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大剣の上手な使い方

第2話の「オーパーツな彼女」、蛇足な伏線があったので、フィーナの「「すごく重たくて〜」のセリフと、最後の文を修正しています。

 「あの、私、今日これから用事が…」


 大剣を持ち上げようとして疲れたノインが、畑の前に座り込んでしまったため、フィーナは仕方なく家から出てきて、ノインから少し離れたところから話しかけていた。


 おずおずと現れたフィーアは、可愛らしい女の子であった。年の頃はおそらくノインと同じ、背はフィーアの方が少し高い。腰まである黒髪が特徴的だ。また、ぼろきれの服ではなく、多少、飾りが付けられたワンピースのスカートを着て、その下にズボンを履いていた。その染色をしていない白い服に、黒髪長髪がよく合っている。


 ノインはゆっくり立ち上がると、ズボンの尻の土を叩いて落とすと、フィーナに笑いかける。


 「お忙しいんですね。どんな用事か聞いても?」


 先ほどまでの勢いとは違い、ノインは、冷静な様子でフィーナに話しかける。

 フィーナはそんな変貌に少し戸惑う。


 「はあ、あの、月に一度の、森の奥の魔物退治があって」

 「お一人で?」

 「まあ、ほら、私、あれが使えるから…」


 フィーナは、大剣を見る。


 「オーパーツを使うんですか!?」


 再度、豹変するノイン。


 「そ、そう、です」

 「僕も、行ってもいいですか!?」

 「えっと…」


 フィーナは気づいた。どうやら、ノインがオーパーツにだけ、強く反応することに。

 合わせて、オーパーツのことで断ると、何か面倒なことになりそうな気がしてきた。

 

 「まあ、いいですけど…」


 ノインはフィーナに走り寄り、手を握ると、上下に振った。

 フィーナは突然のことに反応できない。


 「ありがとう! ありがとう!」

 「え、ええ。あの、手を…」

 「ああ! すみません!」


 ノインはフィーナの手を離す。

 フィーナは少し顔を赤らめていたが、息を吐いて、呼吸を整える。

 そして、畑の前に突き刺さった大剣の前に立つ。フィーアよりも、大剣の方が高い。見るからに華奢であるフィーアが取り扱えるようには、とても見えない。


 だが、フィーアが、右手でその柄を触ったその瞬間。


 大剣が、宙を舞った。


 凄まじい勢いで、大剣が回転する。音をたて、空気を切り裂いて回転する剣に、フィーナは何気なく手を伸ばす。

 そして、いともたやすく、その柄を握った。


 まさに神業。

 大剣を右腕に持ち、まるで重量を感じさせず、悠然と立つその有り様は、どこか神々しさすら感じる。


 だが、本人は毛ほども気にすることなく振り返り、


 「じゃあ、行きます?」


 とノインに声をかけた。


 ノインはもうたまらない。

 その惚れ惚れする神業にではない。勿論、オーパーツにである。

 回転により、大剣に付いていた土汚れは全て吹き飛び、その銀色に輝く美しい刀身が現れたからだ。

 刃こぼれなどなく、傷一つすらないその姿、その美しさは、この世に生まれ落ちた女神の如くである。


 『その刀身に輝く光の美しさをどう例えれば…』


 ノインはそんなことを思いながら、眉間に皺を寄せて、唸る。

 

 「天使の輪…、月光の雫…、星々の結晶…、いや地上に降り立った…」

 

 そんなことを呟いているノインに、遠くのフィーナから声がかかる。


 「あのー、先にいってますからねー」

 「はっ!」


 フィーナは何度も声をかけたが、ノインはそれに全く気がつかなかったため、少し進んでは声をかけていたのだが、もう呆れてしまい、先に進もうと最後の声かけをしたところだった。


 「行きます! 行きます! すぐ行きます!」


 ノインはそう叫びながら、ゆったりと歩くフィーナに向かって、いつものように走り出した。

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