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第81話 天然美少女の罠にハマってしまった……

「まあ、そう落ち込むな。お前の頼みは用が済んだらちゃんと聞く。ちょっとだけの辛抱だ」

「…………」


 あれ?返事が返ってこないぞ。

 ひょっとしてショックから、言葉もろくに話せない状態なんじゃないだろうな。


「な、なあ。まだそこにいるんだろ? だったら一言返答してくれないか」

「…………」

 

 や、やばい。こりゃ、相当精神的ダメージを受けてるに違いない。

 こうなったら、首輪云々言ってる場合じゃないぞ。

 面と向かって励まさなければ。恐る恐るドアを開けてみるが、当の本人の姿はどこにもない。


 あれ?肝心の赤月がいないじゃないか。

 一体どうなってんだ?部屋を出てあたりを見回すも、赤月どころか人影すら確認する事が出来ない。

 こんだけ調べてもいないとなると、おそらくあいつは諦めて部屋に帰ったんだろう。

 考えてみれば、赤月があの程度で落ち込むとは思えないもんな。

 よーし。なら、さっそくカギ探しに取り掛かるぞ。

 中へ戻ろうとうしろを振り向いた瞬間、何かが背中に絡みついてくる。


 お、おい。なんだ、いきなり。

 何が起きたのかサッパリ分からない。

 だが、背中におっぱいのような柔らかい感触を感じるのは気のせいだろうか?

 それによく見たら、腰あたりに人の手が見える。

 という事は……


「フフフフフフ。やっと捕まえましたよ、すざくさん。私の頼みを聞いてくれるまで絶対に離しません」

  

 うわっ……

 こりゃ間違いない。

 うしろから抱きつくように密着してるのは赤月だ。くっそ。やられたー。

 きっとコイツはわざと傷心してるように装い、俺が外に出てくるのを隠れて待ってたんだろう。

 おのれ。なんて奴だ。これじゃ、心底心配していた俺がバカみたいじゃないか……

 

「ささ、こんな所にずっといても意味はありませんから、中で話をしましょう」

 直後、赤月が全身下着状態で目の前に姿を現す。


「はー? お前なんて恰好してんだ! 頭でもおかしくなったのか」

「あー。ひどい。すざくさんだって首におかしなモノを付けてるくせに」

 

 う……

 見事に痛い所を突かれてしまった。

 もう何にも言えねー。結局為す術もなく、赤月を部屋の中へと案内する。

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