第14話 モンスター襲来
いきなり何を。もしや、女子だけでなく、若い男にも興味があるんじゃないだろうな。
途端に寒気がしてきたぞ。
「どうしてその必要があるんですか?」
「石野君。そんなにワシが信じられんのか?」
「はい」
「どうせ、ワシなんて……」
「あー。今のは冗談です。戻って来てください」
「なんだ、それを早く言いなさい」
たく。事あるごとにいじけるなよな。
こんなんじゃ、一向に話が進まないじゃないか。
もういい。とりあえず服を脱いでみると、腹の真ん中に二十八と刻まれた数字が目に入る。
はて?確か朝は、異常なかったハズだぞ。
えーい。目障りだ。即刻消えろ!
あれ?こすっても全然効果がない。
「何なんだ、こりゃ」
「それこそが君の命の期限だ。すなわちゼロになれば、天に召される事を意味する」
う、嘘だろ。さすがにこんなモノまで出てきたら、もはや信じざるを得ないじゃないか。
終わった……
「xxxxxxxxxxxxxxxxxxxx」
ちっくしょう。俺はこれからどうすれば?
立ち上がる事さえ出来ない。
「きゃー」
わっ!いきなり何だ?
なかなかたいそうな悲鳴だったぞ。
服を着なおしてからまもなく外へ出てみると、左斜め前方で横たわる生徒が視界に入る。
おいおい。マッシュルーム頭の女子が倒れてるじゃないか。
しかも、ちょうど真横の窓ガラスが粉々に割れている。
はたして何が起きたというんだ?
「大変だー。校庭に大量のモンスターが出現した」
な……
まじかよ。もしや、数百匹規模の魔物がわんさかいるんじゃないだろうな。
いや。まさか。大抵の場合、どんなに多くてもせいぜい十匹程度に過ぎない。
今回もその程度だろう。直後、突如として目の前の窓ガラスが割れ、とてつもなく
強い風が舞い込んでくる。
ひー。びっくりした。
こら、ちょっとした超常現象だぞ。
見た所、正面には何もいないが、上空に化け物でも潜んでるのか?
ガラスを踏まないようにに移動し、空を眺めてみるとおよそ五十匹前後のモンスターが視界に入る。
お、おい。俺は夢でも見てるのか?
恐るべき戦闘力を持つ巨大な青龍に加え、カラスの進化系モンスター、トラーセンもいるじゃないか。
特に後者は厄介だぞ。なにせ普通の鳥類よりも一回りも二回りも大きく、魔法を放つ事が出来る。
さらに目が合った者を幻惑にかける特殊能力もあるのだからな。何だか途端に頭が痛くなってきた。
「グアアアアア」
まずい。明らかに奴等、いきり立ってるぞ。
もはや、一刻の猶予もない。顔すらまともに見ずに少女を抱きかかえ、校長室のソファーまで運ぶ。
あれ?校長の姿が見当たらない。
もしかして危機的状況を打破する為にどっかで作戦でも練ってるのか?
よく分からないが、まあいい。
「おい、君。大丈夫か?」
「…………うっ」
やっと目覚めたか。
よかった、よかった。見た所すり傷はあるが、大きなケガはしてないみたいだ。
さほど、心配は要らないだろう。にしてもこの子……
今まで余裕がなかったから気づかなかったが、目がクリックリで鼻が高く、顔自体もとても整ってるな。こりゃ、間違いなく美少女だぞ。
フッフッフッフッ。こりゃ、たまらんなー。
もうずっとこうしていたい。願わくば手でも。
おっと。すっかり調子にのる所だった。危ねえ、危ねえ。
一体、こんな緊迫した場面で何やってんだか。
ただちに校長室から飛び出し、外の様子を伺う。
はて?数分前に比べると明らかにモンスターが減っている。
極めて幸運な事に青龍やトラーセンの姿が見当たらない。
もしかして誰かが倒したのか?戦闘を繰り広げている人間などいないが。
情報収集の為、ひとまず屋外へと向かう。
しかし、校舎の中はエラい惨状だな。
窓は割れ放題だし、とにかく揺れが激しい。
こりゃ、かなり恐ろしいぞ。
「もう何なのですか、この状況は」
「私達はどうなるのですか?」
案の定、恐怖に陥った奴等が男性教官に詰め寄ってやがる。
ちょっと足を止めてみるか。
「心配しなくても大丈夫だ。たった今、複数の教官とCランクの生徒達が懸命に戦っている」
え?普通だったらより魔力の高い人間を送り出すべきだよな。
「Bランク以上の方々は何をされてるのですか?」
「そ、その実はだな。彼等は魔法戦の直後、実践演習に行ってしまってな。ここにはいないんだ」
なんてこった。ただでさえ敵の数が多いのに戦力も十分でないってか。
こら、かなりまずいぞ。間違いなく、未曾有の危機と言っていいだろう。
おそらく昨日までの俺だったら、真っ先に逃げ出していたに違いない。
だが、強大な力を手にした今なら何とか出来るかもしれない。
もちろん、校長の話を完全に信じた訳ではないが、俺がやるしかないだろう。
再び走行を開始し、校舎入口付近へと到達する。
よし。誰がやったのかは知らないが、緑のシールドが張られている。
少なくとも、外敵の攻撃をじかに受ける事はないだろう。
ただちに外へ移動すると、勇敢に戦う教官達が視界に入る。
うーん。こりゃ、かなり厳しいな。
モンスターが多いのに加え、空には赤竜や鳥系モンスターのヤーズ。
地上には狼系モンスターのヨーマとカメレオン系モンスターのゲイラがいるんだからな。
正直、どうしようもない状況だ。とは言いながらも今の所は中央、左奥、右奥に戦力を分散させて上手く戦っている。
特に左と右に関しては防御しつつ、反撃に転じる余裕があるのだからな。
善戦してると判断していいだろう。だが、一方で中央の方はというと敵の密集が凄まじく、攻撃体勢にすら入れてない。正にカオスだ。
「いいか。いくら難敵と言えども、弱点は必ずある。ひるむな」
「ダメです、教官。とても僕等だけでは……」
「弱気になるな! 何とかなる」
「でも……」




