Ep3 炎の戦士
女神に頭をつかまれた亮介は一気にファイターの力を脳内に送り込まれていく。
体中に何かがみなぎるような感じだった。
「オレは、ファイターになっちゃうんだぁ」
亮介ははしゃいでいる。 うんざりの高校ライフよりはちょっぴり危険なハードファイトも楽しい。
女神の手が頭から離れた。
「これであなたは人間とはかけ離れた能力を持つファイターになりました。」
「こっからどーすんだ!?」
「とりあえず念じれば技を放つことができます。」
――念じるのか…
よーし… 強くて大きくてドカーンとした技…
ボシュッ!!
手から大きなファイアーボールが飛んだ。
「スッげ――」
女神が笑った。
「これであなたはファイター5の一員です。
残りの4人を探し、仲良く戦いを共にしてくださいね。」
***
いつしか雲が晴れた――
亮介は公園のベンチにヘタレ込んでいた。
手を見つめ何度かシュボッと火を出してみる。
「オレは炎の戦士ってわけか、イカスねぇ〜
でも、あと4人ファイターがいるってことかぁ」
一人呟いていると、目の前にスーツ姿の男が現れた。
「松浦亮介とは、あなたのことですね」
ー――オレの名前知ってるし。なんだいこの怪しーオッサンは。
「はーい。オレ松浦亮介なり、アハハ」
亮介は指先からシュポシュポと火を出しながら答えた。
「戦士にとって、技をひらけ出す行為は弱点をさらすに等しい。」
男はスーツを脱ぎ捨てた。
「ためさせてもらう、ファイアーファイターよ」
「消防士じゃねーんだゼ、オレは!!」 ※ファイアーファイター=消防士
どうやら男はデールの手下か何からしい。
しかし実力は手下にしては弱すぎる。
「えーい、ファイアーパーンチ!!」
「ぬをっ!!?」
男の服が焦げ、太った腹が露出する。
「生意気な!!会社員風パンチ!!」
――会社員風ってどんなだ? しかもネーミングダサい上に弱いし。
「ダサいよオッサン!! 喰らえ!!トルネードファイア!!」
亮介の特大火炎放射が炸裂した。
男は無惨に焦げただれて倒れた、絶命した。
亮介はほんのトレーニングになったと満足し、家に帰った。
帰路中もシュポシュポと火を出している。
よほどファイターという職業が気に入ったらしいな。
亮介は今は満足だ。
しかし、こんどの敵は会社員風味のダサ男では済まされないかもしれない。
つづく




