夫が欲しい能力
夫はいい年して特殊能力が欲しいそうだ。魔法使いや超能力的なものに憧れている。
「つまり、ハリーやクモ男やコウモリ男、鉄の男的なものになりたいとか?」
「正義のヒーロー? そんなのつまんないだろ。悪党として宇宙征服するほうがいいに決まってる! 理想はダー〇ベーダーだ。権力者ひれふせさせて、女侍らせて」
ダース〇―ダーはそんなことしないだろうけど、とても夫らしい発想だ。
「だいたいヒーローたちの特殊能力は矛盾してる。生命力が増幅するとか、機械で超人になるのはともかく、生身で魔力放出とか納得できない」
そこは悪役も一緒だけどね。
「人間だったら出るものと言えば屁だの汗だのおしっこだろ? そういうのを能力化できればいいんだ。そういうバトルもアリだろ?」
「ないない。そんな汚いバトル、どんな需要があるのよ」
「前例がある! キン肉〇ンはオープニングを屁で空飛んでる! あれは立派なバイオガスエネルギーだ!」
ちょっと違う気がする。でも昔パタ〇ロで汗をコントロールして大量にぶっかけるシーンがあったなあ。腹の虫の音の超音波はおデブな忍者の話があったし。
「屁にはおしっこの水圧で対抗するとか、いびきと超音波対決とか、いっそウンコで宇宙征服したいなあ。お前そういう話書かないか?」
「遠慮しときます」
でも、そのばかばかしい発想はあまりに御立派なので、こうしてネタにさせていただきます。私の話に尾籠なヒーロー、ヒロインが出る日があったら、それは夫のせいですよ。