の働きをしてくれたし、料理がめちゃ上手いので今年も甘えることにする。

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