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妖神学園 改正版  作者: 戯伽
1年生
28/103

28.口喧嘩

 高等部に新任教師が五人やってきた日、火光はついさっき決まったばかりの体育祭、文化祭の案を集計する。



 向かいでは晦が新人に仕事を教えている最中。






 毎年、体育祭の演目は各学年の妖輩コースの生徒が集まって決める。

 それが今日の六時間目にあったのだが、思ったよりも案が少ない。



 一応玄智の歳の差を考慮し歳に合った演目にすべきという案で初等部、中等部、高等部、大学部に別れて決めたが、なんせ案が少ない。



 これじゃ一日どころか半日しかもたないし、下手な司会で間延びさせることになる。




 体育祭なので当然他コース生も出るわけで、普通の演目から妖輩コース生ならではの演目まで必要なわけだが。



 火光はダンと机を叩いて立ち上がると、盛大な溜め息をついた。


 向かいにいた晦は唖然として火光を見上げ、火光はふと正面に集まる五人を見た。




「よし、明日までに一人三個体育祭の演目考えてきて! 先輩命令で!」

「パワハラですよそれ」

「かこ〜!」



 火光がそちらを見ると火音が手を広げて火光に抱きつこうとしていて、それを払うと後ろに月火がいた。


 呆れた様子の月火とは別に、火音は火光のパソコンを覗き込む。




「妖輩コース生が出さないなら他コース生から集めればいいじゃん。おい生徒会長」

「こういう時だけ振ってこないでください」

「こういう時に振るための会長だろ」



 月火は顔をしかめると、颯爽とどこかに消えて行った。


 まぁ、脳内でどうするか考えているのが伝わってくるし何とかするだろ。





「火音、今日から復帰?」

「いい加減働かないと給料がヤバいことに気付いた」

「いっそ御三家月火に買い取ってもらうか」

「無賃労働とか……!」



 そう、御三家は上層部の上に位置する存在。給料を払うのは神々で、それは月々火神家に50万、水神家に50万とか、そんな感じの家単位。

 家と絶縁状態にも関わらず当主がアホなせいで家の仕事をしざるを得ない火音に給料は入ってこない。



「てか月火に頼んだら入れてくれんじゃないの? 家の分削って」

「削られて厄介なことされたらめんどくせーし」

「労働基準法出したら上乗せしてくれんじゃない」

「……やるか」




 火音が月火に連絡を入れると、電話がかかってきた。




「給料上げろ」

『火神の溜まってる仕事処理しろ』

「固定給じゃなくていいからせめて万は出せ……!」

『溜まってる仕事を処理しろ』

「無賃労働は労働基準法に違反してる」

『火神には給料払ってるので』

「俺に寄越せよ……!?」

『御三家の給与形態は法律で認められてますからねぇ。と言うか火音さんって思ったより金に執着しますね。生きてても死んでもどっちでもいいと思ってると思ってましたが』

「金がないと火光に貢げない痛ッ!?」



 火光に殴られた火音が頭を抱えていると、月火が職員室に戻ってきた。



 即火花が散って、通話を切り対面で話す。




「そもそも火神は働いてねぇんだから給料払う必要ないだろ」

「火神の名を背負ってるだけで仕事には就いてるんですよ。給料が欲しいなら家とのいざこざをなくしてください」

「それは死んでも無理!」

「じゃあ死ね」



 火音は机に突っ伏し、月火は火音の席に椅子を引っ張ってくるとそこに物を広げた。


 火音はなんの用だと睨み返すが、絶対何十人かは殺してる目で睨み返され負ける。




「そんなに金が欲しいなら任務に出ればいいでしょう。教師も増えたし公欠になりますし。朝行けば午後も公欠になりますよ」

「別に休みたいわけじゃねぇけど。いい加減人が多いところは疲れてきた」

「お前なんで教師なったんだよ」

「火光がいるから!」

「僕かい」



 火音は火光に抱き着いて、火光は抱き着かれたまま死んだ目をする。



 月火は適当に持ってきた箱のサイズを計って、色々と設計する。


 体育祭の演目を募集する箱作り。こんなところに経費かけてられない。




「……火音先生、文字のデザイン描いてください」

「断る」

「兄さん、新しいスマホ欲しいんでしたっけ」

「え何いきなり。確かに言ったけど……」

「火音先生5万」



 火音はタブレットを開き、月火はドス黒い顔をして口角を高く上げた。



 火音以外の教師が月火をドン引きした目で見る。





「……これでいいだろ」

「2対1で」

「多少でかい方が人目に付きやすい」

「仕事になればこだわるんですよねぇ。いいから2対1で」

「下手なもん作ったらお前減らすじゃん」

「よくおわかりで」




 月火は一枚コピーするとその文字の形にダンボールを切り、紙を張りつけ箱と合体させた。



「ほらできた」

「安っぽすぎる」

「いいんですよ。設置してきてください」

「人遣いが荒い」

「削るぞ」

「多少削られてもスマホで痛む懐してねぇよ」

「4万」

「デザイン考えただろうがッ!」

「七文字多くて九文字に1万払ってもらえるだけで有り難いと!」

「思わねぇよパワハラなんだからそんぐらい払え!」

「給料払ってんだからパワハラじゃありませんけど!?」

「その給料削ろうとすんな!」



 火音はそれを持つと出ていき、月火はイライラしながら道具を片付けた。


 火光は苦笑いしながら月火の方を見る。




「火音、今日楽しそうだね」

「お前が出社したら火光先生泣いて喜ぶぞって釣って連れ出してきたんです。そのせいでしょう」



 まぁそれだけじゃないと思うが。




 月火は荷物を片付けると、嫌がらせで火音の椅子に座って引き出しの中を探り始めた。



「月火、プライバシー」

「そんなものありません」

「いやあるよ……?」














 喧嘩的な言い合いをして、最後に言い負かされた月火は火音の食事だけ作ると怒った様子で寮を出ていった。

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