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終末にはゾンビと銃撃戦を  作者: タコの人
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第1話 モール

この動g…小説には以下の要素が含まれます。

・銃、架空銃

・FPSやってたら知ってそうなレベルの銃用語

・お前もガンマニアになるんだよ!

 人間が3人いました。

 一人目は、黒髪を肩の下辺りで切った少女。何故かメイド服を身に纏い、綺麗なフォームで構えているのは、ポリマーフレームの9mm自動拳銃。バックパックを背負っています。

 二人目は、見事な白髪をボブカットにした若い女性。黒っぽい灰色の戦闘服の上下にポーチを沢山付けていました。腰の位置でポンプアクション式のショットガンを保持し、いつでも撃てる状態です。

 三人目は、長めのボサボサの髪と無精髭の男。黒いスーツに合わせた黒い帽子がお洒落です。アサルトライフルのサイトを覗き込み、口を固く結んでいます。両腰に提げたホルスターからは、リボルバーのグリップと、銀色に光るフレームの一部が見えました。背中のバックパックの横には、柄も鍔も鞘も黒い刀が括り付けられていました。

「色々と聞きたい事があるし、そっちにもあるだろうけど」

 と、女性が口を開きました。

「取り敢えず、目の前の奴等を何とかしないとね」


 ここは大きなモールの中。電気はどこも点いていませんが、吹き抜けになっていて、ガラス張りの天井から日光が注いでいるので、どの階にいても暗いとは思わないでしょう。

 三人が立っているのは、環状になっている通路と、その向かいの通路とを繋ぐ橋が形作っているT字路。壁に背を預けて、女性が前、男が右、少女が左にそれぞれの銃を向けています。

 そして、その各方向から大挙して押し寄せて来るのは、見た目だけは人間のそれですが、皮膚が灰色に変色した、挙動が明らかに人間をやめている集団でした。

「それはそうですけど…。どうするんですか?『ゾンビ』はまだのろのろとしか歩いてませんけど、この量を一度に相手には出来ませんよ」

 少女が、視線を前に固定したまま問います。

「『ゾンビ』?ああ、感染者の事か。良いね、それ。採用」

 そして女性は、逆に尋ねてきました。

「ねえお嬢さん、お名前は?」

「はい?あ、えっと…カレンです」

「カレンちゃんね。私はサヤ。こっちはジョー」

 今の自己紹介で、サヤと男――ジョーが知り合いである事がはっきりしました。

 サヤはカレンに近付きながら言います。

「カレンちゃん、私の話をよく聞いて。大丈夫。騙さないから。これから、カレンちゃんの方向のゾンビだけを片付けて、この包囲を突破する」

「…後ろの奴に追いつかれて、挟まれるんじゃ?」

「このまま此処でじっとしてても同じ事でしょ。それに…」

「それに…?」

「ジョーがきっと何とかしてくれる。愛想は無いけど、信頼出来る人だよ」

 それは、何の根拠も無いに等しい暴論でした。

 でしたが、

「…分かりました」

 カレンはそれに賭けてみる事にしました。

 駄目でもともと、助かったら万々歳です。

「じゃ、一気に行こう。カバーお願い」

「…あの」

「なあに?」

「どうして、初対面のわたしをそんなに信用してくれるんですか?」

「ふーん、そうだなあ…」

 サヤは少し考えて、微笑みながらこう答えました。

「可愛い子だから、かな」


 ドガン。ショットガンの銃声が響きます。

「リロード!」

「はい!」

 マガジン内の散弾を撃ち切ったサヤが後ろに下がり、入れ替わりにカレンが前に出ました。素早い拳銃射撃でゾンビの頭を撃ち抜いていきます。

 カレンがマガジンの17発を撃ち切ったタイミングで、散弾の装填を終えたサヤが前に戻って来ました。サヤが射撃している間に、カレンはリロードをします。こうすることで、敵を寄せ付けないように継続して弾幕を張ることが出来るのです。

 サヤは照準をちょっとずらして、複数のゾンビを巻き込むように撃っています。そのお陰もあって、ゾンビの群れは少しずつ小さくなっていきました。

「ジョー、まだ大丈夫そう?」

 サヤが、自分達の後ろでアサルトライフルを撃ちまくっている仲間に声を掛けます。

「今の所は、問題ない」

 頼もしい答えが返って来ました。

「しかし、流石に少々きつい。出来るだけ早く片付けてくれ」

 そんな弱気な答えも返って来ました。

「りょーかい。だってよ、カレンちゃん」

「分かりました!」

 この分なら、何とかなりそう。

 カレンはそう思いました。

 そして、後ろでずっと鳴っていた銃声が、不自然に消え続けていることに気が付きました。

 まさか…。カレンは心配しつつ振り向きます。

 するとジョーは、スリングで吊ったアサルトライフルを手放し、刀を握っていました。もうほとんど残っていないゾンビを、ばっさばっさと斬り倒しています。

 よくよく見ると、彼の前には死体の山が。よっぽど手際良く処理したのでしょう。少々きついとか嘘だろと言いたくなる光景でした。

 カレンにつられて後ろを見たサヤも、「うんうん、大丈夫そうだね」と頷き、目の前にいた最後のゾンビを蹴り倒しました。カレンが頭を撃ち抜いて、トドメを刺しました。

「片付いた」

 声がしたので横を見ると、ジョーが涼しい顔で立っていました。その後ろに直立しているものは、何もありません。サヤの計画では、ゾンビの壁が一番薄い所を突破して、有利な場所に移動するか、そのまま逃げるかする筈だったのですが、この男が一人で殲滅してしまったのでその必要がなくなりました。とんでもない奴です。おお恐い。

「よーしよし。でも、せっかく弾薬を補給したのに、そのそばから使っちゃうなんてねえ」

「ほんとですね…」

 カレンはそう言って、今までずっと左に見えていた店の看板を見上げました。

 その店は、ガンショップでした。


 戦闘が起きる少し前、カレンは自分の得物が使う9mm弾を手に入れるため、このモールの中に入りました。

 そして、大変面倒くさいことに最上階にあったガンショップを目指して、動いていないエスカレーターを駆け上っていったのです。途中のゾンビは無視しました。

 店に入ると、12ゲージの散弾と、5.56mm弾、それに.44マグナム弾と.45ACP弾がごっそり無くなっていましたが、9mm弾はちゃんと残っていました。

 安心して弾薬箱をバックパックに詰め込んでいると、奥の棚からひょっこり女性の顔が覗いて、その表情がみるみる険しくなり、何事かと振り返って見れば、ゾンビが押し寄せて来ていた、という訳です。

「じゃあ、取り敢えず」

 とサヤが言いました。

「そこにトイレがあるから、カレンちゃん、着替えて来なよ。その格好じゃ動き難いでしょ」

「…着替え、持ってないかも知れませんよ?」

「持ってないの?」

「持ってますけど…」

「じゃあ良いじゃん。いってらっしゃい。何かあったら大声を出してね」

「はあい…」


 やがて、特に何事もなくカレンが戻って来ました。黒いTシャツと同色のショートパンツ、その上に緑がかった灰色のコンバットジャケットという出で立ちです。

 ショットガンを背中に担ぎ、大きな自動拳銃を持って周辺を警戒していたサヤが、「あ、来た来た」と声を上げました。

「お待たせしました……あ」

「どったの?忘れ物でもした?」

「…その拳銃、45口径ですよね」

「そうだよー。それがどうかしたの?」

「やっぱり…。いえ、大した事じゃないんです。店で無くなってた弾薬、5.56mmと.44マグナムはジョーさんのライフルとリボルバーで、12ゲージ散弾はサヤさんのショットガン、じゃあ後一つの.45ACPは何かなって、ずっと思ってたので…。他のポーチに紛れて、拳銃が見えてませんでした」

「目敏いねえ、カレンちゃん」

 と、その時、辺りを見回っていたジョーが帰って来ました。

「この近くのゾンビは、ほぼ全てが先程の群れに入っていたようだ。まばらに何体かいるが、大きな脅威ではない」

「おっけー。それじゃあ、この店もうちょっと漁って、さっさとずらかろう」

「……?まだ他に持ってる銃があるんですか?」

「ううん。ここで弾薬とか銃とかを貰って、欲しい人に売るんだよ」

『貰う』と言うと聞こえが良いですが、要するに万引きです。まあ、お金を払う相手がいないので良いのですが。ついでに言えば、カレンも9mm弾を『貰って』いますが。

「分かりました。わたしも、少しやりたい事があります」

「良いよ良いよ。あんまり遠くには行かないでね」

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