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第44話 もしかしてお前。私にイタズラしようとしてるのではないだろうな?

「バ、バカヤロー、見てはいけない部分が全て露わになっているじゃないか」

 そのまま棒が振り下ろされた為、手で目を覆いながら何とか攻撃を回避する。


 たく。どこに目をやればいいんだ。

 すっかり頭が混乱しているが、まずは外れた事を知らせるべきだろう。

 再度繰り出された一撃をよけつつ背後へと回り、タオルを手に取る。


 よし。あとはこれを見せれば。

 きゃー。私の麗しい体が。もうお嫁にいけない。

 なんて面白い反応を。くくくくく。

 すぐさま物を掲げ、反応を伺う。

 

 フフ。どうだ?さすがにどのような状況に陥っているか理解。

 あ、あれ?表情に何の変化もないぞ。

 一体、何がどうなっている?

 ま、まさか……


 怒りのあまり羞恥心すら欠如してるんじゃ?

 だとしたら、全裸であると認識させるなんてとても無理だぞ。

 絶望に拍車をかけるが如く、続けざまに突き攻撃が始まる。

 

 ちっ。いつになったら地獄から抜け出せるんだ。

 もはや、ギリギリの精神状態だぞ。

 直後、とうとう棒が右手に直撃する。


 うっ……

 痺れる。なんつう重い一発なんだ。

 


「な、前が全く見えないぞ。おい、石野すざく。何をした?」

 え?いきなり何だ?

 というか、なぜ普通に話せる?

 視線を上げると、タオルが顔に巻き付いた状態の先輩が目に入る。


 な、なんじゃ、こりゃ。

 何をどうやったらこんな風に?

 


「なぜ黙っている? もしやこの隙に乗じ、イタズラする気なんじゃないだろうな」

 とりあえずバカの話は置いておいて。

 今一度状況を整理してみると、二〇三号室には俺とコイツしかいない。

 とすると、自分自身で顔面に?いやいや。現実的に考えてそれは。


 

「くっ。真っ暗なせいでまともに行動を起こす事すら出来ない。はたして私が握ってるのは棒なのか?」

 うん?ちょっと待てよ。

 もし俺の手から離れたタオルが棒の先端に引っかかったとしたら、振り上げた際に顔にくっ付きはしないだろうか?

 

 もちろん奇跡のような偶然がいくつも重なり合わなければ起きえない話だ。

 だが、状況からしてそう推測するのが妥当だろう。

 フッフッフッフッ。ようやく謎が解けたな。

 めでたし、めでたし。ってのんきにホッとしている場合か!

 猛スピードで入口前まで移動し、ノブに手をかける。


 ふー。ここまで来ればもう安心だ。

 さっさと部屋から。


「はー。まるで別世界に一人取り残された気分だ。私は今後ずっと暗闇で生きていかなければならないのだろうか?」


 おいおい。いつまでバカしてんだ。

 

「せんぱーい。顔のあたりを触ってみてください。闇の原因はタオルです」

「なに? ホ、ホントだ。間違いない」

 どうやら、やっと気付いたようだな。

 よかった。よかった。ひとまずは一件落着と言った所だろう。

 ドアノブをひねり、そのまま部屋をあとにする。




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