出会い
「星野連様でいらっしゃいますか?」
美しく凛としたかわいい声が響く。
「は、はい、そうですけど、、」
「私は、ザーツ領パルムクル区護衛部門隊長のシーナ・と申します。」
そう答えると、彼女はフードに手をかけ、ゆっくりと顔を見せた。
ショートカットの髪と、青く透き通っている目、年齢は、、、15,16才ぐらいだろうか。とても可愛らしい少女だった。
しかし、風が彼女のマントをひらひらとなびかせ、その都度、腰に携えている剣が異様な雰囲気を醸し出していた。
「まだ、ご自分の立場がわかっていないとは思いますが、、、」
そう言いかけた瞬間、少女は素早く剣を引き抜き、連に迫った。
一瞬のことでとっさに防護の構えを取ったが遅かった。
剣は連の首元に突きつけられていた。
「星野連様、ご同行願います。もちろん、、、、拒否権はありません。」
「お、俺が何をしたって、、いうんだ。そ、そもそもここはどこなんだ?」
首元にある恐怖にこらえながら必死に声を出す。
「いえ、、何もされてはいません。しかし、ここにいると危険です。いったでしょう、私は護衛隊長 と。」
「護衛って、、、護衛隊長さんが護衛対象に向かって剣を突きつけて言う言葉か?」
「こうでもしないと来てくれないと思いまして、、、、」
「わ、分かった!ついていくから首元の剣をおろしてくれ!」
すると、シーナはゆっくりと剣をおろした。
「先程も言いましたがあなたはここにいると危険です。これよりザーツ領護衛部門隊長権限により、あなたを全力で守らせていただきます。」
「守るって言ったって、俺なんかを襲うやつなんていないんじゃ、、、」
「まだ、ご自分の立場がわかっていないと思いますが、、、」
シーナは一呼吸おいて、こちらを見つける。
「あなたはザーツ領 次期領主、になるおかたなのですよ?」
「は、、、なにをいって、、、」
「そのままの意味です!ですからあなたは、、」
シーナとの会話に夢中になっていたその時、突如爆発音が響き渡った。
「シーナ様、敵がこちらに迫ってきています。数は25!!」
護衛の一人が叫ぶ。
「もう、来やがったか、、総員! 護衛体制につけ!」
シーナも真剣な表情で指示を出す。
「レン様、一旦ここから離れます。こちらの馬車にお乗りください!」
「は、馬車なんてどこに、、、」
言いかけた瞬間、地面に魔法陣が展開される。
そこから、突如、武装された馬車が現れた。
馬車を引く馬は全身を鎧で包んでいる。
荷台は鉄製なのだろうか、頑丈な作りになっている。
他の護衛も馬にまたがっていた。
さっきまでこんなのなかったのに。
「さあ、はやく!!」
シーナに言われるまま、馬車に乗り込み、この古城をあとにした。