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第1話 前世での記憶

ユイナは現在20XX年の "トリス国" というところにいた

つい先程までユイナは行き場のない怒りに支配されていた


しかし彼女は現在今にも泣きそうになりながら街の中でうずくまっていた・・・

その顔は蒼白で今にも死んでしまってもおかしくないのではないかと思うほどだ


その原因はユイナの中に前世の記憶らしい

'由奈'の記憶が頭の中に流れこんできたからである


その記憶は

2021年日本の東京に暮らし、育ち、楽しそうに仲間と歌を歌う記憶である

幼少のころから歌が好きでずっとずっと歌を歌ってきたのだ

18歳になると同時にインターネット内で活躍をしていき

20歳を過ぎるころには人気歌い手グループのリーダをしていた




そのありとあらゆる記憶が"私"の中に流れ込んできたのだ




全てを思い出したユイナは吐きそうになりながら蹲っていた





このトリス国は軍事国家だ

ユイナはこの軍初の女幹部を務めていた


しかし新しく入ってきた女性の新たな幹部に嵌められた挙句

幹部という地位を奪われ城を追い出されてしまった



この世界には"魔法"がある

一人一人に属性魔法か固有魔法の二種類どちらかが使えるのが一般的だ

しかしユイナは生まれてから魔法は一切使えない

魔法はほとんど人は生まれながらにして持っているものだが

ごく稀に魔法が使えない人間が存在し、それに彼女は当てはまっていた


ユイナの場合は魔法を使うための魔力はあるらしいがそれを使えないのである


魔法が使えないことに彼女はとても悔しく思い

魔法が使えなくても強くなってやろうと幼少のころから

銃技術や体術などに磨きをかけその努力が実り23歳の頃に

国の幹部まで上り詰めることができたのだ

そして軍の幹部たちと一緒に 国のため 国の人々のため と戦ってきたが



2年ほど前に入ってきた幹部の女兵に問題事を起こしたとして糾弾され

挙句の果てにトリス国の王 そして軍の総隊長と幹部たちに



「役立たずは出ていけ!」



と言われてしまったのだ



そして城門を出て現在の街の中に入った瞬間

ユイナの中で ― 前世の自分 ― だった記憶が濁流のように流れ込んできたのである




― 歌を歌ってきた仲間 ―

― 応援してくれたファンたち ―



軍を追い出されて怒りで支配されいた気持ちよりも

ユイナはいつの間にか かつて過ごした世界に対して

悲しい、寂しいという気持ちのほうが大きくなってしまった



そしてそれだけが"自分"の心の中を支配したわけではない




世界には"音楽"がなかった




この世界に生まれた記憶を辿っても

人々を楽しませる"リズム"

心地良い"メロディー"

気持ちを言葉にした"歌詞"




この世界には"何も"なかった




『今の私は、、、

軍に追い出されたことよりも、、、

歌がないこの世界に絶望してしまうわ、、、』




ユイナは地面を見つめ泣きそうになりながらそう呟いたのだ

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