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錆びた歯車
幾重にも重なる錆びた機械の歯車は、ギシギシと音を立てて回り、時間の経過とともに徐々にその輝きを失い、それとは逆行するように不思議な美しさを放ち始める。
錆びた部分が重なり合うことで、その機械の歯車は過去の歴史を物語るような風情を醸し出す。
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俺は社会の、いや、それよりも小さな単位である職場の歯車だ。
最近ではあちこちにガタが来て、自分の持ち場すら守れるのか怪しいもんだ。
私が居なくても換えは幾らでも居る。
しかし、私が居ないとその場の仕事が一時的に回らなくなるのもまた事実であろう。そう思いたい。
近視眼的に見ると、自分が今どんな役割をして、仕事のどの部分やっているか、何に役立っているのか分からなくなることがある。
しかし、冷静になって、俯瞰して落ち着いて見れば、それが見えてくることもある。
必要とされる仕事、必要とされる存在。
私はそんな存在、そんな歯車になりたいんだ。