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第98話 時間内に教室へ到着?

「八時二十四分だ」

 えー。もうそんなに時間が経っていたのか。

 普通にまずいぞ。


「わ、分かった。もうさほど余裕がないようだな。とりあえず急ごう」

「私もそうしたいのは山々なのだが、足が痛くてな。もしよければ、おぶってはくれぬか?」

 何だよー。てっきり普通に歩いてたもんだから、ダメージは特にないと思ってたのに。

 もしかして痛みを堪えて歩行していたのか?だったら、コイツの希望通りにするしかないな。

 ただちにまゆりを背にのせ、ただひたすらに森を駆け抜ける。

 幸い八時三十七分には学校近くの街道へ到着し、八時四十一分には校舎内に入る事に成功する。


 はー。はー。やっぱ人を背負いながら走るのは相当キツいな。

 足がパンパンだ。


「さあ、もう一息だ。早く保健室に行ってくれ」

 まじかよー。

 なんで俺が中まで連れていかなければいけないんだ。

 くそ。遅刻したら、恨み倒してやるからな。


 不満を呑み込み、仕方なく二階へと向かう。

 にしても、異様に静かだな。

 登校時間なのにも関わらず、人の声すら聞こえてこない。

 というか未だ誰の姿すらも見かけていないが、これはどういう事なんだ?

 あれこれ考えているウチに保健室前へ到着する。

 



「ホラ、着いたぞ。あとは教官に治療を頼んでくれ」

 軽く声を掛け、まゆりを背中から降ろす。


「わ、分かった。おぶってくれてありがとな。とても助かった」

 照れくさそうな笑みを浮かべた直後、まゆりはしっかりとした足取りで保健室へ入っていった。



 凄え。まさか、あいつが礼を言うなんて。

 昨日、おとといの状況から考えたらまるで信じられない。

 おそらくは、森での一件で俺への印象が良くなったんだろう。

 くっくっくっくっ。いいぞ。

 我が家の住人と仲良くなれば、当然トラブルのリスクも減る。

 そして絶世の美少女達とあんな事やこんな事も。ムフフフフフ。

 おっと、いけない、いけない。今は妄想に浸ってる所ではなかったな。

 

 猛スピードで二階廊下をかけ抜け、ダイブするように一ーE教室へ滑り込む。

 登校終了のチャイムが鳴り響いたのは、それからたった数秒後の事であった。

 

 ふー。ホント、ギリギリだったな。

 もたもたしないでよかった。

 すっかり安堵しているが、謎な事に声が全く聞こえてこない。

 こりゃ、どういう事だ?今日はれっきとした登校日のハズだよな。

 うーん。も、もしや……

 

 今日は全校集会がある日で登校時間が早いんじゃ。

 恐る恐る顔を上げてみると、案の定人っ子一人いない光景が目に入る。

 

 

 やっぱりかー!

 なんてこった……

 

 せっかく走ってきたのに。

 全てがパーとなってしまった。

 はー。朝から気が滅入る。

 もはやイザベルからのしおきは避けられないだろう。

 途端に頭痛がしてきたが、過ぎた事はもうしょうがない。

 


 確か校庭には人がいなかったから、おそらく予想通り室内運動場で全校集会でも行われてる

んだろう。


 残念ながら、今から行っても遅刻が取り消される訳でもない。

 足を運んでもさして意味はないだろう。そんな事より、気になるのはまゆりだ。

 構わず教室の前に置いてきたはいいが、肝心の保健教官がいるかは不確かだ。

 とりあえずあいつの所へと向かおう。水分補給をした後、保健室前へ移動を行う。


  

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