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ドワーフ街のバーテンさん。  作者: ほうとう。
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さて、我がサチBARの営業時間は夕方から深夜にかけて。

毎日営業してるわけじゃなくって実は1日置き。お酒の仕込みやチェックがあるからだ。ぼっちです。

とはいってもそのスケジュールではごく当たり前だが私は朝という時間帯は基本的に寝ている。店の2Fは住居スペースでもある。

下手に生活リズムをズラすと体にも精神にも悪影響なのは(前世では)有名な話だ。月のリズムとか太陽と体内時計の関係とかものは言いよう?しらんな。

とにかく朝はあんまり強くない。戦う気もない。わざわざ遮光カーテンなどという概念がないところに作ってもらった分厚いカーテンとか夜型魔族さんとか貴婦人とかに大人気になったとかもしったこっちゃない。私は眠い。

なので「気遣い」ができないのだ―ーアポなし侵入者に関しては。

そう。うるさい。地下って響くんだぞ。

「っそ、どこのクズだ」

客とはその店・家にとって招いたり受け入れたりするに値する相手をいう。

実家に居る時にそう考えることにした。招かざる客という言葉自体が随分丁寧な表現ともいえる。つまりくんなぼけ、というわけだ。

そういう相手はクズで十分。むしろクズと言わせろクズめ。

あえてサイズオーバーのロングTシャツとスパッツをパジャマ代わりにしている私はふぅらりとした足取りで半ば夢見心地に地下へと向かった。おかーさまがみたら説教確実の格好だがすぐまた寝るつもりなのだから着替えるのが面倒だ。

貯蔵庫の方か。音の具合に判断材料を増やしながら無防備を装って現場に向かう。

多分4人。もう一人指揮してるのがいるかもしれないと考えて5人。

私をまず押さえなかったということはプロではないのか逆に気づかれないとでも思っていた自意識過剰なのか。

判断がしにくいな。まぁツブせばいいんだけど。

水と氷。私が使える魔法そのものはこれだけだ。水にはお湯も入る。

これだけあればある程度のことは簡単にできる。やり方は一番無難なもので。人の70パーセントが水分という事実は今回ばかりは封印する。水を作り出すことより、「ある」水を使う方が簡単だよね。ちなみに人体を構成するタンパク質の凝固点は42度。ちょっと熱めのお風呂くらい。私はお湯を沸騰させることができる。以下はお察しください。多分だけど死亡推定時刻も簡単にズラせる。

死角から中を確認しないまま2・300個の小さな水球を風のながれに乗せる。人は呼吸をするからね。吸い込まれるように。呼吸が荒くなれば更に集まっていく水の球は呼吸器官に張り付き続ける。

息苦しいかなと気づいたときにはアウト。いやちゃんと意識がなくなったら水は流れるようにしてあるよ。ばた、がたと予定通りの反応が耳を打つ。

なんだどうした。声を上げれば息をする。混乱した人から意識はつぶれた。

さてと。静かになったしお顔を拝見しますか。



「ばとぅーん?」

「なんだそれ」

「あ、いえ。本当ですか?って意味ですわ」

こういうお約束のやりとりにツッコミ入ると恥ずかしいです大兄様。

「スラングか?あまり使うなよ。てかマジマジ大マジ。聞き間違えかって俺も思ったわ」

大兄様もスラングしとるがな。

しかしそうでもいわなきゃやってられないだろう。そりゃそうだ。窃盗団は貴族に遣える騎士様ですとか泣いていいですか。

さっさと衛兵さんを呼んであとのことはお願いして二度寝から起きた頃おいでなすったのは次期辺境伯こと上の兄だった。

報告が早いことにも驚いたが内容にはもっと驚かされた。

というより子供というものをすっかりと忘れていた。

「なんでも皇太子のご学友のひとりが皇太子から聞いたこともない飲み物の話を聞き興味を持ったらしい。しかしまぁそこがなんていうか庶民の格好して町に下ることを悪趣味だと咎める側の固い家の子だったらしくてな」

「話が跳躍しすぎて頭痛い。こいよプライドなんて捨てて飲みにこいよ」

「それができたら貴族じゃねぇなぁ」

なんかいたたまれないツッコミの大兄様。この国の、本来の方針に逆らった統括階級。

さっさと戦線離脱して本当に正解だった気がする。

っていうか前帝閣下とか王妃とかそもそもで皇太子とかきてるし、営業の後ろ盾自体が貴族だ。それも上位貴族だ。えぇやん。きてもえぇやんか。

「話の都合上、ぼっちゃんの憧れに家臣が暴走したという体になってるが」

「まぁもうソレでいいです。その家臣さん達にフォローしてやってください。バカの対処はどうでもいいから」

「そうだな。不幸は命令に逆らえない側のものだ。自分が悪かったとだけいえばおまえがそんな顔をすることもなかっただろうに」

こんな顔ってどんなカオですかねー。

「ところでれもねーど?てなんだ」

「レモン水を子供向けに甘くしただけですよ」

「あぁ。俺たちの訓練の時に作ってくれた奴か」

「アレは少々運動用アレンジかけてましたけどね」

前世の気候ほどの暑さはこの世界にはない。

むしろ怖いのは冬の寒さの方かな。そういう意味では東北に近いんだと思う。存在するのならば緯度が。それでも夏はそれなりに気温が上がって剣だ体術だので暴れ回れば汗を掻く。熱中症になったら回復魔法かければいいやっていうおそろしい理論を展開する世界において、予防目的の私のレモン水と麦茶は自領では結構好まれた。砂糖は最小限にして塩分もプラスしてね。まぁスポドリだ。回復魔法だってそうありふれた訳じゃないし重篤化するよりずっとその後の効率がいいしね。

いやぁその流れで実家が大麦だけでなくレモンの産地になるとは思ってなかったよねー。今年のリモンッチェロはそろそろいい出来になってると思う。うぉお考えが酒にトぶ。

「おまえそんなん次期皇帝に出したの?」

「だってパナシェあわなさそうだったしそもそもビール好きそうじゃないし」

そんなん、というがこってり100パーばっかりのジュースより飲み易さはあると思うの。

「ビールを飲みたがったのか。やれやれ子供ってのはこれだから」

自分の行動なんかよりずっと問題発言だらけの大兄様に苦笑いが押さえられない。自分もよく飲むくせに。子供だなんだはあんまり関係ないと思うなこういうのは。

「王妃様も止めなかったですしおすし」

「そーかよ。ったく巻き込む形になってすまなかったな妹」

「まぁもういいよ。ことを大きくしても不幸しか生まないんでしょう?」

この辺日本人の感性だよね。たぶん。怒っても感性が違うという意味で話が通じない相手に努力したくないっていくか。大人ぶることでしか自分のムカつきを沈静化できないというか。

「おまえそういうとこ、事なかれ主義だよな」

「自分の領域が本当の意味で犯されない限りは流されますよ私は」


若干の不穏

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