第32話 危機的な状況を脱する為にイザベル作戦を行う!
うー。必死によけ続けてはいるが、花崎が消耗している気配はまるでない。
このままじゃ、体力的にキツくなる一方だ。一刻も早く何か手を打たなければ。
と言っても、今のコイツには何をしても無駄だ。となれば。
「あ! あれはイザベルだ。そういえば今日は、家庭訪問の日だったんだ」
フライパンを両手いっぱいに振り上げたのを見計らい、声を上げる。
すると、花崎の動きが完全にストップする。
やった。まんまと嘘に引っかかったみたいだ。
おそらく奴はイザベルの名を耳にした事で恐怖を感じ、固まってしまったんだろう。
さすが、鬼教官。フッフッフッフッ。
さあ、さっさと関係修復を。
「きゃー」
「お、おい。どこへ行くつもりだ? 戻ってこーい」
制止を振り切り、花崎は猛スピードで目の前から消えていった。
んなバカな。
こっからがある意味本番だってのに。トホホ。
結局花崎が帰ってくる事はなく、仕方なく二〇一号室から退出する。
はー。もう踏んだり蹴ったりだな。
奴等が来てから、一つもいい事がありゃしない。
ひょっとして厄病神かなんかなんじゃないだろうな。
廊下を歩いていると、二〇二号室前にモノが散乱している光景が飛び込んでくる。
あれ?あのバッグやパジャマは見覚えがある。
気のせいか?いや。あそこにあるのは正真正銘、俺の私物だ。
畜生。麻宮め。さては下着を見られた腹いせに全て放り出したな。
許せん!悪い奴にはお尻ペンペンだ。と言いたい所だが、さすがにこれ以上のトラブルは勘弁だ。
軽率な行動は控えよう。荷物を手にひっそり自室へ戻り、しばし休息を取った後、魔法の勉強を始める。
かの者に牢獄をインシュタルプリズン。
標的の真上から牢獄が落下し、敵を中に閉じ込める。
およそ効果持続時間は二十分。モンスターや犯罪者を捕獲するのに適している。
アイザークラウン。
呪文を唱えた直後に術者の全身が透明化する。
およそ効果持続時間は二十分。尾行や追跡に適している。
以上で二ページ終わりか。
フフフフフフ。こりゃ、いい事を知ったな。
心なしかテンションさえ上がってきたぞ。
およそ五分程で勉強を終え、左ブロック二階の大浴場へ向かう。




