土曜の午後から日曜の朝までしか会えないあなた。
私の彼は、既婚者だ。
愛する奥さんとふたりの間に産まれた1歳の男の子と女の子の双子。
奥さんは、まだ幼い子供の世話で家では大変らしい。
彼も出来るだけ家に居る時は、奥さんの手伝いをすると言っていた。
子供のおむつ交換やミルクを作ってふたりの子供に飲ませたり。
家では、とっても“イクメン”のパパらしい。
それでも、奥さんとのふたりの時間も大事に考えている彼は?
時間を作っては、子供を自分の実家に預けて二人だけでデートを
するよな優しい彼だ。
・・・彼とは?
私の友達がやっているBARで、初めて出会った。
既に、彼の薬指には結婚指輪がついていた。
そんな彼に、私は心を開いた。
どんな事があっても、彼を好きにならないし恋愛に発展しない
自信もあった。
私は彼とは、“恋愛感情”のない関係でいられると思っていた。
結婚もしているし、まさか!? 私が不倫相手になるなんて
想像もしてなかったし。
きっと、彼も初めて私と会った時はそう思っていたに違いない。
私達は、“友達として上手くいくはずだった”
・・・それなのに、その日は。
私は仕事で失敗して、上司にこっぴどく怒られた。
私は帰りに、あのBARに行って浴びるほどお酒を口に流し込んだ。
珍しく酔っている私を彼が見て、止めてくれる。
『ど、どうしたんだよ! そんなに飲んで!』
『・・・えぇ!? 小田桐さん? 何、突っ立ってんのよ!
私の横に座って早く飲みなさいよ!』
『・・・ホント、飲み過ぎだよ! お酒に強いのは知ってるけど?
流石に、これだけ飲んだら? ベロンベロンに酔うだろう!』
『いいの~いいの~今日は、飲みたい気分なんだから~』
『急に、笑い上戸になるか? 先まであんなに怒ってたくせに!』
『えぇ!? なんて?』
『何でもないよ! 話したい事があるなら、俺が聞くからさ~』
『あのね! ウチの会社の上司が頭イカレてるんじゃないかって
ぐらいに私に説教するのよ!』
『・・・でも、そんなに怒られる事したの?』
『分かんない!』
『だから、そんなにヤケ酒飲んでたのか?』
『・・・・・・』
『でもさ~浅埜さんだって、反省してるんだよね?』
『・・・ううん。』
『素直でよろしい!』
『でも? あんなに怒んなくていいよねぇ~』
『うんうん、そうだな!』
『私の事を、分かってくれるのは? 小田桐さんだけだよ。』
『俺なら、浅埜さんの事! 分かってあげられるからさ~』
『・・・えぇ!?』
『・・・ご、誤解するなよ! 俺は結婚して妻も子供もいるからさ~』
『そんなの! 知ってるわよ!』
『・・・なら、いいんだけど。』
『・・・・・・』
・・・この時、初めて“彼を男として意識した気がする”
そして、私は酔っていたとはいえ、大変な事をしてしまった。
彼は、私が一人で家に帰りたくないと駄々をこねたらしく
仕方なく、私を家まで送ってくれる。
彼は、私の部屋まで入るつもりはなかったらしいのだけど?
私が途中で眠ってしまい、私を部屋のベットまで連れて行ってくれた。
そこで終わればよかったのに、私は一人の寂しさに勝てず彼の手を
握って、こう言ってしまう。
『帰らないで! 私を一人にしないで!』
『えぇ!?』
・・・そのまま、私と彼は体の関係をもってしまった。
最初は、罪悪感に苛まれ直ぐに彼とのこの関係を終わり
にしようと思ったのに。
私が、そうできなかった。
彼の優しさに、私は甘えてしまったから。
彼も次第に、私を“飲み友達から女として見てくれるようになる”
そして、【秘密の関係】が今も続いている。
奥さんや彼の子供達には、申し訳ないと思いながらも。
彼と別れられない!
もう、こんなにも私は彼を愛してしまったから。
彼の優しさを知ってしまったら? 彼とは離れられない!
いつか? 彼の奥さんにこの関係がバレる恐怖を感じながらも
土曜の午後から日曜の朝までは、彼と同じ時間を一緒に過ごしている。
この時だけは、“彼は私のモノ!”
例え、奥さんであっても! 彼を渡さないわ!
最後までお読みいただきありがとうございます。