第78話 どうしてド変態女に首輪をされたまま家に入らなければならないんだー!
あれ?おかしいな。
確か、森林エリアには十字路が二つしかないハズだが、既に三個目だ。これはどういう事だ?
まもなく先輩が謎の十字路を右に曲がった為、俺も同様にうしろを付いていった。
すると、前方に見覚えのある家が見えてくる。
えー。どうして我が家が目の前に。
俺は間違いなく二番目の十字路を。
あ……
しまった。ついうっかりしてたが、一をすっ飛ばして二からカウントしていた。
まじ恥ずかしい。たぶん、こんなヘマを花崎や赤月に知られたら馬鹿にされるだろうな。
ちょいと頭が痛いが、今は目の前の事に集中しよう。
やがて先輩が一足先に家へ到着し、自分だけ中へ入っていく。
あんにゃろー。まず家に足を踏み入れる前に首輪を外すなり、リードを置くなりしろってんだ。
全く。続いて中へ入ると、数メートル先に放置されたリードが目に入る。
どうやら先輩は周辺にいないみたいだが、リードを掴むわっか部分がすぐ前にある。
という事は、ようやく観念してリードを手離したんだろう。
捨てるのが嫌と言ってた割にはあっさり放置したな。
なら、もっと早い段階で離せよ。たく。困った奴だ。
とは言え、もはや追いかけっこする必要もないのだから気が楽と言えば楽だ。
しかし、未だに肝心要のカギが見当たらない。
あれがなければ首輪を外す事は出来ないぞ。
周囲を注意深く見回してみたが、結局目的の物が見つかる事はなかった。
くっそ。何を考えてんだ、あのド変態女は。
まさか、カギだけ置いてかなかったのは単なる嫌がらせなんじゃないだろうな。
もういい加減許せん!リードを手に先輩がいるであろう二〇三号室前へ移動する。
「おい。いつまでもふざけてないで首輪を外してくれ。お前の欲求は既に満たしただろ」
部屋の奥まで聞こえるように声をかけてみるが、一向に返事は返ってこない。
そうか、そうか。
お前はあくまでも、徹底抗戦を続けるつもりなんだな。
強引に中へ入ろうとするが、全くドアを開ける事が出来ない。
えー。まじかよ。
朝カギがかかってなかったもんだから、てっきり今回もそうだとばかり思っていた。
こりゃ、少し計算外だ。だが、先輩には確かまだ部屋のカギを渡していない。
従って二〇三号室のカギは俺が持っているハズなんだが、はたしてどこにあるんだろう?
全く覚えがない。
いつもだったら、学校がある日はカギを左ブロック三階の倉庫にしまっている。
逆に外出しない日は、カギを持ってると心が落ち着くという理由でポケットにしまってる事が多い。
そんな事もあって昨日は、タイミングよく奴等にカギを差し出せた訳だが、どういう訳か今回に限って所在がサッパリ分からない。
おそらくは、記憶が吹っ飛ぶくらいの出来事が数多く発生したからなんだろう。
残念ながら、今の状況ではお話にならない。
とは言っても、あそこまで大事な物を適当に放置するとは考えにくい。
きっと、自室のどこかにあるに違いない。
二階を後にし、一旦四階へ向かう。




