アルクレーセへ
「ジー……お客様にご案内申し上げます。間もなくアルクレーセ、アルクレーセです」
館内放送を聞いたノルンは、窓から顔を出す。
「見てよリーフ! すごい高い建物がある! 空に浮いているやつもたくさん!」
「本当だぁ! ねぇ、ノルン。どうして浮いているのかなぁ?」
「それは、やっぱり創世術じゃないかな? ねぇ師匠?」
ノルンの質問が部屋の隅に突き刺さる。
「ノルン……お前また俺の安眠を……よほど列車の外に吊るされるのが好きなんだな?」
寝起きのキセノは、頬を引きつらせて起き上がった。
「どこがノルンの学校?」
「う~ん、浮いている学校がいいな。面白そうだし!」
「わ、わ! いいな、いいな~、私も通う!」
「お前等、師匠の有難い話を無視したな。いい度胸だ。今すぐ外に放り出して――」
「はーはははは! 失礼するぜ」
ドアを蹴破り、バーバスが、ドッカーとモンバサを引き連れて入ってきた。
「あ、バーバスさんこんにちは」
「ふふふ、余裕かましていられるのも、この列車がアルクレーセ駅に着くまでだ! くくく、アルクレーセは、俺達の総本山。連絡を受けた手下が、既に駅を包囲しているのだ!」
「あー! また悪いこと考えている! ダメなんだよ悪いことは!」
リーフとバーバスは、取っ組み合いの喧嘩を始める。
「キセノ師匠、駅のホームに黒いスーツがいっぱい見えますよ?」
「は~~。面倒くせ~……寝る」
キセノは、現実逃避して二度寝することを決め込んだ。
「この、この! なんてパワーだこの娘! ドッカー、モンバサ手伝え!」
「部屋が狭くて入れねえよアニキィ!」
「悪者は退治です!」
「ほどほどにねリーフ」
ノルンは、再び窓から顔を出す。
晴れ渡った空の下、創世術の都市が門を開いて待っている。




