Ep7 愛した人
武器を持った敵と思われる男は、玲衣と顔見知りだった。
「玲衣。あれ誰??どんな人??」
亮介は好奇心旺盛だ。 しかぁし!玲衣は何も言わない。
「なんか言ってるぜ。そのウザイ男子。」
男は偉く上からの物言いだ。 亮介は頭に来た。
「なんか言ってんのはお前のほうだろ!!誰だいお前!!」
男はため息をついている。
「あ〜、やっぱあんたもウザイわ。 それにしても、闇風がファイターだったなんて、意外!」
玲衣の表情がさらにキツくなる。
――やべー。
玲衣がキレル。 怖そう…
「人は見かけで判断するものではない。それだけのこと」
玲衣はクールで冷静だ。 キレル心配には及ばなさそうだ。
「やっぱ闇風ウザイ。 で、どうなの。今はオレ以外にいるの? そーゆー奴」
「……」
玲衣は黙り込んだ。 いつもに戻った。
「だから誰!?お前オレのことほっといてるじゃん!!シカトかよー。」
「あ〜ウゼェウゼェ。 ちょっと黙ろうぜ」
「名乗れってば!!」
「あ〜わかった。名乗るよ。にしても、バリウザイ。」
ウザイ、ウザイ――口癖のようだ。
「オレ、中2のころ闇風と同じクラスだった僕須勇太。 はい、名乗ったよ。だから静かに待っとけよ〜。」
「いいや、待てない!! さっき言ったそーゆー奴とはどーゆー奴だ?」
「え〜。闇風に聞いて。言うのもウザイから。」
亮介は玲衣を見た。 玲衣の口が開いた。
「愛した人…」
玲衣が呟いた。
「人生の中で唯一愛した人。今もそれは変わらない。敵になっても…」
グスッ…
無表情の玲衣が泣き出した。 美しかった、どーでもいい事だけど…。
「ウザッ…。お前はいつもそうだ。 泣き落とし玲衣さんって、みんな言ってた。」
「嘘つけ!!ただでさえ暗い玲衣が泣き落としばっかりするわけない!!」
「昔は明るかったんだぜ、闇風。ストーカーされて、マジウザかった。」
「そんな…!?」
亮介はもう言い返すことをあきらめた。
自分よりも勇太の方が大分玲衣の事を知っているだろうから。
*
とりあえず、玲衣は泣いていて戦えない。
亮介一人で多数の武器を持ったウザウザ野郎と戦わねばならない。
亮介は指先から炎を出し、勇太に迫った!!
つづく




