お義父さん(ノリヒト)①
お義父さんを語る前に、義父になる前のノリヒトさんについて語らなければならないわね、なぜなら彼が初めの分岐点となるから、、、。
あの日、変な格好のおじさんが村に来てバカな事を言って母に投獄された。
そんな面白い話になってるなんてつゆ知らず、わたしは大好きなお肉食べたさに、母の言いつけを破り森の奥に狩に出かけていたわ。
あ〜あ〜!!この森の魔物はもう狩り尽くされちゃだんだろうな!!強いて言うならこの辺に住む魔物は川辺のガビアルぐらいだ、、、。
あれは美味しくないから誰も狩らないし〜
そんな事思って村に帰ると、村を勝手に出た事がジーヤにバレてお説教をもらうことに、、、ジーヤってネチネチしてしつこいのよ、、、ジーヤにたっぷり絞られた後、わたしを見かけた侍女のフローが、嬉しそうに変な格好をした旅人の話をしてくれた。
そんな事なら大人しく村にいれば良かった、、、そう思ったわ。
当時、みんな娯楽に飢えていた、なぜなら森の生活は本当に退屈だったから、、、。
数十年前、最後の砦とされたラスターが魔王軍に落とされた、母とわたしは命からがら通称始祖の森と呼ばれる。エルフの森に逃げ込んだ森深くに小さな村を作り、今日まで各地で魔王軍に対してゲリラ戦を繰り広げていた。
そんな生活に娯楽なんて物はなかったわ、、、。
わたしは母の言いつけを破り、フローが言っていた変な格好のおじさんを見に行った。
変な格好のおじさんは、牢屋でひとりぶつぶつ言っていたわ、、、やっぱり変わり者なんだろ、、、そう思い様子見のため最初は隠れ見ていたけど、話してみたいという好奇心に勝てず、変な格好のおじさんの前に出てみたの、、、ふふっ、わたしを見るなり母と勘違いしたような顔をしていたわ、結構みんな勘違いするのよねぇ、、、やっぱり似てるのかしら?
変な格好のおじさんはやっぱり変わり者で、わたしを見ても独り言、、、って言ってひとりで話し始めるのよ、、、変な格好のおじさんは自分のことをノリヒトって名乗っていたわ。
そう、、、あなたのお父さんでのちの、わたしのお義父さんね!!
わたしも楽しくなってそれを真似て独り言を話したわ、しばらく2人で独り言を言ってると、ノリヒトさんが不思議な袋に包まれた物を床に置いたの、、、。
好奇心旺盛なわたしはそれを手に取ったわ、ノリヒトさんはそれを飴と呼んで、食べるのを実演してくれた。
わたしも見よう見真似で手に取った袋を破いて、口に放り込みバリボリ、、、今考えるとよくあんな硬い物を噛み砕いたわ、、、若さって怖いわね!!
噛み砕かれた飴は口一杯に甘味として広がり、、、感動したわ、、、だって生まれて初めてあんなに甘くて美味しい物を食べたんだもの、、、。
わたしが感動をしているとノリヒトさんは、飴は噛むんじゃなくて、舌で転がしゆっくりと舐める物だと教えてくれたわ、、、失敗した、、、久々の甘味についつい興奮して飲み込んでしまった、、、。
そう落ち込んでいるわたしを不憫と思ったのか、、、最後の一つ言ってもう一個飴をくれたわ
嬉しかったわ!!今度は噛まずに舌で飴を転がすと、甘さが口に広がり祝福の時はさっきよりも遥かに長く続いわ。
その後もしばしノリヒトさんとお話をして、消灯の時刻になったのでノリヒトさんに別れを告げて自室戻って眠ったわ、けど眠りが浅くなんだかいつもより早く目が覚めてしまった、、、、きっと飴で興奮していたのね、
なんとなく昨日のお礼が言いたくて、夜明け前に牢屋に顔を出したわ、でも、牢屋に居るはずのノリヒトさんの姿がなかった、まるで昨日のことが夢だったようにも感じる、、、だったあんなに甘い物がこの世にあると思わなかったもの、、、。
わたしは夢現を確認する為、ポケットに手を入れて飴玉の袋を探したわ、当然飴玉の袋はポケットに入っていて、昨日の出来事が夢じゃ無いと実感したの、、、。
そんなことをしていると、突如わたしの目の前にノリヒトさんが姿を現したのよ、、、アレは本当にびっくりしたわね!!
最初はわたしの知らない魔法だと思っていたんだけど、まさかアレがお義父さんの発明だなんてね、、、そう言えば話してなかったけど、わたしの初めての誕生日にわたしと母は最新APhoneを貰ったよの、ふふっ!!それってお義父さんの魔改造でイクウォッチの機能が付いていた物なの!!
だから最後の一個があったのよねぇ〜
あっ!!そう言えばあなたがくれた電子辞書、、、懐かしいわね〜ふふっあなたったら、電子辞書に指輪付けてくるなんて粋なはからしちゃって!!でも、なんでピンキーリングだったの?わたしは薬指の指輪が欲しかったのに!!
でも知ってるんだからね!!あなたのくれた電子辞書でちゃんと調べたんだから!!あの石、誕生石のペリドットの石言葉は、夫婦愛、運命の絆、幸福なんでしょ?
わたしバカだったから、あなたのその真意を理解出来てなくて、この事に気が付いたのはだいぶ後だったわ、、、。