腹が減ったら寿司

作者：パン×クロックス

「ゲラゲラコンテスト」応募作品です

ボケ「食べたい欲求をギリギリまでおさえてな」

ツッコミ「なんの話？」

ボケ「目標体重まであと3キロが減らないわけ」

ツッコミ「何？ダイエット？」

ボケ「そうダイエット、というか断食やな。全身から匂い立つ飢餓。起きてから、寝るまで、夢の中にまで食べ物が出てくんねん」

ツッコミ「なんか凄いな」

ボケ「その時に何の食べ物を思い浮かべるか？って話が話題になってな」

ツッコミ「どこで？」

ボケ「これの原稿を考える頭の中で」

ツッコミ「脳内かよ、お前やばい奴やな」

ボケ「俺はやっぱり寿司やな、中トロとか美味いよな」

ツッコミ「あ、そう」

ボケ「そこまで考えたらお腹空きすぎて、微熱でてきたんよ」

ツッコミ「え？お前が？」

ボケ「いや脳内の奴の話な。そんで薬屋へ行くとする。熱冷ましがわりに痛み止めを飲みました〜ってなると？」

ツッコミ「やばい」

ボケ「水以外の物を久しぶりに口にする」

ツッコミ「やばい感じがする」

ボケ「食べてもうた、断食中なのに」

ツッコミ「薬を食べるって、言い方もやばいな」

ボケ「結婚式はもうすぐだから、花嫁は」

ツッコミ「え？」

ボケ「肩を出すドレスも発注済みなんよ」

ツッコミ「花嫁？お前の頭ん中の話やろ？」

ボケ「そう、脳内の話な」

ツッコミ「脳内のお前女なん？気持ち悪っ」

ボケ「いや、そういう一面もあるって話」

ツッコミ「お前の脳内の女のダイエットの話？分かりづらっ」

ボケ「いや本筋は何を食べたいかって話やけど、そこは置いといて」

ツッコミ「置いとくんかい」

ボケ「断食中に固形物入れたら止まんないな〜って、自分でも分かる訳よ」

ツッコミ「そこだけは理解できるわ、なんとなく」

ボケ「もう決壊寸前だから。ムラムラ〜ッとおさまらない、人間としての限界と、女のせめぎ合いな訳」

ツッコミ「少しだけ食べたらええやん、微熱っぽいし病気になんで」

ボケ「せやねん、これっきりやから、少し食べようって気持ち、人間サイドが」

ツッコミ「人間サイド？」

ボケ「そこを女サイドが食い下がる訳、結婚式まであと一週間、ガンバ！って」

ツッコミ「人間サイド、女サイドって、女も人間やで」

ボケ「とにかく。女サイドは、一番軽い食べ物を探して、町を徘徊するわけよ」

ツッコミ「コンビニやな」

ボケ「え？」

ツッコミ「町にあって軽めの食べ物欲しかったらコンビ二やろ」

ボケ「え？何それ？」

ツッコミ「咄嗟の割にはいいアイデアちゃう？」

ボケ「いや、考えてみ。頭ん中で人間vs女の戦いの真っ最中やで？そんなんでコンビ二行ってみ？」

ツッコミ「ええやん、そこで茎わかめとか、サラダとか買えばええやんか」

ボケ「はあ？こっちは長期間の断食後、微熱混じりで、食べ物探して徘徊中の、38歳独身女やで？」

ツッコミ「キレ気味で新情報やな。だから？」

ボケ「だからよ、コンビニなんかで肉まんとか見てみ、そのまま掴みに行くで」

ツッコミ「いや熱いやろ」

ボケ「熱々のまんま、紙ごと貪り食うで」

ツッコミ「なんちゅう38歳や」

ボケ「嫌やろ？」

ツッコミ「嫌やな」

ボケ「そうなったら、発想を変えるしかないやろ」

ツッコミ「え？」

ボケ「コンビニなんて安易な発想を捨てろ！」

ツッコミ「いや失礼やろ、コンビニの人に」

ボケ「いや、肉まん鷲掴みの方が失礼やで」

ツッコミ「いや、せやけど」

ボケ「女サイドがささやく訳〝ここまで我慢してきたのに、適当な食べ物で済ませて良いの？〟って」

ツッコミ「なるほど、たしかにここまで頑張って、茎わかめはないな」

ボケ「せやろ？人間サイドも〝確かに〟ってなる」

ツッコミ「〝そしたら何食べる？〟ってなるわな」

ボケ「少しだけ食べられて〜、軽めの食べ物で〜、お金無かったらそれほど食べられないもの」

二人「寿司や」

ボケ「回らないタイプなら、駅前の栄寿司やな」

ツッコミ「いや、知らんがな」

ボケ「徘徊から直行に変わる、女のスピードは自転車を抜く」

ツッコミ「危ないな〜」

ボケ「そしたら栄寿司が（注:バンッと何かを叩く）閉まってる！」

ツッコミ「発狂せんとって」

ボケ「この時点で人間サイドがコンビニを見つける」

ツッコミ「やめて、鷲掴みはやめて」

ボケ「鼻息荒く店内へ」

ツッコミ「許してあげて！店員さん逃げて」

ボケ「そこで女サイドがゼクシィを発見！」

ツッコミ「雑誌コーナー！」

ボケ「グッと固まる38歳、表紙のモデルは、ちょうど肩出しドレスを着てる！」

ツッコミ「女サイド、ガンバ！」

ボケ「人間サイドは右手を肉まんに伸ばす」

ツッコミ「鷲掴み〜！」

ボケ「女サイドは左手をゼクシィに」

ツッコミ「ドレスと鷲掴みは格差ありすぎ！」

ボケ「右手の肉まん、左手のゼクシィ、肉まん、ゼクシィ、肉まん！ゼクシィー！分裂しそうになる38歳は最終手段に！」

ツッコミ「最終手段に！」

ボケ「セール品の茎わかめを購入〜」

ツッコミ「するんか〜い、もうええわ」

二人「どうもありがとうございました〜」

ボケ「で、何食べる？」

ツッコミ「……寿司、かな」