第34話 私の胸はどうですか?
くっ。残念ながら奴が制止する気配はない。
こりゃ、まずいぞ。このままでは間違いなく大変な事になってしまうに違いない。
こうなったらもはや。湯船の中を猛然と走り出すが、見事に足を滑らせ、湯にダイブするようにずっこける。
ぎゃー。やってしまった……
まさか、こんな場面で。
いっその事溺れて死にたい。既に心が折れそうだが、まだ何とかなるハズだ。
素早く起き上がり、状況確認を行う。
あれ?おかしいな。
変態がいない。一体、どこへ?
もしかして退散したのか?だとしたら、俺にとってはこの上なくラッキーだが、なぜ去ったんだ?
少なくとも、奴は風呂に入りたがっていたハズだ。
にも関わらず、姿を消すとはどういう事だ?
訳が分からないが、まあいい。赤月がいないのは紛れもない事実なんだからな。
あとちょっとだけ湯に浸ろう。重心を下げようとした次の瞬間、腕に何かが絡みついてくる。
「すっざくさん。こんばんわ。遅れましたが、やっと近くに来る事が出来ました」
えー。んなバカな。
最悪過ぎるにも程がある。
「ところでどうですか。私のおっぱいは? なかなかいいですか?」
あーん。何がボインだよ。
寝言は寝て言え。とののしりたい所だが、確かに弾力性のある物体が当たっている。
おそらくこれは、エロ乳で間違いない。
正に極上の感触だ。ああ。ずっと快感に浸っていたい。
「もう聞こえてるんですか? さっきから黙ったままですよ」
おっと。いけない、いけない。
すっかり我を忘れていた。
さすがは恐るべき女の武器。
背筋が凍る思いだが、俺は決して同じ過ちを犯さない男だ。
きっぱり断りを入れてやるぞ。
「悪い。いろいろと考え事をしていたせいでボーっとしていた」
「なんだ。なら、しょうがないですね。許します。ところでおっぱいは気に入って貰えましたか?」
「あ、ああ。想像以上に柔らかく、俺は好きだぞ」
「そうですか。では、もうしばらく密着を」
しまったー。絶好のチャンスだったのについ本音を。
俺のバカヤロー。何が失敗を繰り返さないだ。
いとも簡単にやらかしてるじゃないか。今すぐ考えを改めて貰わなければ。
「ただ、くっつき過ぎるのはさすがにまずいんじゃないかな。なんてたって肌を露出した状態なんだから」
「フフ……その事についてなら心配要りません。ちゃんと衣服を身に着けてますから」
直後、赤月が体から離れ、目の前に姿を現す。
なんだ。ちゃんとスク水を着用してたのか。
なら、問題あるまい。ホッとしたのもつかの間、赤月が扉の方へ移動を始める。




