表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖神学園 改正版  作者: 戯伽
1年生
65/103

65.会議

「一月二十日水曜、十一時。ただ今より妖輩御三家総会議を始めます。記録は水月、火光。書記は水月を指名します」



 途端月火のまとう空気が張り詰めたものになり、同級生、女子高生から神々当主の顔になった。




「初めに三点報告させて頂きます。一つ、火神火音が実名でないこと、火神の血筋でなかったことが判明しました。火神に置かれていた戸籍等は後ほど話し合います。一つ、火神前当主であった火神緋火(あかび)と配偶者であった一尺八寸(かまつか)和桜(なぎさ)が離婚しました。和桜は神々派の娘であること、火神に騙されていた部分が多くあるとして私が容認しました。一つ、判明している主犯格である火神緋火と火神智里を火神の名剥奪を決定しました」



 突然室内がざわめき、火神派の数人が立ち上がって月火の元に抗議しに行った。


 狐が威嚇し、それでも抗議の声は上げられる。




「……こんだけのことやったんだから、普通じゃないの……?」

「まだ歴史やってないもんねぇ。普通直系の子供を剥奪は有り得ないんだよ。過去には水神の子供が犯罪犯して剥奪された時に暴動が起きたからね。神々と水神で全面戦争になりかけたの」

「え、どっ、どう……」



 玄智が言葉を紡ぐ前に、水明が二度合掌した。


 ビリビリと空気が震え、水虎が半歩離れる。



「下がれ。神々当主の決定に口を出すな」

「火神が収めたんだよ。水神は気性が荒いし神々はひねくれてるし。火神のずる賢さでなんとかね」


 火光は玄智の頭に手を置くと、まだその場を動かない火神派に呆れ席を立とうとした。

 その前に、低く怒りを含んだ火音の声が皆の耳にまとわりついた。



「下がれ」



 その一言で数人が膝を突き、立ち上がろうとしていた火光も座り直す。



「……何、今の声」

「声に妖力を乗せたんだろうね。あーあやだやだ。無駄に器用な人って嫌いなんだよね」


 火光は膝を抱えるとふいっとそっぽ向いた。




 火神派が席に戻され、体調不良者は退席し、月火は溜め息を我慢する。はぁ。



「会議を続けます。和桜と離婚したため、緋火と智里は婿入りであった実父の苗字に改名。これも国から承諾を得ました。……本題に移ります。火神玄智、火神澪菜、火神火音を除く火神家三人。三人の処遇を決めるため、今から火神火音と神々火光への虐待、次期当主の教育監督管理不足、神々報告の偽造を読み上げます」



 火音は立ち上がると刀を持って部屋から出て行き、黒葉はそれを追いかけた。

 月火は気にせず話を進める。





 まぁ、主に虐待の詳細と神々となった火光の邪魔、当主や当主補佐ではないにも関わらず火音に仕事を全て任せていたこと。


 玄智は火光を見上げ、火光はそれに気付くと特に気にした様子もないまま首を傾げた。



「どしたの」

「火光って案外不幸よな」

「なんか、先生が守られてたって不思議だなぁって」

「それは僕が強いってことかい玄智君」

「だって特級でしょ」


 火光は苦笑いを零すと、周囲の哀れむ目をものともせず言ってのけた。



「僕は四人の担任になれただけで幸せです!」

「どなたかそれを黙らせてください」


 横にいた水月がバインダーで火光を殴り、火光は机に突っ伏して頭を抱えた。


 すごい音鳴ったよ、今。



「……幼少の頃の記憶はないし記憶がない不幸のツケで今の幸せが巡ってきたならもうラッキーでしかないでしょそれは。二人も将来幸せになれば今の不幸がラッキーって思えるよ」

「……人を不幸みたいに言うなよ」

「僕は幼馴染が女神なだけで幸せかな」

「僕の名言をッ!」



 水月にバインダーの角で殴られた火光が静かになったので月火は引き続き読み上げる。






「……以上になります。上記に加え、次期当主の教育監督不行届、神々へ火神火音を実子と偽っていたこと、育ての母である和桜に実母の意思として偽っていたことを踏まえ、火神三人の処罰について水神家、水神派の皆様、ご意見を願います」



 水月は火光に記録を任せると書記に回り、火光は書き方を確認すると一言一句違わないよう書いた。




 神々は神々派へ肩入れするから、火神派は火神を擁護するから。

 だから御三家は三家ある。事が大事になりすぎないように、二対二で別れないように、必ず勝敗がつくように、公平な判断を下せるように。




 物凄くデリケートな問題に水神派の皆は視線を通わせ、水明に助けを求めた。

 水明はスッと目を逸らすと、炎夏の肩を叩く。



「どう思う」

「え俺」

「水神でしょ」

「えいや…………日本の法律犯した時点でアウト、とは思ってるけ、ど……」




 水神が皆頷き、月火は眉間を教えた。


 炎夏は不安になって火光を見上げる。



「何……!?」

「合ってるよ。自分の意見でいいんだから」

「月火の反応がおかしい……!」

「言いたいこと断言してもらって感動してるんでしょ」

「月火に限ってそれはないよ?」

「なんか駄目なこと言いましたか」

「ううん、核心突いてる。炎夏を馬鹿だって罵る人らも頷いてるでしょ。あとで締めとくからね」

「いやいいです」



 水明は炎夏の頭を撫でて、炎夏は不安なまま月火の方に視線を向けた。

 思ったよりガン見されていた炎夏はビックリして、少し身を引く。



 一年ズ三人は目線のみで会話して、炎夏に巻き込まれた玄智も目線だけで会話して、月火はスって無表情に戻る。




「君らすごいね」

「そう?」

「アイツ心労ヤバそう」

「でもよかったじゃん。合ってたよ」

「まそれはよかったけど……」



 水明と火光で感心し、月火は少し表情を整えた。



「では、神々と水神としては失落ということで。……玄智さん、澪菜さん、よろしいですか。これから法的後見人は火光に、火音の戸籍によっても変わりますが家族との縁はないと等しくなります」

「澪菜、大丈夫?」


 玄智は火光を挟んで隣に座っていた澪菜に話しかけた。澪菜はずっと不安そう。



「……よく、分かんない。けど、学園には通えるんでしょ?」

「うん。でも母さん達とは会えないよ」

「んー学園に通えるならいいかな!」

「清々し」


 火光が鼻で笑う。



「玄智さんは大丈夫ですか? 実家には帰っているようでしたが……」



 月火が聞くと、玄智は首を傾げた。



「和桜さんとは会えるんでしょ?」

「えぇ。和桜さんが承諾して下されば。お二人を和桜さんの養子にすることも法的には可能ですし」

「じゃあいいんじゃない? 犯罪者はいらないでしょ」



 玄智の純粋な笑顔に神々派の数人は口を押え、火神派は愕然とし、水神派は揃って小さな拍手を送った。


 月火はとても潔い二人に小さく頷き返した。



「でも兄さん、学費とかどうなるの……?」

「二人分なら一級任務で賄える?」

「いけるよ〜。玄智なら単独も余裕だろうし」

「火神のお二人には神々から援助します。任務や貯金等は好きにしてくださって構いません」

「少しよろしいでしょうか、当主」



 突然神々派の一人が手を挙げ、皆がそちらを見た。

 月火は小さく頷く。



「火神家零落は私も賛成です。ですが、当主教育をされてこなかったお二人、年齢からして玄智様が継ぐとして、大丈夫なのでしょうか? もし火音様が他家になった場合、仕事をこなせる者がいなくなるのでは?」

「その面は私が全面バックアップに入れるので問題ありませんよ」

「ぜっ……! 一日の仕事量は桁違いになりますよ!?」

「まぁ玄智さんの記憶力が火光兄さんと似て異常と言うことが判明したのも理由の一つですが、この際御三家の仕事内部を完全整頓しようかと。こちらで全てやるので心配することはありません。二月末、遅くとも三月半ばには完全に整頓されます。されなかったら私が火神火音と火神玄智を使い潰します」

「はい! 職権乱用だと思います! 僕の生徒潰さないでください!」

「では神々火光を使い潰します」

「わ、分かりました。失礼しました」



 玄智は勢いよく立ち上がって抗議した火光の隣に立つと膝を蹴って座らせ、自分も座り直した。





 さて、次。



「では火神家は火神玄智、火神澪菜以外没落ということで。……次、火神火音の戸籍について」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ