絶えない町
初投稿です。
今後少しづつ、書いていきたいと思うのでよろしくお願いします!
とある少年がいた。その少年は、とても静かで自然豊かな町にいた。
農業や林業がとても盛んである。今でも機械を使わないで育て、収穫している珍しい土地だ。おかげで空気は澄み、毎日のように土の芳醇な匂いが満ち、鳥のさえずりと人の笑い声が絶えない町となっている。誰もが、ここに生まれたら生涯の最期はここ。そう思うような素晴らしい町であった。少年は、その住民である事を誇りに思っていた。
ある日の事だった。少年は、何気なく歩いてる時だ。
今日は、両親の畑の手伝いも早めに終わり、夕日が出る前に帰れた。
意気揚々とアルファルトではなく、ただ土を固めて出来た道の真ん中を歩き出していた。
すると・・・少年は何かにつまづいた。顔から勢いよく、地面へと叩きつける。
そんな状態で倒れ、怪我をしないわけがない。
ただ、幸いなことに鼻とおでこを擦りむいただけである。
「いてて・・・。誰だよー、こんな時に物を落としたのは。」
この道は、人通りも少ないことから真ん中に何かがある事なんて珍しい。
まして、転ぶような大きなものといえばなかなかにないものだ。あるとしても石ころ程度。
豪快に転ぶことなど、万が一にない場所なのである。しかし、少年はそれをやったのだ。
不機嫌そうに少年は、体を起こし、四つん這いの体勢から後ろを見た。
目に映ったのは、地面が盛り上がってる光景だった。不自然に真ん中の道が盛り上がっている。
土は周りの色と違い、最近掘り起こされ、埋めたものだとすぐに分かる。
「・・・・なんだろ?」
少年は、あからさまに”見つけてください”と言わんばかりの盛り上がりに、不信感を抱きながらも、手で掘り起こすことにした。自分をここまで転ばされた山の中身はなんなんだ、と気になったのだ。中身がしょうもないなら、尚、腹が立つというものだ。あいにく、農具がはいったカゴは、両親に任せてきてしまった。何故こういう日に、預けてきてしまったのか。少年は、少し不運だなと思いながらも少しづつ、手で掘っていく。しかし、掘っていくとその山は案外浅かったということが分かり、中身はすぐに姿を現した。
「・・・布?」
中から、布の塊が出てきた。元は真っ白なカーテンだったんだろう。今は茶色く汚れ、不気味な感じが漂っている。赤い斑点もあるようだ。
しかし、布してはやけに重い。どうやら、中に何かが入ってるようだ。
少年は、恐る恐る布を開けることにした。ここまできたのだから、中身が分からないというのは釈然としないものだ。ゆっくりと、ゆっくりと。その姿を現していく。
「!!」
少年は、思わず布ごとそれを投げた。ゴトッ、黒いものが地面へと落ちた。
中から出てきたのは、少年の両手ほどの大きさの拳銃であった。
色々な所に傷があり、かなり年季のはいった銃であった。
「・・・なんて事だ。」
少年は、そっと肩をおろし力を抜いた。
そして、肩が上下と揺れ始めた。少年の口は多きく開き、笑い声が響き渡る。
あまりの笑いすぎに少年は、息が切れ、はぁはぁと呼吸をしはじめた。
少年は、ゆっくりと拳銃を掬い上げた。そして、今まで歩いた道程を戻っていく。
夕日が出始めた頃、ドンッ、ドンッ、と大きな音がした。
空は真っ赤に染まっていた。その夜、少年は一人で夕食を食べた。
次の日、少年は市役所へと行った。
「これ、拾ったので返却します。」
「少々お待ちください。・・・・・では、この書類にご記入をお願いします。」
「はい。」
少年は、意気揚々と書類へと書き込んでいく。
ここは、自然豊かな町。空気は人口をコントロールされているおかげで澄み、無駄な自然破壊もない。土は毎年血が染み込み、まるで何十年も熟成したワインのような、鉄の匂いがする。
カラスはさえずり、死肉を食らい、人の恨みが晴れる瞬間と許しを請う笑いが絶えない。
誰もが、ここで生まれたら生涯の最期はここ。そう思うしかない銃を拾ったものが、人を殺してもいい町。そして、今日もどこかへ銃が埋められた。
いつ拾われるか分からない。その銃は、きっと今もどこかに埋まっているのだろう。
人が増えればわかりやすい場所に埋め、人が減れば分かりにくいところに埋められ・・・・。
人々は、この町をこう言う。
「何もかもが絶えることがないだろう、何せあの町は”絶えない町”なのだから・・・」
いかがだったでしょうか?
のどかだなー・・・って思ってる方には、意外な落ち方だったかもしれませんね;;
気に入っていただけたら嬉しい限りでございます!