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第20話 魔王の元へ

 メルがテティスに抱えられるように前に座ると、リザは飛び始めた。


「あの、どこへ行くんですか?」


 メルは行き先を尋ねた。


「王家の呪いについて聞きたいんでしょ。だったら、かけた張本人に話を聞いた方が早いと思ってね」


「張本人っ!」


「そう、呪いをかけた魔王」


 想定外のとんでもない答えにメルは言葉を失った。


「いや、魔王って!」


「大丈夫、見かけによらず気さくだから」


「そういう問題じゃ……」


「怖いのならやめていいけど?」


 テティスの言葉にメルはしばらく考えた。


 そして意を決して、行きます、と、答える。


 根性あるじゃん、と、テティスは感心した。


「あの、テティスさんは魔王とお知り合いなのですか?」


「ええ、魔法を扱っているので、何度か顔を合わせたことがあるわ。美しさを競う勝負をして私が勝ったこともあるの」


「はあっ?」


「どちらが美しさを失わない形で奇抜な形態に変化できるかって勝負」


「なんだかよくわからないけどすごいです」


 それから上空の風を受けながらしばらく無言で彼女らは飛んでいた。


 沈黙に飽きたのかテティスが再び口を開いた。


「レナートってこの地域じゃ少し変わった髪色でしょ。母親が南方の貧しい地域の貴族の娘だったんだって。王家が借金を肩代わりする代わりに『呪われた子』を産まされるために迎え入れられたとか」


「えっ?」


「彼が生まれると母親はお役御免とばかりに王太子妃の座を追われ城を追い出されたの。その後本命の女性を妃に迎えて今の国王が生まれた。でもレナートはかなり反抗的だったらしく、それに懲りた王家は、やはり一時的な借り腹で産ますのはまずいってことで、今の代の王妃様は自ら「呪われた子」を産まされたとか」


「反抗的なのは伯父さまのそばに産みの母がいなかったせいと王家は解釈したってことでしょうか? でも、ベネット様の実母の王妃様は彼にかなり冷たいです」


「そうね、ただ、王家にとって重要なのは母の側の態度ではなく、息子がいかに従順に『呪われた子』としての役目を全うするかだから」


「『呪われた子』に役目があるのでしょうか?」


「少なくとも呪いが続いているから、メディア国は魔石が大量に採掘できるわけだし、それが王家の富の源泉となっているのでしょう」


「では、魔石の採掘をあきらめたら呪いも消えるってことに?」


「そこら辺を直接聞いた方が早いと思ってね。ほら見えてきた。あの険山の崖に穴が見えるでしょう。あれは目に魔力を込めないと見えない魔王の住処の入口よ」


 メルはテティスに触れられているので、切り立った崖のところに大きな穴のようなものが開いているのが見て取れた。


 テティスはそこにまっすぐ突っ込んでいくようにリザを飛ばした。

 穴の見えない者ならきっと崖に突っ込んでいくように見えただろう。


 彼女らは穴の向こうの異界、魔王の住処へと入っていった。


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