表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/195

第56話 黒豚でも落ちてきたのか?

 ひー。どうやら近くに悪魔がいるみたいだぞ。

 一体、どこに?周りには誰もいないぞ。

 も、もしかして。上にでもいるんじゃ。


「しまったー」

 広大な空間が広がる天井に目をやろうとした正にその時、頭上から何かが覆いかぶさってくる。


 な、何だ、いきなり。

 目までしっかり被さっているせいか、何も見えやしない。

 おまけに落ちてきた物体が重すぎるせいで首がひん曲がりそうだ。

 ひょっとして黒豚でも落ちてきたんじゃないだろうな。

 まじ辛え。もはやこうなったら一カバチかだ。

 力ずくでどうにかしてやる!勢いよく謎の物体に触れ、感触を確かめてみる。


 こりゃ、想像以上に柔らかいな。

 やっぱ動物なんだろうか?

 

「バ、バカ。尻に触れるなどハレンチ極まりないぞ」

 お、おい……

 まさか、俺が豚だと思っていた物体は先輩だったんじゃないだろうな。


「そ、それはどういう事です? 俺は単に顔にのってるのを……ハー。ハー。ただただどかそうとしていただけなんですが……どうして尻がどうとか言ってるんですか? 理由を教えて下さい。まゆり先輩」

「実はだな」

 試しに名を出してみたが、コイツは一切否定せずに話を始めた。

 おそらく、謎の未確認生物は悪魔で間違いないんだろう。

 またしても危機の到来だ。


「私はお前にキックを食らわせようと思い、高くジャンプしたんだ。そこまではよかった。しかし、途中でバランスを崩してしまってな。止まるに止まれず、股間から顔に落ちてしまったんだ」


 たっく。バカ丸出しだな。

 人にいきなり攻撃を食らわせようとする馬鹿がどこにいる?

 全くもって危険な奴だ。だが、よく考えてみればこれは男にとって最高のシチュエーションなのではないか。なにせ、頭上にあるのは尻だ。興奮しない訳がないぞ。



「そうだったんですか。ケガはないですか?」

「ああ。お前がクッションとなってくれたからな。助かった。ただ、このアンバランスな体勢は何かと辛い。一刻も早く床に下してくれ」


 ちっ。せっかくのパラダイスタイムが終わってしまうのか。

 残念だ。しかし、もう首が限界だ。止むを得まい。

 ゆっくりと体を傾け、首を地面に付ける。


「よし。ここまで来ればもう大丈夫だろう」

 まもなく首を襲っていた圧迫感がなくなるが、未だに視界は暗く、目の前の景色を見る事も出来ない。


 はて?何がどうなっている?

 重みを感じなくなった代わりに目を押さえつけられている感じがするぞ。

 


「あの先輩――」

「しばし大人しくしていてくれ。暴れなければ一瞬で終わる」

 

 おいおい。コイツは一体何をしようとしているんだ?

 全く訳が分からん。と言っても、現状況ではとても逆らえそうにないがな。

 


「分かりました。静かにしときます」

「フフ。賢明な判断だ」

 ただただじっとしていると、突如として金属がこすれるような音が耳に入る。


 な、なんだ、この怪しい感じは。

 心なしか首にも妙な違和感を感じるぞ。

 もしや、どさくさに紛れて何かよからぬ事を。

 いても立ってもいられなくなり目を開けると、不気味にほほ笑む先輩が視界に入る。

 






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ